1日目
……ふむ。教室、空っぽだな。
ここ、俺の教室で合ってるよな?
パンフ確認。
あー、なるほど。今はホールで――あれだ、入学式。
ってことは、遅刻か。
まあ、想定よりマシだな。
別に出る必要もねぇし。どうせ寝るだけだ。
さてと……席番号の発表は今週の後半だったよな。
ってことは、今は好きなとこ座っていいのか。
うーん。悩むな。
一時的とはいえ、適当に選ぶのもなんか違う。
よし、ちょっと試してみるか。
前の席――黒板は見やすいし、全体も把握しやすい。
でも後ろの連中から丸見え。
……うぜぇな、それ。
後ろの席――全員見渡せるし、自分はあまり見られない。
けど、先生が質問するときにまず狙うのは後ろって聞いた。
……それもそれで面倒だな。
窓際か、廊下側か……。
窓際は景色見れるし悪くない。
けど、教室入ってから何歩か奥まで歩くのが地味にだるいんだよな。
人の机の横すり抜けて、「おはよう」とか言うのも面倒だ。
思ったより難しいな、席選び。
まだ授業も始まってねぇのに、すでに戦略ゲーかよ。
……よし。
一番後ろ、出口の近くにしとくか。
……バカみたいだな。
何やってんだ俺。
こんなとこで一人で座って、何の意味あんだ。
――帰るか。
「……あ、████」
もう終わったのか?
少し待ってから帰るか。
今日はオリエンテーションだけだったはず。
「おはようございます。担任の██です」
先生か。ちょうどいい。
「先生」
「はい?」
「帰ります」
「……██? ██████?」
パンフに書いてあっただろ。
今日は時間割とプリント配るだけ。
ほら、大事なのはそれだけだ。
「█、███、████?」
はぁ……なんで俺、こんな真面目に考えてんだろ。
席とか本とか。どうせ長くいねぇのに。
「██、█████!?」
あ、袖引っ張られた。
なんだ、用か?
「どうかしました?」
「あなた、どこ行くの?」
あー、聞こえてなかったのか。
まあ、確認してくれて助かるけど。
「帰る。言っただろ?」
「██████!」
「じゃ、また」
さて――帰ろう。




