表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】竜殺しのリザードマン 〜竜に支配された世界で自分だけ“竜殺し”の力を手に入れて“劣等竜リザードマン”になった男の逆襲物語〜  作者: 一終一(にのまえしゅういち)
第2章 懸賞首狩り編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/216

第66話 世界の中心へ

 リザードマンのリンドウと、茶髪で左目に眼帯をした鍛冶師キュクロは、ケイオス北に位置する第一出入口にいた。


 キュクロは、大急ぎで作った翼付きの“新・避役竜鎧(ひえきりゅうがい)”をリンドウに着せた。


 装着した瞬間、体色と同じく漆黒(しっこく)に変化した。


「背中に力を入れてみな」


 リンドウが、言われた通りにすると黒翼(こくよく)が大きく羽ばたく。


「よし、完璧だな。飛べない代わりに動かせるようにはできた。雑魚の魔法に耐えられるくらいの強度もある。これで竜を(あざむ)けるだろ」


 リンドウは視線で感謝の意を伝えた。


姉妹(あいつら)に挨拶しなくて良かったのか?」


 肯定(こうてい)する。情が移り過ぎた。会えば目標達成の意志が揺らぐ気がした。だから会わない。それに竜を倒せばいつでも会えるようになる。


『お前はケイオスに残るのか』


「抜けても良かったが、てめぇが姉妹(バカども)のお守りをしやがらねぇからオレが残るしかねぇだろ。それに天樹(てんじゅ)竜がいなくなった今、新たに迷宮病の薬は作れないんだよ。だからオレが代用品を研究開発しないとなんねぇ」


 キュクロも大変なのだな、とリンドウは思った。


「で、こっちの出入口に来たってことは“帝王竜ファフニール”を狙うんだろ?」


 肯定した。目指すは元ルーマ帝国。円形のムーランディア大陸の中心に位置し、世界を恐怖に(おとしい)れた破滅の六王の一頭、帝王竜ファフニールの巣がある場所だ。


 王竜の中で唯一(ゆいいつ)居場所が分かっていて、潜入して狩るには絶好の相手ということだ。


 だが、そこは迷宮が一切ない。つまりリザードマンの正体が判明すれば、空飛ぶ竜になすすべなく虐殺(ぎゃくさつ)されて終わりだ。今まで以上に気を引き締めなければならない。


「世話になったな。てめぇが居なかったらケイオスは消滅していただろう。ケイオス民を代表して感謝する」


 キュクロは申し訳程度に頭を下げた。


「じゃあな。王竜をすべて倒したら英雄譚(えいゆうたん)を聞かせてくれよ」


 キュクロは手を上げて別れの挨拶をした後、(きびす)を返す。


 リンドウは彼を見送りながら、面白い男だったな、と思った。冷静でありながら、父親ドゥワフに似て熱いものを持っており、面倒見がいい。


(あの男に似ているな)


 妻ダリアの父親と雰囲気が被る。彼も表情に出さないタイプで、内には野心家という燃えたぎるものを持っていた。


 今どこで何をしているのかは知らない。そういえばダリアの母親や妹の行方も分からない。行く先で安否(あんぴ)が分かるだろうか。


 そんなことを考えていると、キュクロがケイオス出入口の中に見えなくなった。


 彼と姉妹がいればケイオスは大丈夫だろう。きっと上手く再建するはずだ。


 リンドウも踵を返そうとしたその時、コバコがひょっこりと顔を出す。


『なんだ、居たのか』


 相棒はプンスカ怒って抗議する。


 今回は全体的に空気であったものの、姉妹を守ったり、黒狼団を呼んだりと要所で活躍した影の立役者だ。


 コバコが居なければ結末は変わっていただろう。褒めるべきなのだろうが、鼻が伸びるので言わない。


 代わりにリンドウは頭を()でてやった。


 コバコは機嫌が治り、『すすめー』とでも言うように北を指差す。


(行くか)


 結局、樹王竜と会わなかったのが気になるが、信号を解析した今、先に進めば(おの)ずと答えが分かるだろう。


 次が勝負の分かれ目だ。王竜との戦い。わずかな失敗でも命取り。


 そして、王竜を倒せば一気に世界は動く。人も竜もリンドウを放っては置かないはずだ。あらゆる事態を想定し、柔軟に対応できなければ即座に死ぬだろう。


 しかし、彼に気負いはない。すべての覚悟は出立(しゅったつ)前にして来たのだから。


 リンドウは、黄金の双眸(そうぼう)に闘志を宿し、世界の中心へ向けてゆっくりと歩きだした。



【第2章 懸賞首狩り編】 —終—

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ