解散
朝…目を覚ますと、いつもオレの部屋には幼馴染の由里香が居座っている。
しかし…
…
しかしながら、幼馴染由里香は…もうオレの部屋に来ることはないだろう。
昨日までいたんですよ…オレの部屋に。
しかし由里香は、突如…
「ねぇ、真樹也…わたしたちさ…もうすぐ高校生になるんだし、いい加減幼馴染解散しない?」
って言ってきたんですよね。
解散…
そもそもオレたちって、いつから幼馴染を結成したんでしょうかね?
「なんだよ……解散って。そもそも幼馴染ってユニットじゃないんだからさ、解散とかなくね⁉︎」
っていうと由里香は、
「もうさ、幼馴染って…そもそもコンビだよね?いつも一緒で…なんだか知らないけどさ、高校も同じだし、ずっと一緒って意味わからないよね?ずっと幼馴染なんだよ?それは困るし、そろそろ新しい風ってやつに吹かれたいの。ってことでさいなら〜」
と、幼馴染は颯爽と帰って行ったのでした。
目を覚まして、あれって…夢だったり⁇って思わず由里香がベッドに寄っかかっているんじゃないかと、ベッド脇を確認してみた。
…
いない。
いつもいるくせに…いない。
あれはやっぱり現実だった。
でも‼︎
でもです‼︎
もしかして携帯に、あれは嘘だよーんって入っているかもしれないと、確認してみた。
…
ない。
なんの連絡もない…。
なんなら最後の連絡って…だいぶ前だな。
だって、オレたちいつも一緒にいたから…そもそも連絡取り合う必要がなかったんだよね…。
そもそもさ…
新しい風ってなんなん?
別に幼馴染いてもよくない⁇
ってか、オレはずっと一緒にいたかったんだよね。
由里香にとったら、オレは邪魔だったんかな…。
オレは、影みたいにずっと当たり前くらいにつかず離れずな関係でいたかったのに…
でも、仕方ありません。
由里香がそういうんじゃね…
ならばオレは幼馴染を引退して、ひかげおとこになりますとも。
静かにそっと暮らしますよ。
てなわけで、オレは入学すると由里香とは全くの他人です‼︎という感じで、すれ違ってもお互いスルーして生活しました。
もうさ、向こうから由里香が来てるってわかると…
なんか心が一気にモヤモヤぁーってなるんですよ。
カラフルな絵の具のパレットに、黒がいきなり混ざってきたみたいな勢いで、ドロ〜ってなるんですよ。
それも毎回…。
やっぱりこれって、オレだけなんでしょうかね?
由里香は、オレなんかみえてもいないんでしょうかね?
奴がいなくて、明るい世界って思っているんですかね?
…
いいですとも。
ひっそりと影みたいに暮らしていきますとも。
…
そんなオレは、ひっそりといつもそこにいるのに、いてもいない存在になりつつございます。
まぁ、特に問題もございません。
ただ…
ただ、やっぱり由里香とは仲良くしていたかったな。
なんでかオレたちは、同じクラスになってしまったんですよね。
やっぱりこれって運命なんじゃないですかね?
…
オレの勘違いかな…
由里香は、昔から明るくてどちらかといえば、陽キャなんですよね。
オレは、特にキャッキャしているわけでもないので、大人しい友達が多かったんですよ。
だから、入学して早速由里香は陽キャコースまっしぐらですね。
オレは、たぶんこのまま大人しい感じの人とお友達になって、ゆっくり静かなスローライフをおくるんじゃないのかなって、考えてございます。
そして、おとなしめの松下くんと瀬川くんとお友達になりました。
そんなある日、陽キャな由里香グループの一員である乃亜世さんが由里香にこんなことを言っておりました。
「由里香は、このクラスで狙ってる人いるー?」
と。
するとすかさず由里香は
「あー、どうだろうねー」
と、曖昧なこたえでしたね。
するともう一人のお友達、桜音さんが
「三井くんって、顔立ち整ってない?」
とまさかの発言をオレは、耳にしてしまったんです‼︎
三井⁉︎
このクラスに三井って…
オレしかおらんくない⁇
ヤバ…
気まず…
聞いていないふりしてましたけど…めっちゃ聞いてたから、こりゃどうしたもんかと思って、心の中であたふたしてございましたよ。
そしたら、由里香が
「え?三井とかなくない?ならさ、松下くんとか瀬川くんでしょ」
と、一気に人間転換。
「「あー」」
と、三人の視線は一気に松下くんと瀬川くんへと向けられたのでありました。
でもなぜ…由里香は松下くんと瀬川くんをご指名したのでしょう⁇
オレと松下くん、瀬川くんがお友達同盟をくんだというのに…。
…
由里香は、オレと関わりたくないんよね?
なのに、なぜ…
たしかにあの二人って、整ったお顔してますけどね…?
でも、他にも整った顔立ちの人いっぱいいますよね?
⁇
まぁ、由里香にとったらオレはただの影的な存在だから、オレなんか眼中になく、ただ純粋に整ってていいってなったのかも知れませんね…。
でも、少し微妙です…
実はずっと好きだった幼馴染が、友達と交際しだしたら…
オレ立ち直れるかな…
続く。