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鉄と真鍮でできた指環 《4》 ~魔窟のエクストリーム~  作者: とり
 第3幕 学園祭、二日目(ふつかめ)
36/66

36:これが青春(せいしゅん)・・・か。


 ・前回のあらすじです。

和泉いずみがレオナに、絵の感想を求められる』









ためすようなことをしてごめんなさい」

 レオナは和泉いずみから視線をはずした。

 よほど自信をなくしているのだろう。彼女かのじょ謝罪しゃざいには、なにもこもっていなかった。つくり手として、「訊いてなにがわるい」とさえおもっているのではないか。

 そんな、怒りさえ感じる。

「べつに、本気ほんきで買わせようなんて――。――いえ。思っているんでしょうね。私は。でもね。それ以上いじょうに、気になったんです。これをみた人は、どんな風におもうんだろうって」

意見いけんを聞きたかったってこと?」

 和泉は慎重しんちょうにレオナに問いかえした。

 感想ならもう言ったじゃないか。とつけたしたかったが、レオナが言いたいのは、そういうことではないのだろう。

 レオナがこちらをむく。

「あの。和泉さんは、大学の教授きょうじゅをしているとお聞きしましたが」

「……まあ。そうだよ」

「それって、どうやってなられたんですか?」

「きみが知りたい答えは出せないよ。オレには」


 この時ほど、和泉いずみは自分の右手みぎてにある指環ゆびわずかしくなったことはない。

 魔術師まじゅつしとして、積みかさねてきた歳月さいげつ修練しゅうれんには、なんらち度とみとめるところはない。

 けれど。レオナのように、壁にぶつかって。なやんで。まよって。それでも得たいものが手にはいらない人間をまえにして、なにかを語ることがゆるされるほど、えらくなったおぼえもなかった。

「……」

 返事をはぐらかした和泉いずみから、レオナは自分のあしもとにしずかにをそらす。

「うらやましいな」

 と彼女かのじょは言った。


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