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【完結】竜殺しのリザードマン 〜竜に支配された世界で自分だけ“竜殺し”の力を手に入れて“劣等竜リザードマン”になった男の逆襲物語〜  作者: 一終一(にのまえしゅういち)
第4章 リザードマン殺し編

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第101話 獣竜戦2

 天井に穴の開いた国境地下の大空間。


 リンドウは、大鷲(おおわし)獣竜イグルーの配下である徒竜八頭をあっという間に壊滅させた。


『おい、お前は仲間を呼んで来い』


 イグルーは、象型の竜に指示を出し、仲間を呼びに行かせた。一頭だけになり、遥か上空で羽ばたきながら獲物へ向き直る。


『やるな、劣等竜。だが、ここから逃げられると思うなよ』


 出入口は、すべて立方体の魔法ブロックで封鎖されており、抜け出すには竜殺しの血液を使って破壊するしかない。しかし、血を温存したいリンドウにとって、ほぼ無限に出るブロックを破壊しながらの脱出は不可能。


 ならば取る行動は。


『逃げるまでもない。殺してやるよ』


 言うが同時、壁をヤモリのごとく【吸着歩法(きゅうちゃくほほう)】で駆け上がる。


『簡単に近づかせると思うなよ!』


 イグルーは、すぐに両手を(かざ)し、魔法を発動。手のひらサイズの四角い箱の群れがリンドウを狙う。


『悪いがおもちゃ箱で遊ぶ歳でもないんでな』


 壁に手を着き、右に左に(かわ)していく。


 木を渡る猿のように移動し、あと数歩という距離まで詰めた瞬間、壁から長方形のブロックが飛び出して行く手を(はば)んだ。


『いかに貴様が強くとも、近づけなければ負けはない』


『ああ、そうだな。だから今日は帰らせてもらうぞ』


 (ふさ)がれていない天井から地上へ抜けようとするリンドウ。


『なっ! 逃がさん!』


 イグルーは、(あせ)りながらも魔法でしっかりと(ふた)をしていく。さすが衛竜だけあって発動速度も量も雑魚と段違いだ。あっという間に自身の真上以外を塞いだ。さらに立方体の弾丸でリザードマンを仕留めにかかる。


『オラオラ! まだおもてなしは終わっていないぞ! ゆっくりしていったらどうだ!』


 敵の波状攻撃により、リンドウは対面の壁まで追いやられた。その時。


『追いつ〜いた!』


 両爬竜達が合流。壁からミミズ型の竜が次々と現れる。イグルーは空間に穴を開けられ、露骨に嫌な顔を浮かべる。


『ちっ、邪魔だ。下がってろ』


『や〜だね。リザードマンは俺達の獲物だ』


『雷王様の言うことが聞けないのか!』


『お前は雷王じゃないだろ〜?』


『バカが。死んでも文句は言うなよ』


 内輪揉(うちわも)めが終わり、イグルーが両手を広げると、拳大(こぶしだい)のブロックが顕現(けんげん)した。腕を振るとそれらが流星のごとく降り注ぎ、リンドウを襲う。


『単調だな。それでは俺を殺れんぞ』


 壁を横に走り、回避。砂礫(されき)砂埃(すなぼこり)が舞う。


『黙れ。いま殺してやる!』


 壁に埋め込まれたブロック達が寄り集まり、大きな竜の手の形に変形した。それがリンドウを掴みにかかる。が、長い舌を天井に伸ばして避けた。


『次は鬼ごっこか。ガキの遊びが好きなようだな』


『減らず口を!』


 リンドウは逃げながら下に鱗を飛ばしていた。それが両爬竜達の目や翼を削る。


『いてぇ〜! だが、こんなもんでやられるか! 舐めんじゃねぇぞ!』


 怒った両爬竜達が飛び上がった。体が魔法で螺旋(らせん)状になり、リンドウを穿(うが)つべく回転体当たり。


 だが、リンドウの驚異的な動体視力で見切られ、踏みつけられる。


『ぐぇ』


 リンドウは、足で切り裂きながら空中を移動、何頭か雑魚を足場にして最短距離でイグルーに迫る。


『くそっ、馬鹿ども! 敵に足場を作ってどうする!』


 イグルーは、急いで魔法を放とうとする。しかし。


(遅い!)


 リンドウは、右眼から【血涙(けつるい)】を飛ばした。


 ——サバクツノトカゲは、目から血を飛ばし、敵を撃退する——


 流すことしか出来なかった血は、鍛え続けたことで高速で射出できるようになっていた。


『な』


 焦るイグルー。胸に矢のごとき速さで飛来する血を反射的に回避するも、肩口と翼を撃ち抜かれた。


『ぐ、だが、まだッ!』


 血を吹き出しながら彼我(ひが)の間にブロックを引き延ばした巨大な壁を出現させた。


(チッ!)


 行き場を失ったリンドウは、カメレオンのごとき長い舌を伸ばし、一度壁に退避した。


 イグルーは、傷口を抑えながらリザードマンを(にら)む。


『くっ、やはり帝王竜を(ほふ)っただけはある。だが、次はないぞ』


『ああ、もう遊びは飽きた。ちょうど迎えが来たようだぞ』


戯言(ざれごと)を——』


 言い終える直前、イグルーの腹から黒い触手が生える。


『な……!?』


 黒い槍状になった“コバコ”が腹を貫いたのだ。


 敵は魔法で屋根を作ったせいで、獲物を(とら)えにくくなり、仕方なく自分の高度を下げて天井付近に位置していた。つまりそこは地上一階と同義。地上にいた相棒でも容易に敵を攻撃できたのだ。


『な、に』


 混乱状態に(おちい)る敵をリンドウは下から襲いかかり首を()ねた。死体と共に着地し、コバコに向き直る。


『遅いぞ』


『えいゆーはおくれてとうじょうするもの』


 誰に似たのか壁に文字を書き、軽口を叩くコバコ。


 ともかく、勝利を収めた二匹は拳を突き合わせて喜びを分かち合った。

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