心の風
由里香の好きな人が判明して、なるほどと思うと同時に、やっぱり…心がグレーに染まったよね。
正直…オレは失恋したわけで…
まぁ、そもそも幼馴染を解散しようって申し出てきた時点でフラれたも同然なんですけどね。
改めて、二回目のダメージ…
結構くらいましたね…。
あー、そうか…由里香は、松下くんみたいな人がタイプなんですね。
正直…わかる‼︎
だって松下くんって、ささやかな気配りとかできるし、顔も整ってて勉強熱心だもんなぁ。
そもそも松下くんは、好きな人おるんかね?
オレたちは、そんな恋バナとかしたりしなかったから、この機会にきちんと聞いてみようかなと思われる。
そして、めっちゃ不器用な由里香のサポートをしてあげようじゃないか。
由里香は、とにかく驚くほどに不器用だからな。
でも…
どうやって、あのおっちょこちょいで恥ずかしがり屋の由里香と、松下くんをくっつけようか…。
一人迷路に迷い込んだかのように、恋愛サポートの迷子になっております。
そもそも、オレ…誰かのキューピッドさんになったことない…。
どうやってなるんやろ…
そもそもキューピッドなのかキューピットなのかすらわからないんですけど…?
でも、今は濁点があるかないかなんて正直どちらでも良いんです。
それよりもさ、どうやって二人をくっつけよう?ってことなんですよ。
由里香にも、とうとう新しい風ってやつが吹くんですね。
いや、もう恋をしている時点でふきはじめているんじゃないでしょうか?
このまま、穏やかな風でいてくれることを願います。
どうか…どうか強風には、なりませんように。
新しい風かー。
オレには、新しい風なんて吹いていないって思っていた。
しかし、今…まさに恋の嵐なんじゃ…
だって、好きだった幼馴染が別の人を好きだということが発覚したわけで…
それも、自分のお友達って…
オレは、知らない間に暴風域に巻き込まれたんじゃありませんか?
これはまさかの台風になるんじゃないでしょうね?
オレだけ、台風に巻き込まれてた?
え…オレってこれから縁結びの神様役をやるわけなんだけど…
台風の中、せっせと神様役をやるんだ?
それって、なかなかハードだな。
まぁ、でも仕方ないか。
由里香のためなんだもんな。
好きな人のためなら、オレが犠牲になるなんてへっちゃらさ。
なんて息巻いておりました。
そしたら、松下くんが
「じゃあ、さっき言ってた真っ暗病み闇へ行こう!」
と、桜音さんの手を握った。
⁉︎
松下くん…
なんて大胆な…
由里香が可哀想だから…
と、心に嵐が一瞬で吹いたとも。
由里香は、大丈夫なのだろうか…と心配してみてみると…由里香は、桜音さんとにっこり微笑みあっていた。
…
由里香ーー‼︎
好きな人がお友達に奪われそうだっていうのに、なんで微笑んでんのよ?
あなたは、さとりでもひらいたんか‼︎
どうしたん?
それは、余裕の笑みなん?
なんなんよ⁇
オレは、もう由里香がわからないんですけど?
由里香…松下くんが好きなんでしょ?
そんな、他の女の子とおてて繋いでるのに…なのに…なぜそんな余裕なんよ?
オレは、由里香がいたたまれなくて松下くんに、意を決して申し出た。
「松下くん、オレと手繋がない?」
と。
そしたら、松下くんは笑いながら
「あ、うん。こっちの手ならあいてるからいいよ?」
なんて手を差し出してくれた。
なんていい人なんだ。
松下くん。
オレはその手を握った。
そしてそのあとすぐに由里香に、
「山瀬さんも手」
と、由里香の手を握った。
これでオレは、任務成功。
なぜって?
由里香は、たぶんちょくで松下くんと手を握られないのよね。
恥ずかしがり屋さんだから。
なので、間接手繋ぎってやつですわい。
由里香の顔を見ると、ほらね?
やっぱり恥ずかしそうにしておりましたとも。
由里香ってば、やっぱりかわいいやつなんです。
続く。