表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/299

契約その76 咲かせてみせよう、オタクway!

 晴れて恋人同士となったユニと萌絵は、一緒に帰っていた。


「ヘェ……一人暮らしなんだ」


「そうっす!実家が結構遠いので、仕送りとバイトと……それらで何とか生計を立てているであります」


 じゃあ……とユニは萌絵に聞く。


「一緒には住めないのか?」


「いえいえ、アパートを引き払って、両親に事情を説明して、三日程でそちらへ越していけると思います」


 三日後はスポーツの日、祝日である。


 それはよかったとユニはほっと胸を撫で下ろしたが、それと同時に心配になる。


「親御さんにはどうやって説明するんだ?ムリなら一緒に住まなくてもいいけど……」


 それを聞いた萌絵はあっけらかんとした顔で言う。


「大丈夫ですっ!ウチは割と放任主義なので」


 ああそうなのか……とユニは納得した。


 やがて二人は、別れ道に来た。


 ユニは右、萌絵は左に曲がるらしい。


「ここでお別れですね。今日はありがとうございました」


 萌絵はしっかりと頭を下げて去っていった。



 三日後。本人が言った通り、萌絵は瀬楠家を訪れた。


 両手にバック、背中にリュックサック、さらに大型のスーツケースを持っている。


 一人の引っ越しにしてはやけに大荷物である。


「ここがキミの部屋だから、荷物置いて来な」


 ユニが地図を指差しながら言った。


「いえいえ、宅配便を待ちます。あと数分で……」


 まだあるのか……ユニは驚いた。


 しばらくしてチャイムが鳴り、大きめのダンボールが五つ届けられた。


「では、一旦荷物を置いて、その後で皆さんにご挨拶をしましょう」


 萌絵はその後、自分の部屋と玄関とを行ったり来たりしながら、荷物を搬入するのだった。


「さて、終わりましたね。皆さんにご挨拶をしましょう」


 萌絵は意気揚々とリビングのドアを開けるのだった。


 リビングには、ユニの彼女全員が集まっていた。


 リビングに入った瞬間、萌絵はその光景に悶える。


「ぬわっ!美少女だらけっ!」


 萌絵は、まるで突然眩しいものを見たかの様なリアクションをし、腕で顔を抑える。


 そんな彼女を、ユニは嬉しそうに紹介する。


「みんな!おれの新しい彼女で、名前が……」


「尾宅萌絵です……よろしくお願いします……って拙者場違いじゃないですか?」


 萌絵がネガティブを発動させる。


「場違いなもんか。キミもかわいいよ」


 ユニが言う。


 それを聞いた萌絵はぼうっと顔を赤らめるのだった。


 彼女達もそれぞれが自己紹介を始める。


 巡り巡って、最後に自己紹介を始めたのはルアである。


「私は飯戸留愛って言って、ルアっていう芸名で『J's』っていうアイドルグループに所属してます。よろしくね」


 それを聞いた萌絵は飛び上がる程驚く。


「や!ややややっぱり!まさかとは思ってたけどえ?本当にルアさんですか!!?」


「そ……そうだけど」


 それを聞いた萌絵はルアの手をガッシリ掴むと言った。


「え……

 いや拙者大ファンなんです!初めて学校にいらした時はもうめちゃくちゃ嬉しくて!握手してもいいですか!?」


「いや、もうしてるけど……」


 萌絵は、自分が勢い余ってルアの手を掴んでいた事に気づき、慌てて振り解いた。


「わ!いやいや!これは大変失礼致しました!興奮してしまいつい!」


 萌絵はわたわたと慌てながら弁明する。


「いや別に構わないけど……」


 ルアは萌絵の事を面白い子だと思った。


 その横で、メイと藤香が相談をしていた。


「藤香、今日の配信の衣装なんだけど……」


「成程修正依頼か。わかった。この程度の修正ならば三十分で終わらせよう」


「もしもし、その『配信』というのは一体?」


「配信」という言葉を聞きつけ、萌絵がメイと藤香に話しかけて来た。


「ん?ああ、ぼくは『幻夢めいと』っていう名前でVライバー活動をしている。藤香は『幻夢めいと』のママなんだ」


 それを聞いた萌絵は、今度は床を転げ回りながら驚く。


「なななな何と!いつも配信見てます!それで、そのママって事はまさか……」


 藤香はため息をつきつつ言う。


「そうだ。僕は『黄桃ハル』っていうペンネームで『初恋エターナル』っていう漫画を描いてる」


「やはり!毎週読んでます!拙者としては二巻の……」


 萌絵は長く話し込んでしまった。


「えっと、藤香?早く修正を……」


 萌絵が熱く語る様に少し引きながらも、嬉しそうに聞いていた藤香を、メイがたしなめる。


「はっ!も……申し訳ありませんでした!趣味の話になると長く話し込んでしまうのは拙者の悪いクセでして……」


「それぐらい好きだって事だろ?嬉しいよ。ありがとう」


「ぐっ……だばっ……♡」


 それを聞いた萌絵は、今度は嬉しさのあまり膝から崩れ落ちるのだった。


 一通りのリアクションが終わり、ユニ達はこれから萌絵の部屋になる場所を訪れる。


 ユニは萌絵が持ってきたダンボールの中身を見ると、感心しながらこう言う。


「それで、これがダンボールの中身か……」


 ダンボールの中身は大量のフィギュアや漫画であった。


「どれも捨てる事なんてできない立派なコレクションでございますから」


 ユニに萌絵は言った。


「ヘェ……すごいな」


 ユニは素直な感想を漏らす。


「勿論、オタクの道に妥協はありませんからね!」


 萌絵は胸を張って言う。


「と、いうわけで、これから末長く、よろしくお願いします!」

 萌絵はユニに手を差し出しながら言う。


「ああ、よろしく!」


 ユニもまた、差し出された手を強く握り返すのだった。


 悪魔との契約条項 第七十六条

「好き」という感情は、誰にも止める事はできない。

読んで下さりありがとうございます。

いいね、感想などをよろしくお願い致します。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ