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契約その265 到来!summer vacation最終日!

 8月31日。多くの学生が色々な意味で絶望する日である。


 一ヶ月以上あった長い長い休暇の終わり、サザエさん症候群なんか目じゃない絶望である。


 だがそんな感傷に浸れるのは、毎日コツコツと勉強してきた優秀な学生に限られる。


 それ以外の学生は、より強く、そしてより深い絶望を味わう事になるのである。


 その絶望を、ルーシー、七海、アゲハ、藤香、モミ、ヒナは、今まさに味わっていた。


「終わらない……宿題が……」


「終わる……夏休みが……」


 どこから手をつければいいかわからないので、とりあえず黄昏ているのである。


「えっと……大丈夫?」


 この状況に、さすがにいたたまれなくなったユニが心配して声をかけた。


 ちなみに、すでにユニは7月中に宿題を終えている。他人を気遣えるのは、余裕がある証拠である。


「今日はおれとここにいるみんな以外用事でいないけど、できる事ならおれも協力するからさ」


「……!」


 それを聞いて、彼女達は一念発起する。


 ユニの手を煩わせるのは、何かダメだと考えたからである。


「いいや、お前の手は借りない!」


 ルーシーがきっぱりと断る。


「そう!これだけの人数がいれば絶対終わるよ!」


 ヒナも言う。


 他の彼女達も同じ気持ちだった。


 かくして、彼女達の真夏最後の戦いが始まったのであった。



 といっても、実は晴夢高校の夏休みの宿題はそれ程多くはない。


「国数英理社のワークと、自由研究か読書感想文か小論文だしね」


「進学校だし、それより大学入試の過去問やれのスタンスだからな」


「やってたっけ過去問」


 七海の発言に、彼女達は皆一様に黙りこくってしまった。


「いや!描写外でちゃんとやってたぞ!その、作品的につまらないパートだからカットしてただけで」


 慌ててルーシーが言う。


 だが進学校といっても、それ程あまり勉強しろとは言わない学校である。


 なぜなら県内一の偏差値を持つ晴夢高校に入学する様な人間は、日本の中でもトップレベルの頭脳の持ち主である。


 ()()()()()()()普通に勉強する。


 それはユニ達もそうである。


 たとえ、その少ない夏休みの宿題をためてしまったとしてもそうなのだ。


「まあ、遊びすぎた事は否めないけど……」


 六人は肩を落としながら反省した。


「よし!五教科のワークは手分けしてやって、それをお互いで写そう。問題は自由研究、読書感想文、小論文のいずれかだけど……」


 ルーシーが言いかけると、ヒナがリビングに置いてある共用の本棚から色々持ってきた。


 ここにある本は、全部勝手に呼んでもいいという事になっている。


「無難に古典名作にしようか。ほら色々ある。『銀河鉄道の夜』とか『坊っちゃん』とか『桃太郎』とか……」


 これらは、昔ユニが古本屋で安く手に入れた本達であった。


「ネットで検索かければ、そういう小説のあらすじとか書いてあるから、そういうので内容を把握しておくのもいいかも!」


 アゲハがスマホを触りつつ言った。


「モミはすでに自由研究は終わってますから、ワークの方に注力できますよ」


 自分がワークを人一倍やろうと、モミが名乗りを上げる。


「こないだ教室に忘れてたやつか……」


 ヒナが呟く。


 だいたいの役割分担が終わった。


「よし早速やろう!必ず今日中に宿題を終わらせるんだ!」


 そして彼女達は、オーッと強く拳を突き上げるのであった。


 それを見たユニは、邪魔しちゃ悪いとショッピングに行った由理を追いかけるのであった。


 かくして宿題に取りかかったルーシー達。やる気が出ていたのか、何とかその日の18時までには宿題を終えられたのであった。


「終わった〜!」


 みんなはそのまま大の字になって倒れる。


 まだまだ夏とはいえ、日はすでに傾いていた。


「お疲れ様」


 それを見計らったかの様に、ユニが庭から直接入ってきて、みんなを労う。


「みんなを待ってたんだ」


「僕達を?」


 藤香が聞き返すと、ユニは大きく頷いた。


「今日一日みんなが出かけてたのはこの為だったんだよ」


 ほら!と、ユニはカーテンを思い切り開け放した。


「うわっ!何だこれ!」


 ルーシー達が見たのは、家の一階分はある巨大な機械だった。


「わし謹製の流しそうめん機じゃ!」


 二階のベランダから紫音が叫ぶ。


「まさか、そっから流すのか!?」


 ルーシーが聞くと、紫音がベランダから大きく頷いた。


「事前に麺をセットして、タイマー式の一定間隔で流すんじゃ。『流し手が食べられない』という問題を解決した」


 ちなみに組み立て式で、使わない時は物置にしまっておけるらしい」


「こんなに大きいもの、庭にはずっと置けないから」


 由理が言う。由理が行っていたショッピングというのは、麺やつゆなどを買いに行っていた事だったのである。


「すぐに食べれる様に、麺はもうセットしておるから!今からスタートじゃ!」


 紫音はそう言い残すと、庭の方に降りてきて自分の箸と麺つゆを入れたコップを持つ。


 ユニ達もまた、それぞれ箸と麺つゆを持ってスタンバイする。


「よしそれじゃあ……スイッチオンじゃ」


 紫音が手元のリモコンのボタンを押すと、確かにそうめんが流れてきた。


「この技術を使えば、ウォータースライダーにもなる!いつか実演しような」


 紫音はそう言うと、そうめんに舌鼓を打つ。


「ほらほら、早くせんとわしが全部食べてしまうぞ」


 紫音がそう煽るのを見て、ユニ達も慌ててそうめんに向かうのであった。


「ちょっとみすか!麺取りすぎだって!」


「わかりましたよ!少し分けますから……」


「あーっ!赤いの!私が取るつもりだったのに!」


「後から青い麺が流れてくるよ」


 そんなやり取りをしながら、そうめんに舌鼓を打つみんな。


 いつのまにか日は暮れていたが、流しそうめん大会は麺が全て尽きるまで続いた。


 夏休み最終日。激動の日々の最後に、また一つ思い出ができたユニ達なのであった。


 悪魔との契約条項 第二百六十五条

一生の思い出は、永遠に輝き続ける。

読んで下さりありがとうございます。

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