表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
288/299

契約その288 みんなのcollege entrance exam!

 2月も後半になり、ユニ達の受験勉強も本格化してきた。


 今日はリビングに集まっての勉強会をする事にした。


「ですから、ここでの『ゆめゆめ』とは『決して〇〇するな』という意味で、夢とは何の関係もないのです」


 アゲハに古文を教える風月。彼女はすでに受験を終えているので、今日は先生役である。


「ぐおお……科学は苦手だ……」


 すでにパンクしそうなルーシー。悪魔な彼女だが、一応大学へは進学するらしい。


「仕方ないですよ。今回ルーシーさんが受験するのは心理学科とはいえ、ある程度は理系学科も必要です」


 シャーペンを持った萌絵が嗜める。


「だいたいH(水素)H(水素)が合体したら……ってもう()()しかないだろ!」


「な……何て事言うんですか!」


 萌絵が顔を赤くしながら怒った。


「むう……大変そうじゃなみんな……」


 バレンタインに貰ったチョコを食べつつ、中々混沌としている現場を見て紫音が呟く。


「私達はそのまま高校にスライドしますから受験はまだ3、4年後ですけどね」


 同じくバレンタインチョコを食べながらみすかも呟いた。


「丁井先生もこの所ずっと学校の方へ行きっぱなしですわ」


 二人と同様にバレンタインチョコを齧りながらどれみも呟く。


 一つ年上のどれみは、一年前(契約その196参照)に大学受験を終えている。


 たまにあるレポートも、彼女にとっては楽勝である。


 苦戦しているみんなの姿を見て、紫音はおもむろに立ち上がって言う。


「ここは、わしらが一肌でも二肌でも脱がなくてはならんな。新しいエリーの最終調整に入る!」


 紫音は、どれみとみすかを連れて自室へ向かうのであった。


 そこでは、パソコンから伸びる色んなコードに繋がれているエリーが正座の形で座っていた。


「こ……これは……」


 驚愕するみすかに、紫音は得意げに説明を始める。


「過去10年分、1万社に及ぶ出版社から発行された全教科の参考書、さらに10万校の10年分の過去問をOSに詰め込んだ、名付けて『エリー先生』じゃ!」


 ちなみに参考書や過去問の手配は、どれみが担当したらしい。


 そのエリー先生は、確かに黒のタイトスカートに黒スーツやメガネを着用しており、その名の通り「女教師」という雰囲気があった。


(最近姿見せないと思ってたらこんな事されてたんだ……)


「それでは早速、起動じゃ!」


 そんなみすかをよそに、紫音はそう言いながらパソコンのエンターキーを押す。


 するとエリーに繋がれていたコードが次々と外れていく。


 全てのコードが外れると、今まで下を向いていたエリーの顔が上がり、前を見据える様になった。


 そしてそのままエリーはゆっくりと立ち上がり、しばらくどこか虚とした目をしていたが、突然目が据わると、お辞儀をしながら三人に挨拶を始める。


「Hola. Mi nombre es Ellie. Gracias por su continuo apoyo.」


「うわー!何語!?」


「スペイン語ですわ」


 驚くみすかに、どれみは冷静に指摘する。


「言語設定を間違えたか……」


 それならこれだ!と、紫音はエリーのうなじにさっき外れたコードの一本を突き刺すと、何かしらの操作を施す。


「これで日本語に……」


 だが、また言語設定を間違えた。


「مرحبًا. اسمي إيلي. شكرا لدعمكم المستمر.」


「今度は何語!?」


「アラビア語ですわ」


「わかるか!」


 思わずみすかが突っ込む。


「ならこれでどうじゃ!」


 三度目の正直と言わんばかりに、紫音は勢いよくパソコンのエンターキーを押した。


 だが、またどこか間違った様である。


「سلام. اسم من الی است. از حمایت مستمر شما متشکرم.」


「さっきのとどう違うんですか?」


 また謎の言語を話したエリーを見て、みすかが呆れながら聞く。


「これは……ペルシア語ですわね」


 先程よりは自信なさげだが、確かに正しい指摘だった。


「さっきからその異常な言語知識何なんですか……」


 もう付き合い切れないという様にみすかは言うのであった。


 そんなやり取りを経て、ようやく日本語を話す様になったエリー先生をユニ達の元へ派遣しようとする紫音だったが、ある問題が起こる。


 ユニ達の元へエリーを歩かせようとした紫音だったが、その歩き方は妙にぎこちない上に遅かった。


「もう少し早くなりません?」


 そうみすかが言うので、紫音は一旦エリーの電源を切ると、その内部を弄る。


「これで何とか……」


 紫音がそう言って電源を入れる。


 その結果は、一応動きはしたのだが……。


「イートーマキマキイートーマキマキヒーテヒーテトントントン イートーマキマキイートーマキマキヒーテヒーテトントントン」


「今度は何ですか!てか何で糸巻きの歌!?」


「バグってしまったか……」


 頭を抱える紫音。こうなっては仕方がないと、エリーの電源を切る。


「残念ながら、エリー先生計画は凍結じゃな」


「参考書や過去問を取り寄せたのに残念ですわ……」


 肩を落とす二人に、みすかは最初から自分が思っていた事を伝える。


「……その参考書や過去問を皆さんに提供する形じゃダメなんですか?」


 その発言に、二人は思わず膝を叩くのであった。



 みすかの言う通り、どれみは取り寄せた参考書や過去問をユニ達に提供するのだった。


 そうこうしている内に、いよいよ全員の受験日となった。


 瀬楠家の玄関で、ユニは改めて全員に聞く。


「みんな、どこを受験するんだっけ?」


 みんなは口々に答える。


「某大学の心理学科だ」


「体育大学で陸上を続けるんだ」


「私も同じ大学で、そこからスーツアクターを目指す!」


「ファッション科!いつか自分のブランド持ちたいから!」


「漫画学専攻だ」


「丁井先生と相談して、芸能に理解がある大学にした」


「ルアに同じく。まあぼくはあまり顔出しはしないけど」


「マッサージ学科!なのです」


「無難に学力で選んだ理数学科です」


「神仏系」


「教育学科」


「おれ様は……ルーシーとおんなじ所だな」


 それぞれ上からルーシー、七海、アキ、アゲハ、藤香、ルア、メイ、モミ、萌絵、ミズキ、ヒナ、アザエルの目標である。


「そう言うお前はどこだっけ?」


「おれは……」


 ルーシーに聞かれ、ユニは受験票を取り出す。


 刀大の受験票だった。


「おれはとにかく上を目指す。みんなと釣り合う人間になりたいから」


 それを聞いた彼女達は思わず赤面するのであった。


「じゃあみんな、それぞれいい結果を持ち帰れる様に!頑張るぞ!」


「おー!」


 空に拳を突き上げるユニ達。


 その空は、間もなく訪れるみんなの成功を予言するかの様に、青く澄んでいた。


悪魔との契約条項 第二百八十八条

人生とは、常に勉強である。

読んで下さりありがとうございます。

いいね、感想などをよろしくお願い致します。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ