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【完結】竜殺しのリザードマン 〜竜に支配された世界で自分だけ“竜殺し”の力を手に入れて“劣等竜リザードマン”になった男の逆襲物語〜  作者: 一終一(にのまえしゅういち)
第1章 ガーラ大迷宮編

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第10話 鍛冶屋ドゥワフ1・友だから

 ガーラ大迷宮六区。リンドウ達は指輪を作ってくれた目的の人物の住む集落にたどり着いた。


 謎の黒い不定形生物コバコは、自身を収納する箱を片付けてリンドウの腰に巻きついてスヤスヤ。


(さっき随分と睡眠を取ったはずなのにコイツはまったく……)


 呆れながらも探索を始める。あちこちに壊れた柵や荷車。壁に血痕。リンドウの集落と同じように荒れていた。


 生存は絶望的と感じつつも一縷(いちる)の望みをかけて男の家へ行く。そこは武器や防具が陳列してあり、油の臭いが充満する工房だった。周りを見渡していると唐突な風切音。


 リンドウ目掛けて矢が飛来してくる。それを眼に刺さる直前に掴んだ。


「ほう、やるじゃねぇか」


 奥から全身竜の鎧で覆われた男がクロスボウを構えたまま現れる。そいつは探していた人物——“鍛冶屋ドゥワフ・ドワーフ”だった。


 こちらを警戒しながら矢を装填し直している。リンドウはドゥワフに向けて指輪を見せた。


 彼はクロスボウを構えたまま目を凝らし、それを凝視する。


「その指輪……まさか、リンドウか?」


 リンドウは、ゆっくりと頷いた。


 ドゥワフは警戒しながら近づき、無骨な手を差し出す。


「お手」


「…………」


「おすわり」


「…………」


「おまわり」


「…………」


 リンドウは全て無視した。


「この付き合いの悪さ……間違いねぇ! リンドウじゃねぇか!! おぉ友よ、生きていたか!!」


 ドゥワフがバシバシと肩を叩く。


 血が入らないように被っていた兜を脱ぐと、濃い茶髪と髭を蓄え、左目に眼帯をした中年の男の顔が現れた。髪と髭が剛毛で境目が分からず繋がっているように見える。獅子を想起させる面立ちだ。


「どうしたその格好……ははーん、変装だな。どれ、後ろに縫い目があるんだろう? ……な、ない! こりゃ……天才職人が作ったに違いない! 俺様と同レベルぐらいか、いや、俺様の方がちと上だな!! ガハハ!!」


 溜まっていた鬱憤を晴らすかのごとく喋り散らすドゥワフ。うるさくて目覚めたコバコが触手を出して喋り終わらないヒゲ男にビンタする。


「あぅあ!?」


 ドゥワフは、何が起きたのか分からず虚を突かれていた。リンドウは、内心良くやったとコバコを褒める。


 落ち着いたところで壁に文字を書いていく。ダリアや集落、血の情報を除くリザードマンのことなど、自分の身に起きたことを説明した。初めはニヤニヤと聞いていたドゥワフも最後には顔が曇っていた。


「……そうかダリアちゃんが……何で急に竜が……クソッ!」


 壁を叩いて怒りを露わにするドゥワフ。大きく息を吐き、血圧を下げたところで話し始める。


「これからどうする気だ? まさか、竜を皆殺しにするなんて言わないよな?」


『そのまさかだ』


「おいおい、よく考えろよ。この世から蚊やハエを駆逐できると思うか? 無理だろ? 竜だって一緒だ。今この瞬間、大陸が爆発したとしても奴らは生き残るだろうよ。でけぇ翼を使ってな」


 リンドウの背中を見て続ける。


「お前にはそれがない。人間と変わらないんだよ。空を飛ぶ奴らには勝てない。それより迷宮で仲間を集めて少数で静かに暮らさねぇか? 今のお前なら守りきれるだろ?」


『そうかもな。だが、絶対ではない。元を絶たない限り同じことを繰り返すだけだ』


「復讐にとりつかれるなよ。感情だけじゃ奴らにお前の牙も刃も届かない」


『復讐じゃない。ダリアとの約束を守りたいだけだ』


「言葉遊びだな。表面をすげ替えているだけで同じことだ」


『それでも俺は曲げない。半端な覚悟でここにはいない。付き合いの長いお前なら分かるはずだ』


 最後の言葉にたじろぐドゥワフ。


「……その言い方はずるいな。友だからこそお前を止めたいんだよ」


 睨み合う二人。しかし、ドゥワフの方が先に目を逸らして大きなため息をついた。


「……何を言っても無駄か。お前は本当に頑固でバカだな。……まぁ、そこが魅力でもあるか」


 ドゥワフは切り替えるように一度自分の頬を両手で叩く。


「……よっしゃ! しゃーねぇな、俺様も協力してやる。何かできることはあるか?」


『助かる。竜の情報を教えてくれ』


 よし、来た。と、ドゥワフは言って、イスに腰掛けて話す準備を整えた。

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