なるほど
不器用な由里香がどうか、どうかこのまま松下くんとペアでいられますようにと、神だか星だかに、とりあえず願うと…
アトラクションを終えた直後、いきなり由里香がまた…
「ペア替えターイム」
って言いだしたんよね。
…
んなことってあるんかーい?
由里香ーー‼︎
…
そんなことしたら…って、待って。
あ、オレは気づいてしまった。
なるほどー。
もしかしたら由里香は、超絶恥ずかしがり屋さんのようですね。
だからか。
だから…だからあんなに急いで松下くんをまこうとしていたんだな。
由里香…不器用すぎてやっぱりかわいい‼︎
…
オレは由里香愛がどんどん膨らんでしまう一方でした。
困りました。
由里香の恋を応援すればするほど、膨れ上がるオレの愛。
心のフタ…パカパカであいたりしまったり…です。
壊れたフタをどうしようか真剣に悩んでいると、
「ほら、いくよ」
ってオレの腕をくみ出した由里香。
「えっ?ん?」
仲間たちを見回すと、一番初めのペアに戻っていた。
…
あー、うん。
まぁ、由里香は一番このポジションが安心するのかも知れない。
少し離れたところからの松下くん鑑賞が、一番いいのだろう。
しかし‼︎
そんな悠長なことしていたら、松下くんがお友達とカップル成立してしまうじゃありませんかっ‼︎
由里香…
まさか由里香がこんなにも恋に不器用なんて夢にも思わなかったよ…
で、オレはパカパカの蓋閉めに一生懸命で、次のアトラクションがなんなのか聞いていなかった…。
ここの問題、テストに出るから大事ですよっていうの聞き逃したくらい、オレはうっかりさんです。
みんなと、とりあえず歩幅を合わせて歩いていくと…
そこは…
アトラクションでもなんでもなく、お店でした。
「ん?もうお昼?」
隣にいた由里香にそう尋ねると、
「違うよー…食いしん坊は、これだから…」
なんて言われてしまったんよ。
いや…食いしん坊なのは、あなたですよね?とは、言わないけどさ。
そんなこんなしている間に、いきなり頭にカポって被り物をされたんです。
ん?
なんすか?
「かわいぃー」
…
どうやらオレは今…由里香に着せ替え人形的なことをされております…かね?
いいんですか?
由里香さん…
オレなんかとそんなこと…
由里香は、なんで今このタイミングでペア替えして、しかもオレにこんなもんをお被せしておるんだ?
オレは…なにげに、嬉しくて少し恥ずい。
由里香は、ほんとはオレじゃなくて松下くんとイチャイチャしたいだろうに…
…
由里香とオレの照れ隠しって題名をひらめきました。
だらかどうしたってことですよ。
「みてー、おそろ〜」
オレと同じカチューシャを被ってみせてくれる由里香。
…
「あー…うん。かわいい」
「なにそれ?ロボットじゃないんだから…」
「あ、ごめん。めっちゃかわいいよ。な、松下くん」
オレは、きちんと松下くんに言葉のパスを送った。
「あー、ほんとかわいいー」
松下くんからのかわいいをいただいた由里香。
どんなに照れているでしょう?ってみたら、まさかの…乃亜世さんとキャッキャキャッキャしておりました。
せっかくのナイスパス聞いてねー…
由里香…
どこまでトンチンカンなんよ⁉︎
せっかくいいパスだったのに…
呆れたオレをよそに、楽しそうな由里香。
ま、由里香が楽しそうならそれでいっか。
それからオレたちは、それぞれペアでお揃いのカチューシャをつけて、写真撮ろーってなりましたんよ。
由里香…オレとおそろでごめん…。
そんなオレに由里香は、
「ねぇ、二人でも写真撮ろ?」
なんて言ってきたんよ?
「え、でも…」
「いや?」
嫌なわけないけど…由里香がオレと解散したがっていたのに…
あ‼︎
オレは、また気づいてしまった。
由里香は、オレの友達を好きになったから、オレを踏み台に、松下くんとお近づきになりたいんだなと。
なるほどねー。
続く。