表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ローファンタジーショートショート

二又猫のお礼

「いやあ、ありがとうございました。おかげで助かりましたよ」

 私はその言葉を聞きながら手、というより前足をきれいに揃えてペコリと頭を下げる猫を眺めていた。

 それはつい先日腹を空かせていたようなので適当に魚を与えた猫のようだった。

 焼き魚を丸々一匹ぺろりと食べたその猫はそのままソファの上で丸くなると寝入ってしまっていたのだが、まさか目を覚ましてお礼を言ってくるとは。

「なにかお礼をしなければなりませんが、こう見えても(わたくし)、そこそこに位の高い猫又でして。なのである程度貴方様の願いを叶えることくらいは出来ると思いますよ。たとえばほら、身の回りのお世話をする女性とか、もしくは目も眩むような大金とか」

 自慢をするように二本の尻尾を振り、そして言葉を続けながら女性に姿を変えたかと思うと今度はその手の中に高額紙幣の詰まったアタッシュケースを出現させる。

「さあさ、お礼ですので遠慮なく願いをおっしゃってください」

 猫又のその言葉に私は、それじゃあと遠慮なく願いを口にした。



「いやまあ貴方様がそれで良いなら構いませんけどね? もっとあったんじゃないですか?」

 会社から帰った私に猫又はそう言ってくる。だが私にとってはこの願いは何にも代えがたいものだ。

 願った通り私は猫又のことを思うままに好きなだけもみくちゃにして好きなだけその毛並みを堪能する。

 これをできる権利に比べれば大金も女性も大したことではないのだ。

お読みいただきありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ