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新しい風

 由里香は、お姫さまにむかし憧れていた。

 

 

 なので、ここはもう由里香をお姫さま扱いして、テンションを少しでもあげていただきましょう!

 

 

 ご飯を終えて、オレは由里香に

「さぁ、姫お手をどうぞ。いきましょう」

 と手を差し伸べた。

 

 由里香は、すんなりとオレの手を握った。

 

 

 ホッ

 

 

 一安心したオレは、それからも

「姫、そちらは段差がございます。」

 とか、

「姫、笑顔がとても美しいです。」

 とかとにかく姫が笑顔になれるように心がけた。

 

 

 で…午後からは、ずっとオレは由里香とペアでした。

 

 役立たずなオレは、由里香に尽くすことしかできない。

 

 

 そして、松下くんと桜音さんもずっとペア…

 

 でも、そんなこと気にしないくらいオレは、姫を快適にお過ごしできるようサポートした。

 

 

 それでさ…その流れでうっかり…

 

 

「姫、お帰りの際は、お家までお送りいたします」

 って口走ってしまったんよ…。

 

 

 由里香は、幼馴染解散したかったのに…これじゃあ、再結成したも同然なんよね…。

 

 

 二人っきりになったら、オレ怒られるかもしれません。

 

 

 わたしがあんたに近づいたのは、松下くんのためだったんだよ?わかる?ってね…。

 

 そりゃわかっております…よ。

 

 

 もう、謝る覚悟で由里香姫を送り届けるしかありませんね。

 

 

 それで…

 

 

 なんかさ…

 

 めっちゃ嫌な予感するんよね…

 

 

 なんか…

 

 このまま松下くんと桜音さんって…付き合いそうなんよ。

 

 

 帰りに松下くん…桜音さんに告白したりしないよね?

 

 

 ん?

 

 どうなん?

 

 大丈夫そう⁇

 

 

 これは…どうやって阻止すれば…

 

 

 帰り際、由里香は全然普通に乃亜世さんと桜音さんにバイバイした。

 

 

 もう…松下くんと桜音さん一緒に帰るのに…

 

 知っててなんでそんなに笑顔でじゃあね〜なんて言ってるんよ?

 

 

 …

 

 まさかの強がりさん?

 

 

 四人とバイバイしたら、すぐさま号泣とか⁉︎

 

 

 

 どうしよう…

 

 

 それってオレの責任でもあるよね?

 

 

 責任者に任命されたわけじゃないけど…ある意味責任者です。

 

 

 意を決して由里香姫を送り届けます‼︎

 

 

 …

 

 

 ついにみんなとバイバイして…二人きりになりました。

 

 

 

 ここからは、むかし同様…

 

 普通に幼馴染の時みたいに、接していいんかな?

 

 

 それとも…

 

 

 どんな対応していいのか困っていたら、由里香の方から、普通に話しかけてくれた。

 

 

「今日楽しかったね」

 って。

 

 笑顔でさ…

 

 

 

 …

 

 由里香…

 

 

 …

 

「あー…うん。楽しかった…楽しかったよ?でもさ…ごめんな。オレこんなんでほんとごめんな」

 

 って、なんでか由里香の失恋決定みたいな気がして、先にオレがめっちゃ泣いてしまった。

 

 

 そしたら、由里香は…

 

 

「え、やっぱり気づいてくれたんだ?けど…泣いてるってことは…やっぱり…そういうこと?」

 と、由里香はかなしそうにオレを見ながらハンカチを差し出してくれた。

 

 

「たぶん…そうだと思う」

 ハンカチを受け取り、オレは涙を拭った。

 

「そっかー、やっぱりそうだよねー…解散するとき、そんな気がしたんだよね…でもさ、今日…ちょっと期待しちゃってた自分がいたの…わたしってバカみたいね。」

 

 由里香…やっぱり、やっぱり由里香も気づいてしまっていたんだね。

 

 そうだよね…。

 

 雰囲気的に、あの二人はそんな感じだったもんなぁ。

 

「ごめんな…新しい風、吹かせられなくて」

 

「ううん、でもさ真樹也に新しい風が吹いてよかったな」

 

 ?

 

「え、オレに新しい風…?」

 

「うん、新しい友達!中学の頃の真樹也は、全然笑ってなくて…いつもつまらなそうにこっち見てたでしょ?でも…今は、いつも真樹也笑ってるじゃない。だから…だからわたし、それだけでもうじゅうぶんかな。」

 

「そんな…でもまだ諦めなくてもいいんじゃない?その…まだ二人が付き合うって決まったわけじゃないし…」

 

「二人?それは…どういう…」

 

 …

 

「え…だから、松下くんと桜音さん。」

 

 へ?みたいな顔をしている由里香。

 

「なんで今、その二人のはなし?もしかして、真樹也って…やっぱり桜音のこと好きなの?二人がうまくいったら、真樹也もしかして…もしかして…わたしって…第二候補とか?」

 

 

 …由里香の言っている意味がまるでわからない。

 

 

「どういうこと?」

 

「だから、松下くんと桜音が付き合っちゃったら、仕方なく二番手のわたしと付き合うってことだよね?」

 

「うん、意味がわからない」

 

「真樹也は桜音が好きなんだよね?」

 

「ううん。てか、由里香が松下くんを好きなんだよね?」

 

「ううん。」

 

 ⁇

 

 …二人して、一瞬固まったよね。

 

 

 どういうこと⁉︎

 

 由里香…もしかして瀬川くん派だった⁉︎

 

 

 オレ…めっちゃヤバいミスしてたん⁉︎

 

 

「え…由里香、オレ…ずっと由里香が松下くんを好きなんだって思って協力してたわ…。ごめん‼︎松下くんじゃなくて、まさか瀬川くんだったとは…」

 

「え、何言ってるのよ…?この際だからはっきり言うけど、わたしはずっと真樹也が好き。ずっと…今も…」

 

 恥ずかしそうにオレをみる由里香は、それはそれは可愛かったです。

 

 

 でもさ…

 

 

「じゃあ…由里香は、なんで一度…オレから離れたの?」

 

「それは、真樹也がずっと幼馴染としてしかみてくれなかったからだよ?それに、真樹也に笑っていてほしかったの。だから、あえて他人のフリして近づいて、わたしを幼馴染じゃなくて、クラスメイトの一員として…別のわたしで、真樹也にみてほしかったの」

 

 …

 

 

 そっかー。

 

 オレがいつまでも告白しないからこんなことになってたのか…。

 

 由里香を苦しめてたのってオレ自身だったんだ…。

 

 

 

「由里香…オレもずっと由里香が好きでした…こんなオレだけど、よろしくお願いします‼︎」

 

「はい、こちらこそお願いします」

 

「由里香〜♡♡」

 

 オレは、由里香を心から抱きしめた。

 

 

 

 

 

 こうして、新しい風が二人に吹き始めるのでありました♡

 

 

 もちろん瀬川くんと乃亜世さん、松下くんと桜音さんにも新しい風が吹きだしたんだってさ♡

 

 

 

 おしまい。

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