間接キス大作戦
ドリンクを使って、間接キス大作戦に挑むオレは、飲み物係をかってでた。
「みんな何飲むー?」
オレの声にみんなは口々に、コーラやらメロンソーダだのそれぞれ違う言葉を発した。
オレは、オレンジソーダ。
由里香は、レモンスカッシュだった。
松下くんは、オレと同じくオレンジソーダだ。
では、松下くんにレモンスカッシュを渡して、由里香にオレンジを渡せば…
「え、これ反対だぁ」
ってなって取り替えっこできるってわけですね。
間接キスってなれば、そりゃ意識しちゃうってもんですよね〜。
クスクスしながら、ドリンクをみなさんにお配りいたしましたぁ〜。
そして、とうとうストローを口に咥えた由里香〜。
そして一口ゴクリとして由里香が異変にすぐさま気づきました。
「あ、これ…オレンジかも」
ってね。
「あー、なら間違えちゃったかも。わりぃ、それ松下くんのだ」
「あー…」
と、困り顔の松下くん。
「あ、じゃあ…わたしそのままこれ飲むわ。ごめんだけど松下くんレモンスカッシュでもいい?」
「うん、全然いいよ」
と、交渉成立していた。
…おいおい、また失敗したやんけ。
そう思いながらオレは、ピザをパクりとした。
すると由里香がオレのジュースをじっとみて、
「あれ?待って!まだ松下くんそれ飲んでないよね?」
って松下くんのレモンスカッシュを指差した。
「え、うん」
「なら、三井のと交換ー。間違えたの三井だしー。わたしの口付けのオレンジあげる♡」
由里香は、オレのまだ飲んでいないオレンジソーダを松下くんに渡して、まだ飲んでいなかったレモンスカッシュを自分の元へと置いた。
そしてオレの目の前に…由里香の口付けのオレンジソーダ。
…
オレは天才か⁉︎
それとも神さまは、オレの味方か⁇
こんなにオレがいい思いして良いんですか⁇
好きな人の飲みかけとかさ…
いいん?
てかさー…
オレじゃないんよ…
なんだろ…なんか、蹴っても蹴ってもボールが空振りしてる感半端ない。
もうさ、もうさぁー…
どうお手伝いしたらいいんやい⁉︎
心は、部屋の隅で体育館座りして反省いたしている所存です。
ごめん由里香…。
ほんとごめんってさ。
あー、由里香〜…
オレ…マジで使えねーわ。
せっかく新しい風に吹かれだした由里香を、壁で覆っているダメダメなオレ。
むしろ…オレが邪魔くね?
あ、待って!
オレが桜音さんと仲良くしたら、自動的に松下くんと由里香になるんじゃ…
だって、なんかいつのまにか瀬川くんと乃亜世さんって…いい感じだし…。
そうだよ‼︎
由里香‼︎
恥ずかしがっている場合じゃない‼︎
いけ‼︎
松下くんにゴーだ‼︎
オレは一気にテンションが上がって、由里香の飲みかけのオレンジをゴクリと飲んだ。
なんだか…甘いけど…嬉しさみしいお味です。
切ないわ…キャメロン。
いや、キャメロンってだれじゃい?ってことなんですよ。
そんなくだらない小芝居はおしまいにして、ハリキッテ午後もガンバルヨー‼︎
てなわけで、オレは早速桜音さんを誘って、松下くんに由里香をお願いしようとしたんです…
というか、お願いしたんです。
そしたら…
まさかの…松下くんに…小声で
「いや、三井くん…察しなよぅ」
って言われました。
…
え…
えっ…
察しなよ…とは…まさかオレと桜音さんいい感じだから邪魔しないでってこと⁉︎
オレは…枝がボキって折れたんじゃないかってくらい心が折れました。
どうすんだよ…
えぇっ?
どうすんだよー‼︎っ⁉︎
もう帰りたい…。
うばぐるまに乗って帰りたい。
なんにも考えなくていい幼少期に戻って、ただただガタガタ心地よく揺れるうばぐるまに乗りたいです。
そもそも…うばぐるまって今は、言わないね。
ベビーカーっていうんかね。
そうさね。
マスター‼︎ベビーカーとおしゃぶり、あとホットミルク哺乳瓶でよろしくーってな感じです。
どうする…どうするんよ?
少しでも由里香が楽しくなることは…
あれしかないか…
そうですね。
それなら、アレを決行しましょうかね。
続く。