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鉄と真鍮でできた指環 《4》 ~魔窟のエクストリーム~  作者: とり
 第4幕 魔窟(まくつ)へ・・・
47/66

47:とても、はずかしい。


 ・前回のあらすじです。

 『和泉いずみがレオナの位置をみつけようと、探査たんさ魔術まじゅつをつかう』




「あれ?」

 和泉いずみは、薔薇園ばらえん地面じめん――自分のあしもとにひろがる、仮想かそう図面ずめん見下みおろした。

 あくまで和泉の脳内のうないに浮かんだモニターを、術者本人じゅつしゃほんにんが確認しやすいように、このの物体をかいして固定しているだけなので、そばにいる少年しょうねん――クロには、マップじょう画面がめんはみえない。

 クロにとっては、主人しゅじんである魔術師まじゅつし青年せいねんが、なんの変哲へんてつもない地面をながめて、ぶつぶつひとりで言っているだけだ。

 首をかしげる和泉に、クロはもどかしそうに言った。

「どうしたの。つけたならはやく行こうよ」

「いや……。おかしいな」

 和泉のなかにあせりがこみあげてくる。

 『とりてん』が出せなくてこまっている学生たちに対して、「オレがレオナをつれてきます」と大見栄おおみえを切ってしまった手前てまえ、この失態しったいはとても――。

 とても、はずかしい。

「えっと。その……。いないんだよ。レオナが」


 和泉いずみにはえている画面がめん――ペールブルーの半透明はんとうめいで、東西南北とうざいなんぼく方角ほうがくがしるされた円形のモニター。

 そこには術者じゅつしゃ自身と、術者の意識(ない)で設定した『ターゲット』の情報じょうほうをもとに、該当がいとうする人物だけが、光点こうてんとなって抽出ちゅうしゅつされるはずだった。

 が。和泉が凝視ぎょうししているブルーの画像は、中心ちゅうしんの黄色い点――術者である和泉本人をしめすマークである――以外に、なにもしめさない。

 クロもまた、不思議そうに首をかしげた。

 主人しゅじんひととしてはびみょ~だが、魔術師としては有能ゆうのうである。魔法まほう失敗しっぱいしたとは考えにくい。

「ひょっとしたらレオナってば。ミドルネームとかあったのかも。条件じょうけんだけ変えて、範囲はんいはそのまま、あらためて探してみたら?」

「そのほうがいいか」

 エリアをひろげてさがすという方法ほうほうもあったが、それは精度せいどちる。

 和泉はぼやくようにして、クロのあん採用さいようした。

 このさいおもいきって、捜査そうさ対象たいしょうからレオナをはずす。

 彼女かのじょ使つかである、ミーコに設定をしなおす。


 『ベンガルトラ』。で、『ミーコ』。なら、いくらこの【うら】の世界ひろしといえど、おなものはふたりといまい。大学のキャンパスないであれば、なおさらである。

 あらためて。和泉いずみ魔力まりょく琴線きんせんをはりなおす。と。

「――おっ。いた」

 つかまえた。

 ローマ字で【Miiko】と表記ひょうきされた、あかい点。

 きっと主人しゅじんであるレオナと共にいるのだろう。小さな光は、白い線で描かれた校舎のみとり図(マップ)を、エントランス部分にむかって、ちょこちょこと動いていく。


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