用語集:其ノ一
こちらでは、本作「賢者の息子と呼ばれても 」やその人物紹介で出てくる用語を提示させて頂きます。
まず原則として、『序章~第十二章&余章ノ一』までの内容と『人物介 其ノ一』の時点で提示されている事項を記述する形式とさせて頂きます。
◎ 登場する地名
● ユロシア大陸
物語の舞台――メレテリア世界に存在する四大大陸の一つ。世界の東西南北に位置する四大大陸の内で、北方にある大陸であり知神と総称される“智慧神”ソフィクトと“知識神”ナエレアナの夫妻神の加護厚き大陸とされる。
西方のユロシア地域、北方のヤヌガリア地域、南部から東方にかけてのミッドリア地域の三つの地域に大別される。
● ユロシア地域
ユロシア大陸の西部域を指す名称。地域を南北に流れる大河――“ユロシア河”がその名の由来とされる。“知識神”ナエレアナと“虹翼の聖蛇”エルコアトルの加護厚き地域と言われている。
人類最古の国家――“ユロシア魔法王国”発祥の地として知られている。
・ 聖蛇山脈
ユロシア地域の北部から北西部に伸びる山脈。ユロシア大陸の北西外縁部に聳える山脈であり、“虹翼の聖蛇”エルコアトルと“白竜王”フォルグローンの鎮座地としても知られている。
“白竜王”フォルグローンの鎮座地と言う影響から寒冷な雪山が連なっており、氷雪と関係深い魔獣・精霊が多数棲息している。
・ ユロシア河
ユロシア地域を南北に縦断する大河。聖蛇山脈を源流にユロシア地域の中央を南下する本流である“大ユロシア河”とそれぞれ東西に分かれる“東ユロシア”と“西ユロシア”の二大支流が存在する。
本流及び支流がユロシア地域の各地を流れる影響から、ユロシア地域各地を繋ぐ輸送路として利用されている。
ただし、この大河の主とされる公竜の存在から、“魔竜河”の異称でも呼称される。
・ 緑の森
ユロシア地域とヤヌガリア地域の境界領域の一帯に広がる森林地帯。“緑竜王”ミルグローンの鎮座地として知られている。
ユロシア大陸北部の冷涼な森林地帯であるものの、エルフ族最古の集落が存在しており、様々な亜人種や幻獣が多数棲息していることが知られている。
・ 眠れる丘陵
ユロシア大陸の中央を東西に伸びる山脈。ヤヌガリア地域とミッドリア地域の境界線となっており、その西端はユロシア地域東端に到っている。
標高は比較的高くない山地の連なりであるが、大地に関係する魔獣の生息域であり、様々な妖魔の類が棲息することが知られており、人間にとって実質的に不可侵領域と化している。
◎ 登場する国家・組織
● セオミギア王国
ユロシア地域に存在する都市国家群の一つ。ユロシア地域の北部、“聖蛇山脈”の南麓域に存在しており、更には“セオミギア大神殿”を抱えている。この為、“セオミギア大神殿”とは密接な関わりを持つ国家となっており、そこから“神殿都市”の異名でも称される。
古代紀末に崩壊した“ユロシア魔導帝国”の皇族と“セオミギア大神殿”によって建国された現存する国家中でも古い歴史を誇る国家であり、ユロシア地域に存在する都市国家群の中でも比較的勢力の大きな国家とされている。
・ 白牙騎士団
セオミギア王国に所属する騎士団。セオミギア王国の軍事・治安維持を担う組織となっている。
平時においては、セオミギア王国の王族・上級貴族やセオミギア大神殿の高位聖職者の身辺警護や、都市セオミギアや周辺集落の治安維持に努めている。一方で戦時においては、盟約軍の主戦力の一翼を担っている。
● ランギア王国
ユロシア地域に存在する都市国家群の一つ。ユロシア地域の北東部、“緑の森”に接するように存在する国家。“緑の森”から得られる様々な森林資源を基盤とする国家で、多くの猟師が暮らしていることから“狩猟都市”の異名でも称される。
なお、ランギア王国以東はヤヌガリア地域の諸国家が存在しており、ユロシア地域の東端に位置する国家の一つである。
● スコーティア王国
ユロシア地域に存在する都市国家群の一つ。ユロシア河中流域のやや下流域に位置する都市国家。
ユロシア河を利用した水運の重要な中継点の一つであり、集まる物資を利用して様々な歓楽施設が林立し、周辺諸国から観光客が訪れている。このことから“娯楽都市”の異名でも称される。
一方で、建国よりスコーティア・ギルドの強い影響下にあり、“盗賊都市”の異名でも知られている。
・ 暗風騎士団
スコーティア王国に所属する騎士団。名目上は、スコーティア王国の軍事・治安維持を担う組織となっている。
しかし、実際にはユロシア盟約軍の諜報部隊として機能しており、騎士団員の殆どは自身の身分を秘匿して大陸各地に散って、様々な諜報活動を行っている。
● マルセリア王国
ユロシア地域に存在する都市国家群の一つ。ユロシア河中流域に位置する都市国家。
ユロシア地域の主要な傭兵ギルドの拠点となっており、“傭兵都市”の異名で称されている。
・ 鉄槍騎士団(傭兵騎士団)
マルセリア王国に所属する騎士団。一応は王国の軍事・治安維持を担う組織となっている。一方で、ユロシア地域の諸国が武力を必要とした場合に援軍として所属騎士を派遣しており、実質的に傭兵団の様な機能も果たしている。その為、“傭兵騎士団”の異名で称される。
その性質上、攻勢においてユロシア盟約軍最強の騎士団であるとされている。
● オセミギア王国
ユロシア地域に存在する都市国家群の一つ。ユロシア河下流に存在するオセミギア湾の周辺域に存在する国家。
外海への遠洋航海が行われており、ユロシア大陸と他大陸との遠洋貿易の重要な拠点の一つとなっている。この為に、“港湾都市”の異名で称されている。
● “ユロシアの盟約”
ユロシア地域の諸国家による同盟の呼称。ミッドリア地域のほぼ全域を版図とするロミナル帝国に対抗する為に締結された大同盟。
盟約国家は、軍事・政治・経済等の様々な形で連携をとる一大共同体を形成している。
・ユロシア盟約軍
“ユロシアの盟約”に基づいて締結される国家連合軍。ロミナル帝国の侵攻と言ったユロシア地域への他国の侵攻があった場合などに召集される。
こうした事態に備えて、盟約国家の騎士団はある程度の連携を取れる体制を採っている。
なお、盟約軍団長(通例、盟主国の騎士団長が務める)や複数任命される盟約軍副団長には、非常時には他国の騎士団に対する命令権が付与されている。
● セオミギア大神殿
“神殿都市”の異名を持つセオミギア王国王都に存在する、“知識神”ナエレアナを奉じる神殿。
“知識神”を祀る神殿の中では最古最大の神殿であり、“知識神”ナエレアナ女神を奉ずる教団の総本山と言う役割も担っている。それぞれの役割を分担する部署である九院が存在する。
また、セオミギア王国と深い関係を有しており、同国の王位・爵位の授受に関しての承認権限を有し、同王国及び周辺国家の高等司法機関と言う役割等を帯びてもいる。
・ 書院
“セオミギア大神殿”に存在する九院の内で上位三院一つ。
記録の保管と史書の編纂を主たる任務としており、各院の古い記録の保管や世界史編纂の為の各種史料の収集と研究が行われている。
また、大神殿の中にある神代の頃からの様々な蔵書が収められている“大書庫”の管理も任されている。
・ 学院
“セオミギア大神殿”に存在する九院の一つで、上位三院の内で書院の下部組織とされる。
様々な学問の研究が行われており、ユロシア地域有数の研究機関とされている。
また同時に、教育機関としての機能も有しており、セオミギア王国の子弟が身分を問わず勉学に励んでいる場所でもある。
・ 薬院
“セオミギア大神殿”に存在する九院の一つで、上位三院の内で書院の下部組織とされる。
セオミギア王国の人々や“セオミギア大神殿”を訪れる巡礼の信徒に対して、様々な医療行為を施すことを役割とする部署であり、所属する神官の殆どが薬師として医術・薬学の心得を持っている。
また、神殿と縁深い高名な薬師を客分として一部招聘している例も見られる。
● スコーティア・ギルド
“娯楽都市”スコーティアを本拠地とし、ユロシア地域全域に影響力を有するギルドの一つ。裏社会や一般的に非合法とされる活動を行う者達により構成されている。端的に言ってしまえば、盗賊ギルドである。
都市国家スコーティアの成立にも関与しており、“ユロシアの盟約”に所属する諸国家に対してある程度の協力を行っており、ある程度の活動の黙認を受けている。
◎ 登場する種族・民族
● ユロシア人
人間族の民族の一つ。ユロシア地域を中心に分布している。
全体に色素の薄い華奢な体躯の民族とされ、白皙で金髪蒼眼の者が多い。また、人間の中では魔法の才覚や魔力が高い傾向にあると言われている。
・ オセミギア系ユロシア人(オセ系)
ユロシア人の中でオセミギア王国を中心としたユロシア地域南岸部に多く分布する人々の総称。
オセミギア王国のユロシア人と南方大陸の海洋民族であるリヴィア人の混血によって成立した人々であり、一般的なユロシア人よりは色の濃い肌をしている傾向にある。
● ヴィレル人(紫髪の民)
人間族の民族の一つ。南方大陸及び西方大陸に分布している。
黒い肌と色鮮やかな髪や瞳を持つ民族とされるとともに、前髪の一房を紫色に染める慣習を持つことも特徴とされる。そのことから“紫髪の民”の異名で称される。
基本的に国に属さず、技芸で身を立てる流浪の民族であり、主に女性のみで構成されると伝えられる。
● 半天使
(主に)人間と天使族の混血児を指す呼称。
外見上は普通の人間と殆ど差異はないとされるが、霊気の形状は有翼の天使族のそれに酷似したものとなっている。(この為、ある程度の魔法の素養がある人物なら区別が可能である。)天使族に準じて、高い知性や魔法の才に優れると言われる。
ちなみに、建国時に天使族が関与したとされる国家が多く、各国の王族・貴族の中に先祖返りとして誕生する例が稀に見られる。
● 半竜人
人間と竜人族の混血児を指す呼称。
外見上は人間のそれに近いものの、短い角や尻尾及び体の各所に点在する鱗と言った竜人族の特徴も併せ持つ。竜人族特有の強力な膂力や高い魔力を受け継いでいるとされる。
ただし現状では、竜人族と人間の交流が多くの地域で無きに等しい為、誕生することは稀である。
● トート族
“虹翼の聖蛇”の眷族とされる亜人種。“虹翼の聖蛇”の鎮座地を中心に分布している。
鳥の翼に似た耳と、鳥の脚に似た細く鱗に覆われた四肢が特徴をしている。種族全体が、優れた医術・薬学の達人であると伝えられている。特に、この世界において外科手術に関する技術を保有する存在でもある。高い知性を有する種族とされており、前述の事情もあって、多くが薬師や賢者を生業としている。
また、“蘇生の秘術”と呼ばれる種族特有の秘術を行使することが可能である。
● 銀鱗の民
広義には、“金竜王”シャオラーンの眷族とされる竜族及び亜竜族の総称。狭義には、“金竜王”シャオラーンの眷族とされる竜人族に対する呼称。
一般的に金色もしくは銀色の鱗を有し、光や風・雷に対する耐性が高く、飛行能力を有する個体は他属性の同種個体よりも飛行能力に優れる。
● 白鱗の民
広義には、“白竜王”フォルグローンの眷族とされる竜族及び亜竜族の総称。狭義には、“白竜王”フォルグローンの眷族とされる竜人族に対する呼称。
一般的に白色の鱗を有し、冷気や氷雪に対する耐性が高いことで知られる。
● 金属人
古代末期のアティス大陸で、大陸独自の技術である魔法機械技術で創造された人造生命体の一種。
全身が魔法機械で構築された人型の魔法生命体で、自由意志・自己修復・自己進化を行う能力と幾つかの特殊能力を有する存在である。
古代王国崩壊時に多くが破壊・封印されており、物語開始時の数百年前までは実在が疑われていた“幻の種族”である。
◎ その他
● 準貴族
“ユロシアの盟約”に加盟する諸国家の制度の一つ。
各国で当該国家と関係の深い同業者組合等の諸組織で幹部級の構成員を、当該国家の貴族として待遇すると言う制度のこと。
この例として、“神殿都市”セオミギア王国ではセオミギア大神殿の諸神官が該当し、“娯楽都市”スコーティア王国ではスコーティア・ギルドの盗賊等が該当することになる。
● 竜戦士
六大竜王の眷族に与えられる称号。
この称号は、“竜に匹敵する戦士”と言った意味を有する。その為、竜王の眷族である亜竜族や一部の亜人族でも、特に高い戦闘力と、優れた神竜魔法の使い手に対して六大竜王より授与される。
そうした理由から、この称号の保有者は、竜王の眷族たる諸種族の中でも上位の存在として遇される。
人物紹介に続いて、無駄に多い設定の披露になります……(苦笑)
何時もよりは幾分か時を開けることになると思いますが……
次回より第二章の物語が始まります。楽しみにして頂ければ幸いです。