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契約その46 アイドルとVライバーのcollaboration!

 ルアと「めいとちゃんねる」のコラボに驚いたユニとアゲハ。


 しかし、その直後にいきなり家のチャイムが鳴った事にも驚いた。


「噂をすればやってきたみたい。コラボ相手が」


 ルアはコラボ相手を玄関まで迎えに行った。


「こんにちは!あれ?思ったよりも小さい女の子なんだ。へぇ、でも高校一年生なんだね。同い年!」


 玄関の方から、ハキハキとしたルアの声が聞こえてきた。アイドル故か、声がよく通る。


「さあさあ、上がって上がって!」


 そのルアの声が聞こえたその直後、リビングのドアがゆっくりと開いた。


「すみませーん、今回ルアさんとコラボしていただく「(げん)()めいと」ですけれども……」


 ついに本人と対面した二人だが、お互いに驚いた。何せさっきまで同じゲームセンターにいたからである。


「あれ?何であなた達が?ここルアさんの家だって聞いてたんだけど」


 めいと……もといメイが言う。トップアイドルの家に来たのに、先程知り合った顔がいた事に驚いたのである。


「何でって、そりゃここはおれ達の家でもあるから……」


 ユニとアゲハは互いに目を合わせる。


「え!?じゃあ同居?それとも同棲!?」


「まあ話せば長くなるけど……」


 ユニはメイに自分達の状況を話した。


 説明してもなお、メイの頭にはてなマークがたくさん浮かんでいるのがわかる。


「まあ、説明してもわからないか……」


「それより、早くコラボの準備しないと」


 ルアが言う。


 ちょうどその時、事務所のスタッフと思われる人達がゾロゾロとリビングへと入ってきた。


 どうやら色々とセッティングをしているらしい。


 現場となるリビングは、一気に物々しい雰囲気に変わった。


「あ、そうだ。重要な事忘れてた」


 ルアは思い立った様に上の階へと上がっていった。しばらくして、ルアは藤香を連れて戻ってきた。


「あなたが私のガワを担当してくれるんでしょ?」


「ガワ?」


 ユニが聞く。


「そう。今回私もVライバーになるから、そのガワ……つまりVライバー化した私のデザインを藤香が担当してくれるの」


 ルアが説明してくれた。


「この女の子が……ですか?」


 メイが聞いた。


「まさか自分の()を忘れるとはな……まあ、やり取りはネット上でやってたから仕方ないか」


 藤香が言うと、メイは驚愕した。さっきから驚いてばかりだが、その顔はその時までのもので一番すごいものだった。


「ええ!じゃああなたがぼくのママなのか!?じゃあまさか『黄桃ハル』さん!?」


 その様子を見たユニは、アゲハにこそっと聞いた。


()とか()()とかどういう事だ?」


「つまりイラストレーターとか、漫画家とかのVライバーのデザインを担当した人の事。外見を生み出してくれたから、ママっていう呼び方が浸透してるんだ」


 アゲハが説明した。


「改めてよろしく。ああ、僕もここに住んでるからな」


「???」


 メイは益々混乱してきた。


 これでさらに火殿グループの令嬢やら天才発明家やらが加わると聞いたら、一体彼女はどんな反応をするのだろうか。


「とにかく早く準備しないと。十五時ちょうどからでしょ?」


 時計の針は十四時四十五分を指している。確かにゆっくりはできない様だ。


 早速藤香がデザインしたルアのVライバー姿をパソコンに出力し、動作確認を行う。


 画面上には胸から上しか映らず、動きも少ないが、ルアが顔を動かすと画面上のキャラもそれに合わせて動いた。


 どうやらそれで問題はない様だ。


 それと今回はゲーム実況なので、やるゲームとゲーム機の確認もする。


 ゲーム画面もパソコン上に映る様にして、配信開始に備える。


 配信は、「めいとちゃんねる」にルアがお邪魔する形で行われる。


 つまりメイはルアが参加するまでの間一人で場を盛り上げなければならないのである。


 まもなく時刻は十五時になる。


 時計の長針が十二を、短針が三をまっすぐ示したちょうどその時、「めいとちゃんねる」の配信が始まった。


「みんなー!元気ー!?」


 さっきまでのメイからは考えられない程明るい声だった。


「幻夢めいと」の公式デザインは、地面につく程の長いツインテールに二つのお団子頭、チェック柄のスカートと制服風の衣装デザインになっている。


 ユニには、どことなく晴夢学園の制服に似ている感じがした。


「参考にしたのか?ウチの制服を」


 ユニは隣で配信の状況を見ていた藤香にこっそり言う。


「ウチの制服はかわいいとネット上でも評判だからな。参考程度にしておいた」


 藤香が言う。


 すでに同接は千人を優に越している。このまま一万人を超えるのも時間の問題だろう。


 メイはしばらくトークで場を繋ぐと、今回のコラボ相手の紹介に移った。


「さあ、ここでコラボ相手の方を呼びましょう!ウチの事務所のアイドル部門の稼ぎ頭!トップアイドル『J'S』の不動のセンター!ルアさん!入ってきてください!」


「みんなー!こんにちはー!」


 トップアイドルの登場に、動画のトップラインも盛り上がる。同接も一万人を超えた様だ。


 ユニ達は、スマホと()()とを交互に見るという異様な視聴行動をしていた。現場にいる者の特権である。


 ただし、声を出さない様に細心の注意を払う。万が一声がマイクに拾われでもしたら一大事だからだ。


 二人は、まず夏だからという事でホラーゲームの実況を始めた。


 ユニ達は、万が一自分達の叫び声がしたら一発アウトな為、別室で試聴する事にした。


 配信は滞りなく進んだ。


 最初のホラゲーから始まり、アクション、レースゲームなどをこなしていき、配信は盛況のまま終わったのだった。


 配信を切り、ルアとメイはフーッと一息をついた。


 それを見届けたスタッフ達は、随時撤収していった。


 終わったのを見計らい、ユニ、アゲハ、藤香の三人は二人の元へと駆け寄った。


「お疲れ様」


 ユニが労いの言葉をかける。ユニは初めてVライバーの配信を見たのだが、ここまですごいとは思わなかった。


「すごいよ!おれ興奮しちゃった!」


 ユニは目を輝かせながら言った。


「そう言って貰えると嬉しいな」


 メイは言った。


 メイが瀬楠家を出ていき、また改めてルアは胸を撫で下ろした。


「いつもとは勝手が違うから緊張したよ!」


 ルアは我慢していたのかユニに思い切り抱きついた。


 ユニはルアの頭をゆっくりと撫でたのだった。



 帰り道、メイは上機嫌で自宅へと戻っていた。


「まさか()()会えるなんてな……」


 メイはこっそりと呟いていた。



 翌日、瀬楠家のチャイムが鳴り響いたのだった。


 悪魔との契約条項 第四十六条

悪魔も、時には感動する。

読んで下さりありがとうございます。

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