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契約その63 Mephistoの遊戯!

 ユニとルーシーは、急いで学校へと戻ってきた。

 校門まで来た時、ルーシーがユニに言う。

「それでどうすんの?闇雲に探しても時間ばかりが過ぎていくだけだぞ」

 ルーシーの言う事はもっともである。爆弾を解除する時間も必要なのだ。一秒も無駄にできない。

「それなんだが、アイツはこれを『ゲーム』だと言ったな?つまり必ず『攻略法』があるはずなんだ。アイツの言った言葉に必ずヒントが隠されてると思う」

 ルーシーは考えてもわからなかった。こういう頭脳労働はユニに任せた方がいい。

「アイツの言ってた『ヒント』っていうのは、『多くの生徒や教職員が今よく利用する暗い暗いある場所』って所だと思う」

 確かに、メフィストが場所に言及したのはその時のみだ。

「今って体育祭やってるよな?じゃあ校庭とか?」

 ルーシーが言う。

「いや、範囲が広すぎる。校庭に黒いダンボール箱が放置されてりゃ誰でも気づくし、穴掘って埋めたとしてもそんな痕跡はなかった。そして何より『暗い場所』の理由がつかない」

 ユニが否定した。

「そっか……」

 ルーシーはガッカリした様子を見せる。やはり慣れない事はするものではない。

「時間はあと二十分。解除の時間も加味すると、そろそろ見つけないとマズいぞ」

 ユニはスマホの時計を確認して言った。

 ふとルーシーの方を見ると、アゴを押さえて唸っていた。

「うーん……」

「どうしたんだルーシー」

 そのらしくない様子が、ユニは気になった。

「いや、おれの意見ってわけじゃないんだけど、一つ気になっている事があって……」

「気になる事?」

「ああ。『メフィスト』は確か『今』よく利用する場所って言ってたよな。『今日』じゃなくて。そこがちょっと引っかかってるんだ」

 それを聞いたユニは目を丸くする。

「そうだ!それだよルーシー!そうなんだ!大事なのは『今日』じゃなくて『今』!休憩時間に需要が高い場所なんだ!」

 ユニは記憶を辿り、()()()しかないと判断、全員に連絡する。

「みんな!場所がわかったぞ!爆弾の場所は!『体育倉庫』だ!」

 ユニは連絡を切ると、ルーシーの手を強く握ってこう言った。

「ありがとう!キミのお陰だよ!キミのお陰で爆弾の場所がわかった!」


 二人が駆けつけた時には、すでにみんな爆弾を外に出していた。

「ビンゴか……」

 ユニは呟く。

 まもなく火殿グループの爆発物処理班がやってくる。ほとんどがポロシャツなどのラフな格好をしており、体育祭という場において違和感のない服装だった。

「爆弾が仕掛けられたなんて発表したら一気にパニックになりますから」

 どれみが言う。

 爆発物処理班は、手早く黒いダンボール箱から爆弾らしきものを取り出し、何回かいじる。そして何かがわかったのか、どれみに何かを伝えた。

 爆発物処理班から何かを聞いたどれみは、ユニ達に伝える。

「爆発物処理班の話によりますと、あの爆弾は爆発しないとの事です。つまりダミー、ニセモノという事ですわ」

 それを聞いたユニ達は、緊張の糸が切れてその場に座り込んだ。

「何なんだよそれ!じゃあ結局徒労って事か!でもよかった。何事もなくて」

 爆発物処理班は、一応厳重にダミーの爆弾を回収すると、足早に去って行った。

「これで何の心配もなく体育祭ができるな」

 アキが言う。

 その時、謎の人影がユニ達の前に現れた。

「さすがですね。三十分では見つける事もできないと考えていましたが……お陰で『興行』も大盛り上がりです」

「『メフィスト』……!」

 ルーシーは「メフィスト」を睨みつける。

「まあ、爆弾を見つけられた時点で爆発はさせないと決めてましたがね。だってせっかく見つけたのに対処が間に合わなくて爆発なんて味気ないでしょ?まあ、見つけられてなかったら爆発はさせてましたが」

「何でだよ!爆弾はダミーだって……」

 ユニが反論する。

「私は『悪魔』ですから、人智を超えた力を持っているのです。ダミーを爆弾にするくらいた易くできますよ」

「メフィスト」はにっこりと笑いながら言った。

 その様子を見たユニ達は寒気を感じた。

「あなた達も相当恨まれてますよ。『爆発する』に賭けた者達に。まあ全財産を失った者は、己の『命』を以て償う事になっているのですが……」

「メフィスト」はそう言うと、「アモン」がやった時の様に、あらゆる人間の「命」を吸い取った。

「あなた達の事は気に入りました。また……遊びましょうか」

「メフィスト」はそのまま去っていこうとする。

 その時である。

「オイ待てよ……おれが逃すと思ってんのか!?」

「ルーシー!戻ったのか?悪魔の力が!」

 ルーシーは悪魔の姿になり、「メフィスト」に襲いかかる。

「『ルシファー』……。正面からでは勝てませんね」

 ルーシーの拳は、「メフィスト」の体をすり抜けてしまった。

 まるでホログラムの様である。

「すり抜けた!?一体どんな技術が……」

 紫音が驚く。

「勝てない相手に正面から挑むわけがないでしょう。では私はこれで……」

「メフィスト」は軽く頭を下げると、そのまま消えた。

「くそォ……」

 残されたユニ達は、それを見ている事しかできないのだった。

 その時、チャイムが鳴る。休憩時間の終わりを知らせる鐘であった。


 悪魔との契約条項 第六十三条

悪魔の感情の昂り次第で、「悪魔の力」は復活する。

読んで下さりありがとうございます。

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