表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
281/299

契約その281 もう一人のteacher!

「悪魔殺し」から「しもべ」として呼び出された人物に、ユニ達は驚愕した。


「何であんたがここに……岩倉先生!」


「しもべ」として呼び出されたのは、かつてユニ達を陥れた、元晴夢学園女子陸上部顧問の岩倉友児だった。


「えっと……誰なんだ?」


 彼と面識がないアザエルが聞く。


 そんなアザエルに、ルーシーは彼との因縁をあらかた話した。


「成程、知った敵って事か……そいつを使っておれ様達を動揺させるって算段だな」


 アザエルは納得した様に頷きながら述べた。


(この場に七海がいなくてよかったな……)


 ユニはひとまず胸を撫で下ろすが、それと同時にある違和感に気づいていた。


(だが様子が変だ。まるで操られてるみたいな……。本人の意思じゃないのか?)


「ユニ!()()()か?」


 考え込んでいるユニに、ルーシーが声をかける。


「たぶんだけど、岩倉先生操られてるぞ。さっきから悪魔の力を感じるんだ」


「成程、さっきからの違和感はそれか……」


 ならばこちらも悪魔の力で攻撃すれば解放できるはずである。


(気絶させるぐらいなら……)


 ユニが構えた次の瞬間だった。


「悪魔殺し」が、衝撃波を用いてユニ達を攻撃してきたのである。


 慌てて躱すユニ達。


「コイツだけじゃない。僕だっているんだ」


 確かに「悪魔殺し」がいる以上、岩倉に集中する事はできない。


「一体どうすれば……」


 そんな状況で声を上げたのは、丁井先生だった。


「瀬楠!コイツの相手はアタシに任せてくれないか?」


「丁井先生!」


「同じ教師として、コイツの目を醒めさせなくちゃいけないからな」


 丁井先生はそう言いながら身構えた。


「そういう事なら……」


 ユニはルーシーと目配せすると、二人の悪魔の力の一部を丁井先生に譲渡するのであった。


「これで戦えるはずです!」


「よし!任せとけ!」


 力を受け取った丁井先生は、改めて岩倉と相対する。


「アンタがアタシの前任か……陸上部の一件はよく聞いてるよ……。アンタには一言言ってやりたかったんだ」


 丁井先生は、足元の雪をしっかりと踏み締める。


「自分の境遇が何であろうと!それは教え子を傷つける理由にはならねェ!」


 丁井先生はそう叫びながら、右ストレートパンチを岩倉の顔面に叩きつけた。


 その衝撃でぶっ飛ばされた岩倉は、雪の中に仰向けに倒れた。


「まあもっとも……アタシも褒められた人間じゃあないけどな……」


 丁井先生は、最後にそう付け加えた。


「ユニ!あっちが気になるのはわかるけど、今はこっちに集中だ!」


 ルーシーから言われ、丁井先生の戦いに目を奪われていたユニは我に返った。


 猛吹雪が吹き荒ぶ路上で、ユニ、ルーシー、アザエルの三人は「悪魔殺し」と相対する。



 その緊迫した状況の中で、口火を切ったのはアザエルだった。


「今までの活動が認められて、おれ様は正式に天使に戻る事ができたんだ……!天使だけど……地獄を見せてやる!」


 アザエルがそう言い放つと、肩甲骨の辺りから大きな白い羽が生え、頭の上には輪っかが浮かぶ。


 一般的な人が考える天使の様な見た目だった。


「心配だったけどできた!これでも食らえ!」


 アザエルは手元に大きな弓矢を出現させると、それを慣れた手つきで「悪魔殺し」へ向けて撃ち放った。


「"聖なる(セイグリット)(アロー)"!」


 ストレートな技名から繰り出された矢は、「悪魔殺し」の心臓を捉える。


 だがそれを、「悪魔殺し」は何という事もなく打ち消した。


「こっちは天使も何人も殺してるんだ。今更こんなものが通用するか」


(ダメか……軽いジャブ程度の技だしな……)


 アザエルは少し反省すると、今度は大量の矢を放ってきた。


「"聖なる(セイグリット)流鏑馬(アローラ)"!」


 今度は大量の矢が「悪魔殺し」を襲うが、それを悠々と躱していく。


「だからムダだと……」


「あと二人いるのを忘れんな!」


 今度は頭上から、ユニとルーシーが攻撃を仕掛けてきた。


 二人の攻撃をどうにか受け止める「悪魔殺し」。


 そのまま地面に叩きつけられるが、雪のお陰で大したダメージにはなっていない様だ。


「こっちにも味方はいる。出て来い!」


「悪魔殺し」は掌から黒いモヤを出す。


 新たな「しもべ」かとユニ達は身構えた。


 出てきたのは悪魔の様な男だった。


「分身の様なものさ。普段は『()()』に使うが、まあ戦闘にも使える。こっちは今キミ達と戦うわけにはいかないんだ」


「何だと……!それをおれ達が許すとでも!?」


 このままだと逃してしまうと直感したユニは、「悪魔殺し」を逃すまいと走るが、すぐに「分身」に阻まれる。


「なぜこんな雪景色にしたかわかるか?こうやって逃げやすくする為さ!」


「悪魔殺し」は雪煙を上げると、岩倉と自分の「分身」を残してそのままいなくなってしまった。


「逃がしたかくそォ!」


 地団駄を踏むルーシー。


「しかし、結構強いぞこいつら!」


 必死に応戦するアザエル。


 それを見たユニは、ある提案をする。


「どうする?合体するか?」


「合体!?三人しかいないのにか!?」


「それでもだ。今からみんなを呼びにいく余裕なんかないし……」


 ルーシーとアザエルは少し考えてから、意を決した。


「よしやろう!」


 三人は自分の手を伸ばし、重ね合わせる。


「契約内容はあいつらを倒す事!行くぞ!」


 三人の体が光り輝き、ルーシーとアザエルの体がユニヘ吸収される。


 黒と白の羽がユニに生える。


 コスチュームもまた、黒と白を基調とした露出度の高いものとなった。雪景色の中だと少々寒々しい。


「おれ様が名前を決めよう。字は『オーベルフォーム』!ドイツ語で『上位』を表す!」


 なお、このセンスはアザエルのものである。


(そういえばこんな奴だったな……)


 ルーシーはアザエルに気づかれぬ様にそう思った。


「とにかく行くぞ!」


「オーベルフォーム」は、「分身」を悉く殲滅していく。


 それを見ていたのは丁井先生だった。


 丁井先生は、岩倉に言う。


「お前もよく見てみろ。子供は大人達の想定を超えて成長していく!その成長を守る事が!我々教師の役目だ!」


 丁井先生のアッパーカットが岩倉のアゴにクリーンヒットする。


 身体へのダメージ以上に、岩倉の心に響く何かが起こっていたのだった。


悪魔との契約条項 第二百八十一条

子供の成長は、大人の想定を遥かに超えていく。

読んで下さりありがとうございます。

いいね、感想などをよろしくお願い致します。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ