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契約その69 盛り上がれboobs!

 翌朝。瀬楠家のチャイムが鳴ったかと思うと、玄関にリュックサックとスーツケースを持ったモミがやって来た。


「みなさんおはようございます。両親に許可を取った所、社会勉強になるからOKとの事です」


 モミは「OK」の所で両腕で大きく丸を作りながら言った。


「そうか、それはよかった。歓迎するよ」


 ユニはモミの両肩を軽く叩きながら言った。


「ふむ。ではお近づきの印に……」


 モミはユニのおっぱいを両手で思い切り揉みしだく。


「わっ!?ちょっ……♡まだここ外だから!家でやろう!」


 ユニは慌ててモミを中へ案内するのだった。


「というわけで、今日からウチで暮らす串田モミだ。仲良くしてくれ」


「ふつつか者ですが、よろしくお願いしますね」


 モミは腰を直角に曲げてお辞儀をする。その勢いで、頭のお団子にユニが当たりそうになった。


「まあ、彼女ももう十一人目だからもはや驚かないけど」


 由理が言う。


「え?これ毎回やってんのか?」


 メイが驚く。初めて遭遇したからである。


「というか、もう事前に皆さんには挨拶してるはずなのですが、わざわざ挨拶する理由ありましたか?」


 モミが聞く。


「まあ、社交辞令って奴だな」


 ユニが腕を組みつつ言った。


「ではみなさん、お近づきの印として…….」


 モミは不意にクラウチングスタートの様なポーズを取ると、彼女達の胸に飛びかかって来た。


「堪能させていただきます!」


 最初に犠牲(?)になったのはルアである。


「えー!?私ィ!?」


 ルアは驚き、ソファーの方に倒れる。モミは気にせずに堪能している様である。


「ふーむふむふむ。Fカップ程はありそうでございますね。ハリもツヤもいいです。自分の体に気を遣っているのがわかります」


「えっ♡そっそうなの。職業柄顔と体は商売道具だし、適度な睡眠と運動と栄養はっ!欠かさない様にしてるのっ♡」


 せっかくいい事を言ってるのに、定期的に悶えているせいで説得力がない。


「成程、どこかで見たおっぱいの形かと思ったら、人気アイドルのルアさんでしたか。商売道具だと言うのであれば、これ以上弄るのはやめましょう」


 モミはすっくと立ち上がると、今度は藤香のおっぱいに注目し、揉み出す。


「ふむふむ。ふーむふむ。ポテンシャルはありますが、打って変わってこちらはツヤもハリもよくないですね。夜更かしが多いと思われます」


「しっ仕方ないだろ!漫画家に規則正しい生活なんてムリだよ!」


 藤香はモミの腕を振り払いながら、赤面しながら言った。


「いえいえ。そうとも言い切れませんよ。漫画家さんにも規則正しい生活を送っている方々は何人もいらっしゃいます。毎日規則正しい生活を心がければ、心に余裕が生まれ、それが作品にも反映されていくのでは?」


「むー……」


 モミから指摘され、唸る藤香。確かにその通りだと思うのであった。


「わかった。改善してみるよ」


「ですがあまり急激に変えると逆に体に毒ですからね。無理しない範囲でやってください。続いては……」


 次にモミはどれみに狙いを定め、バッと飛びかかる。


「ふむ。確かに大きいですが、若干硬い様な……デスクワークが多い様です。肩なども凝っているのでは?」


 確かに、どれみが社長業務で日々パソコンに向かっている事は誰もが知っている事である。


「続いては……」


 モミは七海に狙いを定めて揉みしだいた。


「あわっ!」


 そのあまりの速さに七海も反応できず、餌食になった。


「ふーむ……他の方々よりも小さめ……大胸……いや概ねCカップといった所でしょうか」


 確かに当たっている。


「ですが、ルアさんとは別ベクトルで健康に気をつけている様ですね……。やはり陸上部だからでしょうか」


 確かに総合陸上部として、七海は健康には人一倍気を遣っている。まさかそこまで見抜くとは。


「おっぱい揉んだだけでそんな事もわかるのか」


 ユニが聞く。


「パイ。いえはい。『おっぱいは女性のパラメーター』がわたくしの持論です。体の疲れや不調はおっぱいに表れます」


 モミはグッと親指を立てて言った。


 続けて、モミは両指を躍動させながら言う。


「私は手先が器用で、マッサージなどもやるのですがどうでしょう。体験いたしますか?」


「マッサージできるの!?」


 ぜひお願い!となったので、モミは全員を床にうつ伏せに寝かせた。


「素人が聞きかじっただけなので、どうなのかはわかりませんが、よく上手いと太鼓判を押していただけます」


 そう言われるだけの事はあり、確かに上手かった。


「はわぁ〜♡」


 という惚気たみんなの声があたりに響く。


「これにサウナがあればいいのにねぇ」


 アゲハが惚気た声で言う。


「サウナか。今度作ってみよう」


 紫音もまた惚気た声で言うのだった。


 夢の様な時間はやがて終わりを迎えた。


 みんな心なしか肌もツヤツヤしている様だ。


「うーん体が軽いっ!走ってくる!」


 七海はぐーっと伸びをしつつ言い、玄関へと走っていった。


「これで原稿が捗りそうだ!」


「動画編集進めないと!」


 藤香とメイは、力を抑えきれずに自室へと走って行った。


「ではマッサージ代を……」


 財布を取り出すどれみの手を、モミは制止する。


「必要ありません。もう()()()いただきましたから」


 これが需要と供給というやつですとモミは付け加える。


「何とか仲良くできそうでよかったな。お前の言う通りだ」


 ルーシーはユニに言った。


「ああ、本当によかった」


 そうユニも返したのだった。


「おそらくまた多くの女の子達がお前にホレる事になる。一度契約した内容は変えられないからな。そんな状況でも、お前は全ての彼女達を幸せにできるのか?」


 ルーシーが確認する。


 ユニは、当然といった口調で言う。


「ああ。勿論だよ!」


 悪魔との契約条項 第六十九条

一度契約した内容は、いかなる理由があっても変更できない。

読んで下さりありがとうございます。

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