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第253話 日常②

 謔ェ鬲斐→縺ョ螂醍エ譚。鬆隨ャ莠檎卆莠泌香荳画擅


(悪魔との契約条項 第二百五十三条)


 謔ェ鬲斐→縺ッ縲蜊倥↑繧倶ココ縲縺ョ遨コ諠ウ縺ョ逕」迚ゥ縺ァ縺ゅk縲


(悪魔とは、単なる人々の空想の産物である。)


 二学期の始まりは始業式から始まる。だいたいどこの学校でもそうだろう。


 学校の体育館にて、ユニ達は男女混合の名前順に並んで始業式に臨んだ。


 特に何も滞りなく式は進行していく。


 だが誰か表彰される様である。


 名前が呼ばれ、その人は意気揚々と壇上へ上がった。


 校長が直々に表彰してくれる様だ。


「串田モミさん、あなたは日本彫刻コンクールにおいて優秀な成績を収めましたのでここに賞します」


 おめでとう!という校長の言葉と共に賞状が渡され、体育館は拍手の波に包まれた。


 ユニも他の人と同様に拍手をしたのだが、やはり不思議な違和感が拭えなかった。


(やっぱり、どこかで会った事あるのか……?)


「あの子が気になるの?」


 前の方から声がした。確かユニの前に並んでいるのは、「佐藤陽奈」というクラスメイトだったはずである。


「え?まあうん」


 突然話しかけられてユニはギョッとしたが、すぐに答えた。


 そんなユニに対して、ヒナは説明を始める。


「あの子は芸術家として有名でね、文化祭の時に作った大きな彫刻が表彰されたの。その作品名が……」


「『天高く舞う恋する女神』か?」


 なぜかスッと名前が出た。


「え?そんな名前だったんだ……」


 実は作品名に関しては、モミの意向もあって公表されていなかった。


「一体どこで名前を知ったの?」


 ヒナが聞いたが、ユニ本人にもわからなかった。


(やっぱり、何かがおかしい?)


 ユニの中の違和感は、もはや抑えきれない程になっていたが、ともかく始業式はつつがなく終わった。


 始業式が終われば、部活動のない生徒は下校となる。


 しかしユニは、中庭にあるベンチに座って先程から自分の中で広がっている違和感について頭を悩ませていた。


「一体何なんださっきから!()()()()、おれの日常を侵食してる?」


 考えてもわからない。だが違和感はだんだん大きくなっている。


「そういえば、何か大事な事を忘れてる気がする……」


 それがこの「違和感」と関係している事はわかった。


 だがそこからは……。


「どうしたの?」


 一人頭を抱えて唸っているユニに、誰かが話しかけて来た。


 ユニの幼馴染である、長寺七海だった。


「え?七海?何か久しぶりに話しかけられたな……」


 しかし幼馴染ではあるが、高校生になった今では疎遠になっていた。


 異性の幼馴染とは、往々にしてそういうものである。


「あなたが悩んでる様に見えたから」


 そう語る七海は、長い髪をポニーテールにし、女子陸上部のユニフォームに身を包んでいた。


 晴夢学園の女子陸上部は、かつて強豪と呼ばれていた。


 だがふとした出来事が原因で停部になり、今ではそれはもはや過去の栄光となっていたのである。


 女子陸上部を立て直そうと入部した七海だったが、その熱意も虚しく、その過去の栄光に縋った先輩達によってその熱意は打ち砕かれていた。


 その先輩達が卒業して、ようやくスタートを切れたのだが、その時には全てが遅かった。


 部員が揃わずに女子陸上部は廃部になってしまったのである。


 だが七海は諦めなかった。廃部前のユニフォームに身を包み、今は女子陸上部復活を目指してひたすらに走り込みをしているのだ。


 その事は知っていたユニは、七海に聞いてみた。


「何でそこまで頑張れるんだ?何もかも失ってるのに……何がそこまで、キミを駆り立てる?」


「……?それは……」


 七海はユニの隣に座るとこう言った。


「それはね、ユニ。『私の夢』だからなんだ。いつか大会に出て、思いっきり走りたいっていう、私の夢。『夢は呪いだ』って言う人もいたけど……私はそうは思わない。私にとって、夢は『原動力』なんだ」


「夢……?」


 ユニには、やけにそのワードが引っかかった。


 七海は話を続ける。


「それと、いつか陸上部が復活した時、つけたい部活名があるんだ」


「部活名?」


 ユニが聞き返す。


「うん。女子陸上部の『過去の栄光』に囚われない、新しい名前。その名も……」


「女子総合陸上部」


 またである。また、ユニの口からスッとその名前が出た。


 まだ誰にも言った事のないはずのその名前を出したユニに、七海は驚愕の表情を浮かべた。


「何でそれを……」


 そう聞かれても、出せたものは出せたのだから仕方がない。


 だが、やけにスッキリした様な気がする。


「ありがとう七海。お陰で助かった。おれも入ろうか。女子総合陸上部に」


「そんな……でもユニ、男の子でしょ?()()()()()()()()()、それでもいいかも知れないけど……。でも見た目可愛いからアリかもね」


 七海の返答を聞いたユニは、今日一番の驚きの表情を浮かべる。


「おれが女の子だったら……?」


 あり得ない筈なのに、なぜだかしっくり来るその言葉。


 ユニはしばらく考え込んでしまった。


「えっと……私もう行くね?」


 そんな七海の言葉すら聞こえない程であった。


 しばらくしてユニは教室へ戻る事にした。


 とりあえず場所を変えようとしたのである。


 教室の中には、まだ生徒が残っている。


 中にはギャルの集団と、漫画を描いている女子が二人。


 ギャルの集団の内の一人は、どうやら金を請求されている様である。


「ねーアゲハー。払ってよ『友達料』!儲かってんでしょ」


 クラスメイトの芽ヶ森アゲハ。どうやら有名なインフルエンサーらしいが、それとは裏腹に控えめな性格らしい。


「いやそれでも……もうお金残ってないし……」


 作り笑顔を見せながら答えるアゲハ。


 しかし、その態度がギャル達には心底癪に触った様である。


「じゃあ体とか売るなりなんなりすればいいじゃん。インフルエンサーなんだから。言い訳すんなよ」


「それはどっちかって言うと風俗嬢だろ。いや風俗嬢でもない」


 口を挟んだのはユニである。


 ギャル達が、パッとユニの方を見て言う。


「何それ?あんたに何の関係があんの?」


「確かにないけど、シンプルに邪魔なんだよ。他のクラスメイトにも迷惑になってるし」


 確かに、漫画を描いている内の一人は怪訝そうな顔をしている。


 彼女達にはそれがわからなかったらしい。


「……チッ」


 ユニに言われた事でそうした「人の目」を気にする様になったギャル達は、舌打ちをしながらアゲハを残して去っていった。


「大丈夫?あんな奴ら、友達でもなんでもないよ。だから気にしなくても大丈夫だ」


 残されたアゲハに、ユニはそう声をかけた。


「そんな事……してくれなくてもよかったのに……」


 そうは言いつつも、アゲハはユニに感謝している様だった。


 優しい人だとユニは思った。


「それと、お礼としてはなんだけど……ゲーセン行かない?ほら、そこの女の子達もさ」


 アゲハが教室に残っていた二人に声をかける。どうやら迷惑をかけたお詫びらしい。


「いえ!そんな!悪いです!」


 残っていた内の一人、尾宅萌絵が机から顔を上げて言う。


「同感だ。それに僕は忙しい。締切でな」


 もう一人の足塚藤香も答えた。


「いいのいいの!遠慮しないで!実を言うとお小遣いに余裕あるんだから!」


 さあさあさあ!と、ユニ達はアゲハに背中を押される形で教室から出ていくのであった。

読んで下さりありがとうございます。

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