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契約その292 Idol卒業!

 そろそろ卒業式も近くなってきた三月。晴夢学園にて、あるアイドルの卒業記念のプロモーションビデオ撮影が行われる事になった。


「って、あくまで()()()卒業するからってだけで、『J's』を卒業するわけじゃないんだけどね」


 今回のプロモーションビデオの主役であるルアがみんなに言う。


 ことの発端は長崎から帰ってきた直後である。ヘリが家に到着した瞬間、仕事があったとルアとメイは忙しく家を出た。


 ユニ達にも手伝って欲しいという連絡が来たのは、その少し後の事である。


 いつもの学校に呼び出されたユニ達に、映像スタッフとして関わっていたメイが説明を始める。


「ほらよく、動画サイトとかであるだろう。アイドルのPVで『〇〇記念動画』みたいな感じのやつがさ」


 メイは説明を続けながらも、パソコンの前に座って絶えずキーボードを操作していた。


「その動画をさ、"ジャーニース公式動画チャンネル"で公開するんだ。一週間後に」


「ジャーニース」というのは、「J's」の正式名称の事である。だが、ファンやマスコミに至るまでみんな「J's」と呼ぶので、あまり浸透していない。


(まあ『ジャーニース』って何か紛らわしいしな……)


 自分らのグループ名があまり知られてないと嘆いていたルアに、ユニ達は思っていた事である。


「それで、おれ達は何をやればいいんだ?」


 ルーシーの質問に、メイがキーボード操作をやめ、改めてみんなに向き合って答える。


「要するにエキストラだ。舞台が学園生活だから、画面にルアや『J's』しかいないのは違和感だろ?今回は撮影→動画公開までのスパンが短いから、手っ取り早く人数が欲しかった」


「成程、20人弱ぐらいいるおれ達に白羽の矢が立ったってわけか」


 ユニの発言に、メイは大きく頷くのであった。


 メイ曰く、今のルアは「J's」のセンターとして学校の体育館で歌っているらしい。動画のハイライトである。


「動画的にはその前になる日常シーンに出演して欲しいんだ。まあちょっとばかり顔とかは映るかも知れないけど、それを望まないならアングルを工夫したりするから」


 その仕事を受ける事にしたユニ達は、早速「衣装」に袖を通す。


 と言っても、着慣れているいつもの制服である。


「成程、『衣装代が浮く』『大人数を確保できる』『ビジュアルも全員整っている』……確かにわたくし達を使う利点が多いですわね……」


 久しぶりに制服に袖を通したどれみが呟く。社長として学ぶ事は多い様だ。


 そんな中、ガチガチに緊張している少女がいた。萌絵である。


「あ……あのそれはもしかすると、『J's』の皆さんが全員いらっしゃっているという事でしょうか!?」


「……?そうだけど。もしよかったら見学する?」


 ガチガチに緊張しながらも質問する萌絵に、メイが答えた。


「むえっ!!?いやそのそれは恐れ多いというか何というか……」


「毎日会ってるだろ、ルアに。大丈夫だよ」


 メイにそう言われ、萌絵とユニ達は体育館で行われている撮影を見学しに行くのであった。




 体育館は物々しい雰囲気に包まれていた。


 そもそもこの撮影は、学校が休みの日を利用して行われているものである。全ての撮影を早めに終わらせなければならないのだ。


 体育館の壇上に「J's」の五人が上がり、数台のカメラで撮影する方法を取っていた。


 五人の衣装は、ルアは勿論他の四人も晴夢学園の制服である。


 ユニ達にとっては見慣れた制服だが、こう複数のカメラに囲まれている様子を見ると、アイドル衣装に見えてくるのだから驚きである。


 ユニ達に気づいたルアは、壇上の中央からウインクをしてみせた。


 しかしその直後に曲のイントロが流れると、途端にキリッとしたアイドルの表情になる。


 歌い始めた瞬間、比喩ではなくその場がアイドルのライブ会場になった。


 どんな場所でも、彼女が歌えば誰もがその光景に釘づけになる。


 ルアは、天性のアイドルなのである。


 動画的にはクライマックスになるこのライブシーンは、一発OKと相なった。


 撮影を終え、ライブステージもとい壇上から降りてきたルアに、ユニ達が駆け寄る。


「ライブすごかったな!感動したよ!」


 ユニの言葉に、ルアはえへへ……と照れていた。


 これから一時間程の休憩を取ってから、今度は動画の最初のパートの日常シーンの撮影に入るらしい。


「ずっと前の実写版『初恋エターナル』の撮影みたいに急にセリフが必要になるとかはないから安心していいよ。というかそもそもセリフとかはないし」


 とりあえず画面に写ってくれればいいという事だろう。


 その点については、ユニ達はホッと胸を撫で下ろした。


「ああ、J'sのメンバーの事紹介する?じゃあ……ってあれ?」


 ルアは、今まで近くにいた「J's」の仲間達の姿が見えない事に気がついた。


「何でいないんだろ」


「トイレなんじゃ……」


「何て事言うんですか!トイレなんかしませんよ!皆さんアイドルなんですから!」


 ユニの「トイレ」の発言を、萌絵は必死に否定した。


 しかし、よく考えてみればトイレならまだ良かったのかも知れない。


 誰かが言った。光が強ければ強い程、闇もより深くなると。


 これから起こる事は、まさにその「最悪の例」と言える事だった。


悪魔との契約条項 第二百九十二条

強烈な「光」は、その場にいる全てを釘づけにする。

読んで下さりありがとうございます。

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