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特異点にいる君 【中】
これは3構成の中編です。
未読の方は前編からお読みください。
「遅くなっちまった」
今日、空調修理も終え、快適な空間でのバイトを終えた。
『先輩が更衣室のカギを無くし、帰りが遅れる』
という結果通り、帰りが遅くなってしまった。
「母さん、やっぱり怒るかな・・」
さらに『その後帰宅し、母の説教が始まる』なんて結果も出た。
演算が外れる僅かな可能性に賭けて、帰宅している。
外れるはずはない。
それが【未来演算】なのだから。
外れるはずは、無いはずなのに。
(キィィ、キィィ)
金属音?この音は、ブランコ?
帰宅途中に小さな公園がある。
そこからブランコを漕ぐ音がする。
そんなはずがない。
そんな未来、結果になかった。
久しぶりの恐怖。
起こるはずの無い未来への。
そして俺は何故、その公園へ入ってしまったんだろう。




