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契約その293 電撃!Top idol達の悲劇……!?

 休憩を終え、制服に着替えたユニ達は教室へ戻ってきていた。


 これから、先程のライブステージの前座となる日常シーンの撮影に入る予定である。


 だが、肝心の「J's」が全員揃っていない。


 全員揃っていない以上撮影ができないので、ユニ達やスタッフは全員待機という事になった。


「仮にトイレだとしても遅すぎるよな……」


「な……ゲリとかしませんよ!アイドルなんですから!」


 ユニの呟きに、萌絵が下品な反論した。


「キミが一番失礼じゃないのか……」


 そんな萌絵に、メイはすかさず突っ込んでいた。


「スタッフの皆様が探しに行ってますが、誰も帰って来ていませんわね……」


 どれみの言う通り、スタッフ達はただ待っているだけではない。何人かは探しに行っている。


 だが未だに見つからないのか、誰も戻って来ていないのである。


「携帯はどうなの?」


 ユニの質問に、ルアはゆっくりと首を横に振った。


「じゃあおれ達も探しに行こうか。これだけ人数がいれば見つかるかも」


 ユニの提案をみんなは受け入れ、二人一組になってメンバーを探しに行くのであった。


 ルアは、萌絵とペアになって辺りの教室を探していた。


「やっぱりいませんね……」


 萌絵は闇雲に色々な教室の扉を開いて確認しているのだが、やはりどこにもいない様である。


「しかし、そもそもなぜ急にいなくなったんでしょう。あまりに突然で……」


 萌絵はそう呟きながらある教室の扉に手をかける。


「……!萌絵ちゃん」


 その時、()()を見つけたルアは、萌絵の手を制止してこう言う。


 ―――できる限りの笑顔で。


「……私がこの教室を確認するから、他の所見て来てくれる?」


「……わかりました!」


 萌絵は、他の所を探しにその場を去って行った。


 萌絵が廊下の角を曲がったのを確認してから、ルアはその教室の扉をゆっくりと開けた。


「「「「ずいぶんと、ナメたマネしてくれるね……」」」」


()()()()()そんな姿、とても他の人には見せられないからね」


 まるで晒し首の様に4人のアイドルの顔が肩にくっついた醜悪な人魚の姿。ホラー映画に出て来そうな怪物だった。


「ここはアイドルの()()()……。アイドルが見せるものじゃないよ。その姿」


 背後の扉を閉めながら、ルアは仲間達にゆっくりと語りかける。


「「「「うるさい!私達がなぜ!こんな姿になったかわかるか!?」」」」


「嫉妬したんでしょ。私に。()()じゃよくある事だもん」


 それを聞いた4人の顔が曇る。


「「「「そういう所だ!お前のそういう()()な所がイライラするんだよ!だからせめて!私達の歌で痺れさせてやる!」」」」


 怪物は息を大きく吸い込み、ルアに向かって大音量のソプラノボイスを放出する。


 それを受けたルアは、まるで雷に打たれた様な衝撃を全身に食らった。


「ぐ……ああっ……」


 その衝撃に、ガクッと膝をつくルア。


「「「「でもまあ、安心しな。この声はあんた以外に聞かせるつもりはないから!」」」」


 4人はそう言いながら、ルアの腕を掴んで引っ張る形で無理やり立たせた。


 体の痛みに耐えながら、ルアは冷静に考える。


(モミのお母さんみたいに、きっとみんなも「悪魔殺し」と契約したんだ。「悪魔の力」でないと倒せない)


(いや違う……)


 無理やり立たされたルアの体は、軽々と持ち上げられてそのまま教室の隅に叩きつけられた。


「「「「そのまま床に這いつくばって聞きなさい!私達の、天才をも超える歌声を!そうつまり……」」」」


 そして4人は、勝ち誇った様にこう言い放つ。


「私達4人で"J'S"だ!」


 そんな状況で、ルアは決心する。


(倒すんじゃない。()()()んだ!)


 ルアは弱々しく、だがそれでも確実に、ゆっくりと、立ち上がる。


「一つ……訂正して欲しい事があるの。"J'S"は4人じゃない。私含めて5人で"J'S"だよ」


「「「「!!!!」」」」


 ルアの発言を聞いた4人は、一瞬驚いた様な顔をした後、顔を真っ赤にする。


「「「「それは、私達がお前の『引き立て役』に過ぎないという事か!お前が『完璧』だから!」」」」


「そんなんじゃない!」


 ルアは、今まで出した事もない様な大声で否定した。


 そして声のトーンを落として話し始める。


「私は完璧じゃない。完璧じゃないから、みんなに助けられて来たんだ。『アイドル甲子園』の時とかね」


 あの時、ルアは4人に一芝居打って貰い、事態を収拾した。


 4人がいなければ解決できなかった事である。


「完璧な人間なんて、きっとこの世にはいないよ。だから一人じゃ生きていられないし、助け合うんだ。―――特に私は」


 ルアの心の中で、アルもまた頷いていた。


 ルアとアルは思い出していた。母親から逃げて来て、社長に拾われた日の事を。


 始めから、ルアは完璧ではなかったのだ。


「でもね、私はファンの前では完璧でいたいんだ。ファンのみんなが求めてくれるなら、私はどこまでも『完璧』を演じ切りたい!」


 全部言った後で、ルアはニコッと笑いかけるのであった。



 結局の所、4人はルアの「完璧」の演技に充てられたという事である。


 ルアは、自分達が思い描いていた様な人間ではなかった。


 その事を知った4人の、ルアに対する怒りは不思議と収まっていった。


 元に戻った4人に、ルアはこう言う。


「ごめんね。ウソつきなの、私」



 その後、萌絵が恐る恐る教室の扉を開けてやって来た。


「あのすいません!ルアさん、皆さんどこにもいませんでした!……ってそこにいる!?」


 驚きのあまり腰を抜かした萌絵に、ルアは手を貸しつつ言う。


「さてと、色々あったけど、まずはみんなで謝りに行こうか!」


 ルアは仲間達に笑いかける。その笑顔は、紛れもない「本物」だった。



悪魔との契約条項 第二百九十三条

「完璧」な人間などこの世にはいない。だからこそ助け合う。

読んで下さりありがとうございます。

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