契約その291 掴め家族愛、cutするのは御髪だけ!?
「お前の娘が、今まで得た絆を思い知れ!」
ユニはそう叫ぶと、「彼女達を模した悪魔の力」を展開する。
「まずは……」
「ユニ!わしと風月の力を使え!」
紫音がそう言うので、ユニは紫音と風月の力を使う。
(紫音の力は発明品の召喚、風月の力は剣術強化だ!)
召喚された「電化の宝刀」に風月の剣術、二つの力を合わせた攻撃は、串田実衣の「悪魔の力」のみを正確に切り裂いた。
「絆ですって?所詮はこの程度……あんた達が私に勝てるわけがない!戻って貰うわよ!私達の所へ!モミ!」
そして串田実衣は、魔獣の様な声を上げ、その体がドロっと溶けた様に変化し巨大化、異形の姿へ変貌した。
「いやこの姿って……」
「招き猫だよな……」
串田実衣は、巨大な招き猫の姿に変貌したのである。
「でも何で招き猫なんだ?」
「招き猫は政治家が飾る事が多いって話を聞いた事がある。『票を招く』って意味で縁起がいいから」
ルーシーの疑問に、ユニが答えた。
「ギニャァァァ!」
串田実衣が変貌した招き猫は、ユニ達に向かって自分の腕を叩きつける。
「危ない!」
それを辛うじて避けるユニ。
「でもこりゃ、暴走に近いな。さっきもそうだったけど、とても話が通じる状態じゃない。元に戻さないと」
そんなユニに、ルーシーはこうアドバイスをする。
「そういう事なら、姿を維持できなくなるまでダメージを与える事だな」
「だったらユニ……私の力を使って!」
そうルアが言うので、ユニは迷わずルアの力を使う。
出てきたのは謎の杖だった。
「えっと……これ何だっけ?」
「そ!それは!『マニーロンダー』の武器!『ロンダロッド』ですよ!ルアさんが演じるマニキュアの!」
興奮した様子で萌絵が言う。
「じゃあつまり……」
「そうです!劇中の『マニーロンダー』の魔法が使えるはずです!こう唱えてください!『マニー・フラッシュ』と!ポーズつきで」
「えっとこうか……『マニー・フラッシュ』!」
萌絵に言われるがままに魔法の呪文を唱えるユニ。すると、巨大な小銭の流星群が空から降ってきて、招き猫を攻撃していった。
「『マニー・フラッシュ』は大きな小銭を召喚して敵に向かって降らせる大技ですよ」
「魔法少女版銭形平次みたいなものか……」
丁井先生が呟いた。
「でも、相当なダメージは与えられたみたい」
ヒナの言う通り、招き猫は痛みに悶え苦しんでいる様だ。
「だったらさらに……由理!ミズキ!七海!」
ユニは、由理とミズキと七海に声をかける。
「七海の陸上仕込みの高速移動と!由理、ミズキの掃き掃除の技術を合わせる!」
ユニの手元に竹ぼうきが召喚された。
「お掃除開始だ!」
ユニが招き猫の周りを高速で掃くと、巨大な竜巻が形成された。
「吹き飛べ!」
竜巻は、招き猫の巨体を木の葉の様に上空へと打ち上げた。
「無事に地上へは帰さねェ……!ユニ!おれとアザエルの力を使え!」
ルーシーが言う様に、ユニが二人の力を解放すると、黒と白の二対の羽がユニの背中に生えた。
「これで飛べる!」
空を飛んだユニは、招き猫へ強烈なパンチを叩き込み、地面へと撃ち落とした。
「技名……そうだな……"天魔合掌 落閃"だ!」
「どっちかって言うと掌じゃなくて拳だけどな……」
(本人の基準で)渾身のネーミングが決まり、得意げなアザエルに、ルーシーが呆れながら言った。
地面に降り立ったユニに、今度は猫パンチが襲いかかる。
「だったら……エリー!」
ユニはエリーの力を使い、鋼鉄の様に硬くした体で攻撃を防いだ。
「そこに、私の力で足場を崩す!」
ヒナがユニに自分の力を使わせると、地面が泥の様な状況になり、招き猫はバランスを崩した。
「幼稚園訪問の時のやつか……」
納得の声を上げるユニに、ヒナは嬉しそうだった。
「瀬楠!火殿と前賀とアタシの力を同時に使え!」
「え?わ……わかりました!どうなるかわかんないけど……」
ユニがその三人の力を同時に発動すると、体の奥深くから力が湧いてくるのがわかった。
「アタシの『格闘術』前賀の『ツッコミ』火殿の『財力』が合わさった……」
「"罪制刃弾"だ!」
丁井先生の台詞を乗っ取る形でアザエルが叫ぶ。
どれみとみすかの反応を見る限り、二人には不評な様だが。
「じゃあさらに手数を増やそう。僕が萌絵をアシスタントにして分身を作り、さらにメイの力で現実に召喚する!」
"罪制刃弾"を発動したユニの体が、一気に十数人にまで増えた。
「何かこの増え方……どこかで見た事あるぞ!ユニ!私の力も加えろ!」
アキの言う通りにすると、ユニの体にエネルギーがさらに上乗せされるのが見て取れた。
「ユニ!トドメは分身達との飛び蹴りだ!的がデカいから助かる!」
「わかった!」
ユニはゆっくりと中腰になると、招き猫の頭上まで一気に飛び上がる。勿論分身も同じである。
そしてそのまま眼前の招き猫目掛けて、飛び蹴りを喰らわせるのであった。
「親ならちゃんと娘と話し合え!こんな鎧に頼らずに!セイヤー!」
分身達と放った飛び蹴りは、招き猫の全身を貫いた。
「ア……アア……ギニャァァァ!」
招き猫はそんな断末魔を残して爆散し、元の串田実衣の姿に戻るのであった。
分身達は、ユニの本体に収束される様に消滅した。その後で、ユニはモミに言う。
「モミ、一時的にキミとの融合を解く。けど……本当にいいの?」
「はい。もう決めました」
「わかった」
モミの覚悟を見たユニは、モミとの融合を解く。
「今のお母さんに、もう力は残ってません。ならばモミも裸一貫で話し合うべきです」
モミはそう考え、あえてユニ達との融合を解いたのである。
しばらく気を失っていた串田実衣が、やがてゆっくりと体を起こす。
目の前にいたのは自分の娘だった。
「モミ……」
「まずは、あなたに謝らなければなりませんね。今まで無視して、放っておいて、ごめんなさい」
「……」
串田実衣は黙っていた。自分も謝ればいいのか、それとも受け入れればいいのか、迷っているのである。
「ですが、これまでモミは多くの人と友達になりました。そして好きな人も……できました。ですから……」
(アゲハ、さっき話した通り、キミを『召喚』するよ)
ユニの言葉に。アゲハも了解したのでユニはアゲハを現実へ召喚する。
モミの様に融合を解除するのではなく、力を持ったまま召喚するのである。
召喚されたアゲハが持っていたのは理容師が使う様なハサミだった。
「いいの?本当に」
「ええ。お願いします」
モミに頼まれるまま、アゲハはモミの長髪へハサミを入れるのであった。
モミの髪が丁寧に切り揃えられていく。それは、モミ自身の過去との訣別でもあった。
「これからは、お母さんと未来の話をしたいんです。よろしくお願いします」
モミは、ボブカットぐらいまで短くなった頭を下げるのであった。
その夜。串田家では両親と娘による家族会議が開かれていた。
ユニ達は、庭に停められているヘリで待機中である。
対話可能な状態にしたのはユニ達の助力だが、それ以降は家族の問題、ユニ達はモミを信じるしかなかった。
そして翌日。見慣れた……だが少し様子が変わった少女、モミが庭へとやって来る。
一晩に及んだ家族会議の結果をユニ達に伝える為だ。
結果を今か今かと待つユニ達にモミが示したのは、満面の笑顔のピースだった。
それを見て全てを察したユニ達もまた、モミの元へと駆け寄っていくのであった。
悪魔との契約条項 第二百九十一条
ネオハーレムフォームは、「力の行使」「召喚」あらゆる事を可能にする。
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