契約その279 Re:年末cleaning!
12月31日。今年もこの日がやって来た。
「さあ!今年も徹底的に大掃除するよ!」
エプロンに三角巾姿の由理が、箒片手にみんなに発破をかけた。
「えぇ……まあ……うん……」
「テンション低っ!どうしたの!?」
驚く由理に、ユニはそこはかとなく申し訳なさそうに言う。
「いや何というか、前回のクリスマス回と比べて落差というか……ねぇ……」
顔を見合わせるユニ達。
「そんなバカな事言ってないで、早くやるよ!こういう時こそ掃除は念入りにやらないと!」
由理はそう言いながら、みんなを引っ張って各部屋の掃除に向かうのであった。
「風月の部屋は……うわ綺麗」
由理は、しっかり整理整頓された和風の部屋に感嘆の声を漏らす。
「ずっと整理整頓はしっかりする様にと教えられてきたので」
なら安心である。由理達は、そのまま別の部屋へ向かうのであった。
「注意した方がいいぞ。落としたり、うっかり弄ったりすると爆発するからな」
「ひっ!」
紫音から注意喚起を受け、ビビった由理は思わず手に持っていた機械を落としてしまう。
それをユニが慌てて受け止め、どうにか事なきを得た。
「ふう……危なかった……」
ユニはそう一息つくと、その機械をそっと机の上に置いた。
後でお掃除ロボットでも作るかと呟く紫音を置いて、ユニ達は部屋を後にするのであった。
「結構みんな片付いてるね」
その後も他のみんなの手助けをしていたユニが呟いた。
「いいや、まだとんでもないのが待ってるよ」
由理はそう言うと、窓の外を指差す。
指を指した先は、丁井先生のアパートだった。
ユニ、由理、紫音、エリーの四人が、丁井先生のアパートを訪れた。
チャイムを押す前に、由理はみんなにこう忠告する。
「みんな、気をつけてね。ドア開けた途端悪臭だったり、メガネウラ(原始時代のトンボ)が襲いかかってくるかも知れないから」
「そんな生物が現代日本にいるのか……?」
紫音が呆れながら呟く。彼女も彼女で、謎の巨大な掃除機の様な機械を背負っていた。どうやらこれがお掃除ロボットらしい。
「とにかく、覚悟しないとね」
みんなは意を決して、チャイムを押す。
チャイムが鳴り響くと、入っていいぞという丁井先生のあっさりとした声が聞こえて来た。
恐る恐る部屋の中に入るユニ達だが、部屋の様子を見て思わず驚く。
「あれ?綺麗!」
何と部屋はしっかりと片づいていたのである。
「とてもこの前とは違うな……」
部屋の様子を見て関心したユニ達に、丁井先生は照れながらこう言う。
「この前はみんなに迷惑かけたし、手本になるべき教師の私生活がだらしないと格好つかないだろ?だからちょくちょく片付けてたんだ」
「そうだったのか……」
先生だって日々反省し、成長している。その事をユニ達はしっかり理解した。
「じゃが、それはそれとして、この機械は使わせて貰うぞ」
紫音はついて来ていたエリーに服の背中を捲る様に言う。
すると機械のノズルをエリーの背中に繋ぎ、機械のスイッチをオンにした。
「ウイィーン!」
この音を出しているのは機械の方ではなくエリーの方である。
エリーが「ウイィーン!」と叫びながら床に這いつくばり、口でゴミを吸い取っているのである。
「どうじゃ」
「いや『どうじゃ』って言われてもねえ……」
ユニ達が見せられているのは女の子が床に這いつくばって大口を開けてゴミを吸い取っているという光景である。
正直な所、絵面はかなり悪い。
「本当はエリー自身に機能を追加したかったんじゃが、容量の問題でできなかった。だから外付けの機械でやったんじゃ」
紫音はやれやれといったジェスチャーをしながら説明した。
「それはわかったけど、吸い取った後はどうするの?」
「そりゃあ勿論、穴から出すに決まっとるじゃろ。尻の穴からこう、ブッと。それ以外にあるのか?」
「最悪だー!」
ケロッとした顔で言ってのける紫音に、ユニ達はドン引きしながら叫ぶのであった。
家に戻ると、大掃除を終えたみんなは年越しそばの準備をしていた。
「そういえば、最近雪が激しくなって来ましたわね」
麺を茹でながらどれみが呟く。
「クリスマスにも雪降ったけど、あれよりも激しいな。かなり積もりそうだ」
そばの具材を切りながらメイも呟く。
丁井先生の部屋から帰って来た四人も加わり、年越しそばに舌鼓を打ち始めるのであった。
「やっぱり年末は特番やってるねー」
ヒナが色々テレビのチャンネルを変えながら言う。
しかし、いつもの年末と違うのは、画面の端の方でずっと降り続いている大雪の情報をやっている事である。
「大雪警報が出されてるみたい。日本海側とか、避難してる人もいるって」
スマホを見ながらアゲハが言う。
「そんなに激しいのか。こっちも心配だな」
そばを啜りながらユニが呟く。
そばを食べ終わると、メイが年越し配信の準備をするべく自室へと帰っていった。
それを皮切りに、ユニ達も各々別行動を取り始めるのだった。
リビングに残されたユニは、ふと窓の方に目をやる。
雪は止まる事なく降り積もっていた。
「何だか嫌な予感がするな……」
その雪を見ながら、ユニは妙な胸騒ぎを感じるのであった。
悪魔との契約条項 第二百七十九条
大人になっても、成長あるのみである。
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