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契約その38 Lightning!トップアイドルの悲劇……!?

「来たぞー!海だー!」


 早速水着に着替えたユニ達は、全員で高くジャンプした。


「早速泳ぐぞー!」


「ちょっと待って!」


 アキが海へ直行するのを、ユニが止める。


「まずは場所取りからだ。この混雑だからな。すぐに取らないとあっという間に自分達の休憩スペースがなくなっちゃう」


 アキは確かにそうだと思い直した。


 ユニ達は海から程近い場所にスペースを見つけた。


「あそこがいい」


 見つけたスペースに持参したレジャーシートを置く事で場所取りに成功したのだった。


「じゃあ私達はビーチパラソルなどを借りてきますわ」


 どれみと七海はそう言い残すと海の家に行った。


「おれ達はサンシェードテントの設営だ。手伝ってくれ」


 サンシェードテントとは、骨組み等の手の込んだ設営をせずとも立てる事ができるテントである。


 海水浴にあたり、通販で頼んだものである。


 なまじユニ達は十人もいる。


 全員で入れるサンシェードテントなど市販されてなかったので、複数個用意しなければならなかった。


「こうやって日差しを防げる場所がないと熱中症になるからな」


 ユニはテントを設営しながら言った。


「よし、完成だ!」


「ビーチパラソルも持ってきましたわ!」


 レジャーシートの上に借りてきたピーチパラソルを置き、ユニ達のスペースが完成した。


 それからユニ達はテントの中で寝っ転がる兼荷物監視組と元気に海で遊ぶ組とで分かれる事にした。


 ユニは荷物監視である。


「ユニ、ビーチボールどこだっけ」


 ルアが聞く。


 高い位置で結んだお団子頭と青と白の横縞模様のビキニが眩しい。


「あそこのバッグに入ってると思うけど」


 ユニはレジャーシートに置かれたビーチバッグを指差した。


「ホントだ。ありがとう」


 ルアはお礼を言い、思い切り息を吹き込んでパンパンにすると海に向かっていった。


 その姿を見送り、ユニはテントの中で大の字になった。


 ユニも一応水色のビキニを着ているが、その上からパーカーを羽織っており、あまり泳ぐ気はない。


 ユニの他にも由理、藤香、紫音、どれみの四人はテントやビーチパラソルの影で涼んでいる様だ。


 もっとも、どれみは日焼け止めに加えてサンオイルまで塗っているので、どこかのタイミングで泳ぐつもりなのだろう。


 ユニの横では紫音が寝っ転がっている。


 スクール水着にいつもの白衣、いつもの髪型とメガネをしているので、普段からの変化がユニ達の中で一番少ない。


 聞いてみると、この白衣はいつものと材質が違い、水を弾くらしい。


 みんなとビーチボールでキラキラと笑いながら遊ぶルアを見て、ユニはふと思った。


「そういえばさ、ルアは大丈夫なのか?あんな顔出しして。『オーラ無リング』爆発してなくなっただろ」


 ユニは隣で寝ていた紫音に聞いた。


「いや、新たに作った。今つけさせているのは以前の失敗を踏まえて耐熱性を高めた『オーラ無リング マークⅡ』じゃ」


 紫音は胸を張って言った。


「いや、問題なのはそこじゃなくて()()()だ。あんなに海水に浸かって大丈夫なのか?」


 その時、直前まで笑っていた紫音の表情が固まる。


「え?まさか……」


 そのまさかである。紫音が青ざめた表情で言った。


「耐水性……考慮してなかった……」


「何ィ!?」


 次の瞬間、ユニは炎天下のビーチの上へ飛び出した。


「ルアー!」


 ルアの元へ走りながら必死に叫ぶ。


「あ、ユニ!あなたも一緒に遊ぶの?」


 ルアはビーチボールをかかえて呑気に聞いた。


「そのリングを外すんだ!」


 しかし、人混みが邪魔でユニの叫びは届いていない様だ。


「早く!」


 ユニが叫ぶが、もう遅かった。


「ぎゃあばばばばば!!?」


 ルアは衝撃で空中に飛び出し、そこで感電した。全身が黄色い電撃に包まれる。髪はトゲトゲに逆立ち、時々全身の骨が透けている様に見えた。


「ルアーっ!?」


「感電してる!?トップアイドルが!」


 一緒に遊んでいた七海が衝撃を受けていた。


 その異常事態に周囲の人間も異変に気づいたが、誰も感電している人物がトップアイドルのルアだと気づいてはいない様だった。当たり前である。


「ぎゅう……」


 一分前後感電した後、ルアはボロボロの姿で空中に煤の軌道を残しながら、海中に真っ逆さまに落下した。


「ルア!大丈夫か!?」


 ユニは、着ていたパーカーが濡れるのも気にせず、慌てて海に落ちたルアを救出するのだった。



「はっ!」


 全員が集まるテントの中で、無事にルアは目を覚ました。


「よかった!無事だった!」


「えーっと……私何を……?」


 ルアが辺りを見渡しながら言う。


「あー話すと長くなるんだが……」


 ユニはルアに、彼女自身の身に何が起こったのかを説明した。


「すまなかった!二度ならず三度までも!」


 紫音は土下座して謝罪した。


「まあすごい目には遭ったけどさ、大丈夫!死んでないし!ほら!」


 ルアが立ち上がって自分の元気を示そうとするのを、ルア達が全力で阻止する。


「今のキミ全裸だから!水着も電気で焦げて使い物にならなくなったから、仕方なくタオルとかで隠してたんだ。服を着せるのもその過程で他人に見られる形になるかも知れなかったし」


「えー!そんな……」


 ルアは顔から火が出る程赤面した。自分の感電姿が衆目に晒された事よりそっちの方が恥ずかしい様だ。


「当たり前だが、新しい水着はわしが買う。せめてもの贖いじゃ。それとこれを」


 紫音は新しい「オーラ無リング」を渡した。


「『オーラ無リングマークIII』じゃ。耐熱性、耐水性を兼ね備え、さらに耐衝撃、耐電圧なども兼ね備える最強のオーラ無リングじゃな」


「ありがとう」


「怒られる事はしても、お礼を言われる事はしてないぞ」


 ルアと紫音は水着を買いに近場のショッピングモールに行く事にしたのだった。


「じゃあ私達はその間、お昼ご飯の準備でもしてようか」


 アキが言った。


「やったー!おれ腹ペコだったんだ!」


 ルーシーが言った。


 残されたユニ達は折りたたみ式のテーブルを取り出して、昼食の準備を進めるのだった。


 そんな彼女達に、ある魔の手が忍び寄っていた。


 悪魔との契約条項 第三十八条

この世界の人間は、滅多な事では死なない。

読んで下さりありがとうございます。

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