契約その283 やり直せ!お正月event!
「みんな、頼みがあるんだ」
一月二日。新年早々の「悪魔殺し」との戦いを終えたユニ達は、ルーシーにある頼まれごとをされた。
「へーお正月のイベントをやりたい?」
ルーシーは小さく頷く。
「よく考えたら、これまでの年末年始、色々ありすぎただろ。せめて今年は普通のお正月にしたいな……って」
確かに、毎年何かしらの問題が起こっている様な気がする。
今年も「悪魔殺し」の件で普通のお正月とはならなかった。
たまには普通のお正月を過ごしたいと考えるのは当然かも知れない。
「よしわかった。せめて今年は、普通のお正月をやり直そう」
「じゃあさ、やっぱり最初は……」
ユニ達は早速振袖に着替え、初詣に出かけるのであった。
ユニ達が訪れたのは、やはり把羅神社だった。
一月二日にしては多くの人が初詣に来ていた。
「昨日、元日が大雪だったからな」
朝になると、雪はすっかり止んでいた。だから人々は初詣を今日にしたのである。
「みんな!来てくれたんだ!」
神社で働いていたミズキが出迎えた。
「今年はおれ達の手伝いはいらないんだな」
「まあ、他の神社の巫女さん達が手伝ってくれるからね」
皆さんありがとうございますとミズキがお礼を言うと、巫女さんは笑顔で会釈してくれた。
「さて並ぼうか」
ユニ達は初詣の長蛇の列に並ぶのであった。
しばらく並んでいると、ようやくユニ達の番が来た。
事前に調べた作法通りにお参りを済ませたのであった。
「ねえおみくじ引こうよおみくじ」
アゲハの提案で、ユニ達はおみくじを引きに行くのだった。
「それで、全員大吉だったわけか……」
全員分のおみくじを見てユニが呟く。
「だって新年から『大凶』とかじゃ気分落ちるでしょ。だから大吉しか入れてないんだ」
ミズキが説明する。
「まあ確かに言われてみればそうだけど、そういうおみくじに何か意味あるの?」
ヒナが呆れながら言うのであった。
ともあれ、目的だった初詣は終えたので、ユニ達は神社を後にした。
帰宅途中、ユニ達は公園へ立ち寄る。
「他にもやりたい事あったんだ」
ルーシーはそう言うと、どこからともなく羽子板と羽根を取り出す。
「これってもしかして……」
「そう!羽つきだ!一度やってみたかったんだ」
そういえば、俗に言う「お正月の遊び」というものを、ユニ達もあまりやって来なかった。
「たまにはいいかも」
そう思ったユニ達は、ルーシーから羽子板を受け取るのであった。
「いいか、羽根落としたら墨じゃぞ。わしの『墨塗り機』が牙を向くからな」
紫音が取り出したのは、筆を持った何とも形容し難い機械だった。等身大の大きさがある。
「わざわざ墨塗るのにあんなロボット必要なのかな。他の人に塗らせればいいんじゃない?」
ついて来ていたミズキが言う。神社は他の巫女さんの厚意で任せる事にしたのである。
ちなみにロボットに関しては、紫音は「ロマンだ」と言って憚らなかった。
最初はユニとルーシーの対決である。
「よし、おれからのサーブ(?)だ」
「サーブ」というのを若干躊躇いながらルーシーが言う。他にいい表現がなかった様だ。
「ハハ、お手柔らかに頼むよ」
ユニがそう言った瞬間、羽根がものすごい勢いでユニの頬を掠めながら飛んでいった。
羽根はものすごい音を立てながら、地面へと叩きつけられる。
「じゃあ墨ね」
「待て待て待て!」
何事もなかったかの様に機械の準備をするルーシーを、ユニは慌てて止めた。
「悪魔の力を使うのはダメでしょ!」
それはいくら何でも不公平だと言うユニ。ユニは普段は悪魔の力を使わぬ様に封印しているのである。
「しょうがないか……それじゃあアザエル、一緒にやろうよ」
「あまりやった事ないけど、いいぞ」
ルーシーのお願いを快諾するアザエル。相対する二人を前に、周囲は異常な緊張感に包まれていた。
「行くよ!せーのっ!」
ルーシーのサーブは、悪魔の力を用いた情け容赦のない一撃だった。
それをアザエルは、天使の力を使いつつ打ち返す。
「中々やるね!」
「そっちこそ!」
打ち返された羽根も、天使の力を用いた一撃である。
そうしたラリーが何回も続いた。
ただの羽根つきとは思えない異様な光景に、ユニ達は黙って見ているしかできなかった。
永遠に続くと思われていたラリーだったが、すぐに終わりを迎えた。
ラリーに耐えきれなかった羽子板の方がへし折れてしまったのである。
根本からへし折れてしまった羽子板を前に、二人は困惑する。
「こういう場合、どっちの勝ちなんだっけ?」
「引き分けかな……」
「引き分け」を感知した「墨塗り機」が、二人の顔に牙を向いた所で、羽根つきは終わった。
「何か疲れたな……」
「見てるこっちもですよ」
温かいお湯で顔を洗った二人に、みすかが愚痴る。
「やっぱり外は寒いですし、お正月はテレビでも見ながらお餅でも……」
そう言いながら、由理が持って来てくれたお餅に舌鼓を打つみすか。
それに釣られるユニ達と共に、ユニ達の静かなお正月は明けていくのであった。
(来年もまた、みんなでこうやって過ごせるといいな……)
その光景を見ながら、ユニは密かにそう考えていたのだった。
悪魔との契約条項 第二百八十三条
悪魔の力は、使い所が重要である。
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