ペア
六人で集合して、いざ出発です‼︎
するといきなり由里香が、
「瀬川くん、眼鏡からコンタクトにかえたんだね〜。似合うー」
と、しっかり目を見て話しておりますね。
あー、そういうことか。
きっと由里香は、瀬川くん狙いなんだ。
だから、オレがいても仕方なく了承したのか。
オレの友達じゃあ…ね…無下に扱えないってことでしょうね。
少しガッカリしつつも納得ですよ。
そう心でやさぐれていると、由里香は…今度は、
「桜音も、コンタクトなんだよね!でさ、めっちゃいいコンタクトあるって言ってたよね?」
と、なぜか瀬川くんと桜音さんとの会話が弾ませるようなお手伝いをしてしまっていた。
由里香…不器用かよ。
と、あわれんでしまった。
かと思えば、今度は松下くんに興味を持ったっぽい。
「あのさ、松下くんってその前髪どうやってアレンジしてるの?」
と聞いていた。
今度はうまくいくといいんだが…と、見守っていると由里香は、まさかの…
「乃亜世って前髪フェチでさ、いろんなアレンジ写真もっててね」
と、またも乃亜世さんと松下くんとの会話をとり持つみたいになっていた。
…由里香って、恋になるとこんなにも不器用なんかな?
今までずっと気づかなかったけど、そもそも由里香に好きな人いるのかすらわからなかったけど…
まさかここまでとは、知らなかった…。
ポツンとなった由里香とオレは、無言のまま歩幅を合わせてただただ歩いた。
チラッと由里香の顔を見ると、由里香はなぜか嬉しそうな表情をしていた。
…
次から次に湧いて出る謎で、オレは混乱しつつありました。
これじゃ、新しい風に吹かれないよね…
ってことで、ワクワクニコパークにつくなり、オレはとある提案をみんなにした。
それは…
二人でペアになって、乗り物に乗ろうという提案だ。
由里香は不器用すぎて、このままじゃ由里香以外の二組がカップル成立となってしまう可能性が高い!
だから、それはなんとしても阻止せねばならない。
オレは…本当は由里香が好きなのだけれど、でも由里香がオレを望んでいないので、ここはもう…由里香を陰から応援して幸せにしてあげるしかないと考えたのだ。
てなわけで、いい感じになりそうな方々をシャッフルさせていただきます!
由里香だってめっちゃいい人なんだって、松下くんも瀬川くんも気づくはずだ。
てか…由里香がどっちを好きなのかわかれば、動きやすいんだけどな…。
…まったくわからん。
まぁ、わからんくてもいいでしょう。
てことで、みなさんにご提案プランをお伝えした。
「あのさ、乗り物乗るじゃん?ちょうど男子三人女子三人いるからじゃんけんで一緒に乗る人決めない?男チームでグーチョキパーして、グーの男子は、グーの女子とペアみたいな。」
と、提案するとみなさんからいいねえ!とのご意見を頂戴いたしましたとも。
で、オレと由里香は絶対に一緒には、ならない。
なぜなら、オレはいつもチョキを出すことを、由里香は知っているからだ。
早々と、じゃんけんが終わりオレは
「チョキの人〜」
って聞いたんですよ。
そしたらさ…
⁉︎
なぜ⁉︎
なぜか由里香が手を挙げたんですけど⁉︎
えええええっ⁉︎
すっかりオレの存在を忘れて、オレがいつもチョキを出すことすら忘れられていたのかな…。
由里香…ポンコツかよ…
せっかくオレがチャンスを与えてあげたというのに…。
まったく…。
仕方なくオレは由里香とペアになりましたとも。
「あ…えと…よろしく」
って言ってね。
由里香も、よそよそしくだけど
「よ、よろしく…」
って返してきましたね。
なんだろう…
数ヶ月前なんて、めっちゃ馴れ馴れしい感じで、しかもオレの部屋で二人してゲームとかしてたのに、いまは…他人ってくらいの距離…。
いや、他人…なのか?
…
もう、それすらわからないくらいオレたちは、微妙な関係だ。
微妙なオレたちは、微妙な空気のまま乗り物に乗り込んだ。
由里香に安全ベルトしめられた?って聞こうとしたんだけどさ…
由里香って呼んだら…ダメだよね⁇
やっぱりミョウジです…かね?
てか、ずっと下の名前呼びしてたから違和感でしかないわ。
「あの…山瀬さん…ベルト大丈夫っすか?」
オレの呼びかけに由里香は、一瞬びっくりした顔をしていたけど、すぐさま
「えっ…あぁ、うん、大丈夫」
と返してきた。
なんかさ…
なんか、ほんと複雑な心境っす。
この乗り物が終わったら、オレはまた由里香のために、シャッフル提案をした。
続く。