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【完結】竜殺しのリザードマン 〜竜に支配された世界で自分だけ“竜殺し”の力を手に入れて“劣等竜リザードマン”になった男の逆襲物語〜  作者: 一終一(にのまえしゅういち)
第4章 リザードマン殺し編

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第97話 今際の際

 リンドウは、雷王竜カンナカムイの猛攻を(しの)ぎ続ける。雨あられと降る雷をすんでのところで(かわ)していく。


 逃げるつもりであったアマゾ大森林の方角には雷獣。他の方角にもそいつらは、獲物が弱るのを(うかが)いながら悠然(ゆうぜん)と構えていた。


 それでもリンドウは諦めていなかった。間断(かんだん)なく降り注ぐ雷の猛攻をギリギリ(かわ)しつつ、策を考える。


(諦めるな……勝機は必ず(めぐ)ってくるはずだ)


 だが、その時。リンドウは無意識に片膝(かたひざ)をついた。


(っ……!)


 帝王竜ファフニールと戦い、そのまま夜通し走り、さらには雷王竜カンナカムイの攻撃を避け続けたため体力が限界に近づいていた。


『ふむ、貴様は強い。余の攻撃にここまで耐えたものはかつておらぬ。()れて近づけばやられていたのは余だったかも知れぬな』


 白い幾何学(きかがく)模様の中に望む顔に笑みはなく、ただ銀眼から放たれる冷たい視線だけをリンドウに向ける。


『貴様を配下に置きたかったが、手綱(たづな)を握るには手に余る。さりとて捕縛(ほばく)も叶うまい。ならば冥土(めいど)土産(みやげ)だ。余の究極の雷獣で(ほふ)ってやろう』


 雷王竜の右手から蛇、(いな)、大蛇、(いな)、それよりも遥かに巨大な“雷龍(らいりゅう)”が顕現(けんげん)した。空を優雅に泳ぐ雷龍の叫びと雷音が混ざり合い、恐怖を駆り立てる。


 直撃すればリザードマンの血液があっても防ぎきれないだろう。


(くそっ、動け……!)


 懸命に足を動かすが、明らかに鈍重(どんじゅう)だ。


()け』


 雷王竜が手を振り下ろすと同時、雷龍がリンドウに迫る。大口を開け、地面ごと飲み込む勢いで加速する。


(血で防御を、いや、この質量、防ぎきれない!)


 考えろ、最後の瞬間まで、死ぬわけにはいかないのだ。


 だが。


 死。その言葉が脳を支配する。


 それでもリンドウは、とっさにコバコを遠くへ放り投げた。


(コバコ、生きろ)


 せめて相棒だけでも助けようと反射的に投げたのだ。


(フッ、何やってんだか)


 いつの間にこんなお人好しになったのかとリンドウは死を覚悟しながら笑った。


(すまない、ダリア)


 妻に謝罪し、死を受け入れ、ゆっくりと目を閉じた。


 が、その時だった。地面から(ねずみ)型の何かが姿を現した。


「ヂューヂュー!」


 円蛙爬(えんあは)竜アメフクラのコロの眷属、ハープウェアラットの“チューボー”だ。


(お前は……!)


 リンドウは、反射的に穴へ潜ったチューボーを追いかける。


 生きねばならない。その思いが足を動かし、穴へ滑り込ませる。


笑止(しょうし)! 今更尻尾を巻いて逃げるか! だが、遅い!』


 雷龍が大口を開けてリンドウに迫る。地面に上下の牙が突き刺さり、そのまま食い(えぐ)る。


 直後、雷龍は大爆発し、周囲に稲妻を撒き散らせる。


 そして、世界が()けた。


 砂煙の晴れた先、隕石(いんせき)が落ちたかのような大穴が開いていた。

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