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犯罪者のいない国

3話くらいにする予定です。

「嫌でございます」

私が我儘を言うたびに聞かされたその言葉。

泣き叫ぶ私を取り囲み魔物と無理やり戦わせ騒ぎ散らかす騎士たち。

「たすけてぇ~!!!死んじゃうよ~!!!」

「嫌でございます!自分でどうにかしてください!」


5歳の子供にそんな事を平気で言う職務を忘れた騎士たち。

(あんた達が姫である私を守るんでしょうが!!)


その心の声を押し込めながら、周りの指示する通りに動き続け、5時間もかけてイノシシの魔物を仕留める。その瞬間周りが一斉に沸き立ち私を胴上げしてくる。

「私お姫様なのに…」

その言葉は誰にも届かず、1人涙を流すのだった。



「夢…か、懐かしい夢だな」

もう10年も昔の光景だ、今思い出しても苦笑してしまう。



とある小さな王国がそこにはありました。 人口50人にも満たないそんな国。20年前ははもっと国土も広く人口も沢山いたらしい、だけど私が生まれてほどなくして、人の良い王様は他の貴族から騙されたり、手柄を横取りされたりして、国土をどんどん奪われてしまったらしい。 私はそんな国で生まれた1人娘だ。


国王の父様と私だけの寂しい王族。 父様はよく「次の王女はそなたしかおらん!」などと当り前の事を毎日言ってくる少し頭のおかしい人だ。 私は父を恨んでいる…………、いやそれは言い過ぎた。 好きだけどかっこ悪い父親だと思っている。 「また騙されて領土取られちゃったよ」なんて事を笑いながら言ってくる人をどうやって尊敬できようか。


父様に連れられて他の王国に足を運ぶことは沢山ある。その度に自分と他の姫との違いに悲しくなり、苛立ちすら感じてしまう。華やかなドレスを着てカッコイイ男性が傍に居る。それに比べ私はどうだ?亡き母からのお下がりのドレスを毎回着て社交界に出る、礼儀作法などは叩き込まれているので問題はない。ただ…………「え?お姫様だったの?ごめんなさい使用人かと思いまして……」などと悪意もなくグラスを渡された時は頭が真っ白になった事を今でも覚えてる。 その時会場を飛び出して影で泣いてた私を父様が見つけ出して言った言葉を今でも忘れられない。 「お!いたいた!早く会場に戻るぞ!美味しい料理を食べられる機会は早々来ないからな!!」 などとのたまう父に初めて殺意を覚えるほどだった。


泣いて化粧も落ち、そんな姿を見せたくない私は子供のように駄々をこねた。嫌だ嫌だと言う可愛い娘の腕を引きずり無理やり連れて行かされ笑いものになったのは言うまでもない。


そんなわけで私はこの国が嫌いだ。

父だけじゃない、ここで暮らす全員が嫌いなのだ。この国の人たちが50人ほどいると言ったがその人たちは全員が農民であり、同時に騎士でもある。 なんでそんな事になってるのかは誰も教えてくれないし、小さい国だから仕方のない事だと納得はしてる。 問題はそこじゃない。 そこに私も含まれてる事が問題なのだ。


改めて言う、私は王国の姫なのだ、それにもかかわらず5歳の頃から農作業、狩猟、洗濯に掃除、料理。

ありとあらゆる事を皆と一緒にこなしている。 …………いや、それも語弊がある。皆でやってるのは農作業だけだ、他の事は全部自分でやらなければならない。自分出来た服は自分で洗い、獣を狩るのも自分、料理を作るのも自分だ。 それを5歳からやり続けている、怪我や体調が悪い日を除いて毎日だ。


さぼって逃げようものならメイド長(一人だけしかいない)が地の果てまで追いかけて見つけてくるから今はもう諦めている。


そしてこの国最大の特徴がある。それは犯罪者が1人もいない、いないというより出てきても私が許してしまうかららしい。 らしいと言ったのにも理由がある。私は覚えていないが国が衰退するのに伴って国民も当然荒れたらしい。犯罪者もゴロゴロ発生して処理できない父様が全員を死刑にするとなった時に私が「絶対にダメ!」と言ったらしい。 その結果犯罪者は国外追放でもこの国に残るのでも好きにしたらいいとなった。


当然善良な市民は怒り狂ってどんどん人が逃げていくし、犯罪者すらも見切りをつけて逃げ出す始末。

残ったのは元犯罪者や変わり者の市民だけとなっているのだ。


それは今でも続いてる。もし罪を犯した人間が出たとしても変わらず私が許してしまうから。

なぜ?と聞かれても答えようがない。覚えてないとはいえ私自身が言った言葉だからか、それともこんな国に残ってくれてる国民へのせめてもの罪滅ぼしなのか。 その答えはまだ出せてはいなかった。























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