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契約その91 虚構!晴夢学園School Festival!

 十五時になった事で、またシフトが変わった。


 今回ユニと回るメンバーは、由理、紫音、どれみ、モミの四人で、非クラスメイトのメンバーである。


「行きたい場所、何かある?」


 パンフレットの地図を見ながら、由理が言った。


「だったら、わしのクラスの出し物に来て欲しい。きっとビックリするからな」


 紫音が言った。


 確か紫音のクラスは「お化け屋敷」だったはずである。


 しかしパンフレットには「VRお化け屋敷」と記されていた。


「VR?仮想現実ですわね」


 どれみが言う。


「まあ、行ってみればわかる」


 紫音の提案により、ユニ達は紫音のクラスへ行くのだった。


 ユニにとって、中学生の教室へ行くのは久しぶりである。


 つい一年前まで中学生だったはずだが、どこか懐かしい感じがした。


 紫音のクラスの前には、「VRお化け屋敷」という、どこかサイバー感溢れるデザインの看板が立てられていた。


「VRのお化け屋敷」という目新しさからか、かなり繁盛している様だ。


 見た感じすでに五十人程が並んでいる。


 待っている間、紫音がこのアイディアに至った理由を説明してくれた。


「まず、クラスで決まったのはお化け屋敷という点のみでな、だがお化け屋敷は手間がかかるという意見も散見された」


「成程」


 納得するユニ、紫音は話を続ける。


「そこでわしが開発したのが、"超リアルVRゴーグル"じゃ。これなら準備もイスを並べるぐらいでいいし、店の拘束時間も短い」


 それに「VR」という目新しさもあるので、多くの集客が予想される。と紫音は付け加えた。


 しばらくしてユニ達の番が来た。


 教室の中に通されるユニ達。


 イスの上には水泳の時に使う様なゴーグルをもっとゴツくしたデザインのゴーグルが置かれていた。


 イスも所狭しとたくさん並べられている。


 準備がイスだけでいい上に場所も取らないので、たくさん並べて店の回転を早くしたのだろう。


 店員の指示に従い、ユニ達は同時にVRゴーグルを装着した。


 すると教室がユニ達の眼前から消え、全体的に暗い墓場が映し出される。


「基本的に一人用だが、こうやって手を繋ぐと、友人と一緒に行く事ができるのじゃ」


 ユニは、自分の手を誰かが握った感触を覚えた。すると今まで一人だけだった仮想現実に、紫音の姿が映し出された。


「じゃあ私達も……」


 由理達もユニの手を握った事で仮想現実に現れた。


「歩こうとすれば歩けるし、走ろうとすれば走れる。さすがに物に触れたりはできないがな」


 紫音が解説した。


「では、恐る恐る進んでみようか」


 紫音の掛け声で、ユニ達はゆっくりと進んでいく。


 自力で歩いてないのに動いているという感触は、まるで車に乗っているかの様だ。


 すると突然、地面が盛り上がる。


 墓の中から、泥だらけの体にボロボロの服という不気味な姿をした、ゾンビの集団が現れた。


「おーっ!」


 そのリアルな出来に、さしものユニも驚いた。


 みんな驚くタイミングは同じなのか、周囲からも悲鳴が聞こえる。


「地面からゾンビが這い出てくる」という演出は手間がかかる。文化祭のお化け屋敷ではできないだろう。


 よく考えたものである。


「ちょっと待って!?井戸から……」


 モミが叫ぶ。普段の彼女から想像できない慌て様である。


「一ま〜い……二ま〜い……」


「お岩さんだあああ!」


 特にモミの声が響く。


「ちょっと待って?よく見るとお岩さん巨乳じゃない?」


 そんなユニのフォローも虚しく、モミはただひたすらにビビりまくっている様だ。


「あばばばば……」


 そんなユニ達に、さらなるお化けが襲いかかって来た。


「首伸びたぁぁぁ!」


 ろくろ首である。


「傘が動いたぁぁぁ!」


 唐傘お化けである。


「顔がぁぁぁぁ!」


 今度はのっぺらぼうだ。


 時間はだいたい十分程であり短いが、モミが腰を抜かすには十分だった。


「う……動けないのです……」


「わかった。おれが抱き抱えるから……」


 ユニはそう言うと、モミをお姫様抱っこするのだった。


「うわっ!さりげないイケメンムーブ!」


 羨ましそうに由理が言うのだった。


 腰を抜かしたモミの回復の為に、ユニ達は休憩所を訪れた。


「よしっ!一旦ここに座ろうか」


 ユニは、モミをイスの上に下ろした。


「まさかあんなに怖いとは思わなかったのです」


 モミが言う。確かに怖かったが、さすがに腰を抜かした者はモミ以外にはいなかった。


「でも、VRってよく考えましたよね。ウチにも採用したい程ですわ」


 どれみが言う。


「じゃあ今度実験してみるか」


 紫音が返した。


「これからどうする?何か食べる?それともゲームでもする?」


「ゲームかな……。ここならどうだ?」


 ユニがパンフレットを開いたその時である。


「だったら私とゲームしましょうか。こんな高校クラスのチャッチな出し物とは比べ物にならない程楽しいゲームを」


「!?」


 急に誰かが話しかけてきた。


 声がした一瞬で、ユニは振り向くと、その姿に驚愕する。


「まさか……お前は……!」


「誰ですか?」


 体育祭の時点では彼女ではなかったモミが聞く。


「そうか、モミは知らなかったか。こいつは……」


「『メフィスト』です。どうやら何人か仲間が増えた様ですね。お見知り置きを」


「メフィスト」が丁寧なお辞儀をする。


「それで、ゲームだと?」


 かつて体育祭を舞台に行われた悪趣味なゲームを思い出しながら、ユニは「メフィスト」を睨みつけて言う。


「ええ。あの時の様な、面白いゲームです」


「アレを面白いと言うとは、ちと趣味が悪いのう……」


 呆れながら紫音が言う。


「今回は私のビジネスではありません。文字通り、私を楽しませる為のゲーム……不参加は認めませんよ?」


「メフィスト」は妖しく笑うのだった。


 悪魔との契約条項 第九十一条

基本的に、悪魔にとって人の命はオモチャも同然である。

読んで下さりありがとうございます。

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