ノンバイナリーになりたい
ノンバイナリーになりたい。最近そう思うようになった。
自分は以前「男の子になりたかった」というタイトルでエッセイを書いたことがある。そこから繋がっている話。
自分には今、恋をしている人がいる。その人は男性で女性である、ノンバイナリーという性別らしい。
生まれた時の性別は女の子で、今は男性として生きてる。けど性転換の手術はしていない、体は女性のまま。そういう人なのだと、知ったのは出会ってからしばらく経った頃だった。
自分はその人を男性だと思って恋をしていた。私は男性に恋をしてる女なんだと思っていた。
ある日、突然、それが覆された。騙されていて悲しいなんて感情はなかった。むしろ、カミングアウトしてくれて嬉しいと感じた。
そこから、私の苦悩が始まった。自分が男の子になりたかったと思っていた時期があること、その人に話した。「同じだね」と微笑まれた。
同じなのかな、と思った。私は女性として生きることを選んだはずだった。でも、それは、自分で選んだんじゃなくて、社会に選ばされたんじゃないかなと思った。
女性として生きてくことは息苦しくて、つらくて、投げ出せるものなら投げ出したかった。
でも、今さら男性になることを選んでも、幸せにはなれない気がした。そもそも現代の技術では完全に男性の体になることはできやしない。見せかけだけを男に寄せても、女性と子供を作ることはできない。
男性になることはできないから、女であることを選ばなくちゃいけないのか。そんなことはないんだと、その人が教えてくれた気がした。
その人に会う時、自分も男装に近いような格好をしてみた。すごくカッコいいと褒められて、「男前だね」と言われた。「男前」ってちょうどいい言葉だと思った。
男になりたいわけじゃない。けど、男前って言われるのは、カッコいいって言われるのはとても嬉しい。
でも、ロリィタ服とかかわいい服とかを着るのもそれはそれで好きだった。かわいいって言われるのも、嬉しい。
自分は結局どちらになりたいんだろう、と考える。今の感情としては、結論は「どちらにもなりたくない」だ。
自分は、女でいたくはないけど、男になりたいわけでもない。だから、私は、ノンバイナリーになりたい。
この気持ちは今の感情だから、これから先、変わっていくこともあるだろう。
ノンバイナリーという性別が、存在が、認められていく社会になればいいと思う。
私はまだノンバイナリーのこと、よく知らないかも、とも思う。知っていきたい。
この悩みは、きっと私が自分の心に向き合って、自分を好きになれるように、じっくり考えていかなくちゃいけない。
小学生の頃、友達として仲良く遊んでいたと思っていた男の子に、恋として好きなんだと告白された時。友達が友達でなくなってしまうことが、とてもショックだった。私はどちらも選びたくないと、心を閉ざした。
どちらも選びたくないんだ、私は。男とか、女とか、そういうの、どっちにもなりたくはない。
今はそう思ってるけど、この先の人生で変わることはあっても、今の感情はこうだった、と残しておきたい。
〈了〉




