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鉄と真鍮でできた指環 《4》 ~魔窟のエクストリーム~  作者: とり
 第3幕 学園祭、二日目(ふつかめ)
42/66

42:おしゃれをしたいとしごろ


 ・前回のあらすじです。

『レオナがキャンパスないのじぶんのアトリエで、ものおもいにふける』

 (※前回にひきつづき、サブキャラクターの「レオナ」視点してんのはなしです)




「あっ。こんなところにいた」

 作業場さぎょうばをあけてはいってきたのは、みどりのかみ少年しょうねんだった。

 今年のふゆに十三才になるおとこで、十八じゅうはち以上(いじょう)が学生のたいはんをめるプリンピンキアにおいて、レオナと同様どうよう年少ねんしょう部類ぶるいにはいる。

 彼は今年にはいってきた一年生いちねんせいで、レオナは年生ねんせいだが、希少きしょうな年少同士ということで、なにかと気がい、行動をともにすることがおおい。

「アキラ」

 自然とスツールから腰を浮かし、レオナはいつものくせでスカートをなおした。

 アキラとよばれた少年は、レオナのもとに小走こばしりする。そしてぎゅっと、彼女かのじょ両腕りょううでをにぎりしめた。

「よかった。もしかしてアトリエ(ここ)にいるかなーって。にきたんだ」

「そう」

「? なんかげんきない? おじゃましちゃった?」

 レオナのかおをのぞきこみ、すぐに少年――アキラはスレートブルーのひとみをイーゼルにむけた。

 レオナはかぶりを振るう。


「ううん。ちょっとやすんでただけ。ひとがおおくて、つかれちゃって」

「そういや、さわがしいのニガテって言ってたね。よっぽど特別なおもい入れがないかぎり」

「うん」

 威嚇いかく的に染められた少年しょうねん頭髪とうはつを、レオナはしずかに見おろす。

 もとは黒にちかいチョコレートブラウンだが、おしゃれをしたいとしごろというのもあって、アキラはあえて天然てんねんではみかけない濃緑のうりょくをヘアカラーにえらんでいた。

 もちろん。染髪せんぱつするのは意地のわるい上級じょうきゅう生からにらまれないようにするという意味いみも、たぶんにふくまれているのだが。

「あのね。コースケから通達だよ」

 ひとなつっこい笑顔を、アキラはくっつかんばかりにレオナにちかづけた。

「あしたの午後一時(いちじ)学祭フェスのパレードの最中さいちゅうに、降臨こうりんをおこなうって」

「じゃあ――」

 あかるく、はねるいきおいで言伝ことづてをするアキラに、レオナもつられたように、をきらりとさせた。

「ほんとうにバフォメットさまが?」

「そう。ついに来るんだよ!!」

 アキラの歓声かんせいおうじるように、レオナも声に喜色きしょくをのせた。


 ミーコはあえて、ふたりの会話をきかないふりをする。

 校舎こうしゃまどを、無限むげん軌跡きせきを引きながら、雨粒あまつぶがしたたかに打ちつづける。




         (『第3まく:学園祭ふつかめ』おわり)





 んでいただき、ありがとうございました。





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