契約その233 ドキドキっ♡ idolだらけの水泳大会!
休憩時間も終わり、ユニ達は会場となるプールへ戻ってきた。
まだ会場では準備が終わっていなかったが、その様子を見て、ユニ達は絶句した。
プールサイドには、食器と鍋が並べられていたのである。
ユニ達を集めて、ディレクターが事前にルールを説明する。
「この競技は、水泳と大食いを組み合わせたものです。激辛カレーから水まで、様々な料理が用意されており……」
ディレクターの話を要約すると、この競技は全員でやるリレー形式である。スタートと同時に走者は用意された料理を選び、それを食べてから水泳を始める。
第二走者にバトンタッチすると、今度は第二走者が同じ様に料理を選び、食べ終えてから泳ぎ始める。
料理にはそれぞれポイントが決められており、当然食べづらいもの程ポイントは高い。
最後はタイムのよさと料理から総合ポイントが決められる。
なお、料理はいくら食べても問題ないらしく、一番ポイントが低い水のみを何杯も飲んでポイントを稼ぐ作戦も一応アリらしい。
「何だかいきなりバラエティ感が増したな……」
説明を受けて、ユニはそう感想を漏らした。
「ていうか、ウチ達リレーやりすぎじゃないかな」
アゲハがぼやいた。
「最後にもう一つ!」
ディレクターは、今までで一番大きな声を出す。同時にアイドル達も気が引き締まった。
「食事の後の水泳の様な全身運動は、本来は危険です!読者のみんなは決してマネしない様に!困るのは作者ですから!」
「はい!」
読者を代表して、アイドル達は大きな声で返事をする。
「このバカみたいな競技を考えたのも作者だぞ。自業自得だろ」
ユニはそうぼやくのであった。
ともかくセッティングも終わった様なので、撮影は再開された。
「続いての競技は!『食べろ!大食い水泳大会』〜!」
高橋の声に合わせ、アイドル達は手を叩いて盛り上げる。
「それではルールを説明します!」
高橋は、先程アイドル達が聞いた説明を再びする。
これは視聴者への説明であり、アイドル達はその説明を、まるで今初めて聞いたかの様なリアクションをするのであった。
説明が終わり、アイドル達はそれぞれの位置につく。
ユニ達は、モミ→ミズキ→アゲハ→ルア→ユニの順番で臨む事になった。
モミを含めた第一走者達がそれぞれプールサイドに立つ。
モミは大きく深呼吸をし、集中した。
「位置について!よーい!ドン!」
高橋の号令で、アイドル達は一斉に食べ物の方へ走っていく。
モミが選んだのはヨーグルトや牛乳、プリンなど、自分の好物である乳製品だった。
「これなら食べやすいですし、いくらでも食べられますからね」
開始前、本人が言っていた通りである。
「えーイヤだー。太っちゃう」
口々に言い合うアイドル達を尻目に、モミは牛乳五杯、ヨーグルト三杯、プリン二個を食べて水泳を開始した。
本当はもっと食べられたのだが、「あまり突き放しすぎると番組的に面白くなくなる」というルアのアドバイスに従って抑えた。
そしてモミ本人の泳力というと、普通に上手い。
無論女子高生レベルの「上手い」なのだが、アンカーとして「化け物」が控えている事を考えると、むしろ速いぐらいである。
しかし、体の小ささが災いしたのか順位は振るわず、五チーム中三位でミズキにタスキを渡した。
「申し訳ありません……遅れまして……」
やはり食べた後の全力の水泳はキツイのか、モミは息も絶え絶えの状態だった。
タスキを受け取ったミズキは、駄菓子に手をつけた。後で泳ぐ事も考え、ガッツリ食べるよりも軽いものを食べた方がいいと判断したからである。
「大丈夫!この勝負、絶対負けられない!」
ミズキが、そう強く望んだその時である。
「う!?」
隣で食べていた「G5プリンセス」のメンバーの一人が、突然うめき声を上げたかと思うと、その場でうずくまった。
「どうしたの!?大丈夫!?」
さすがに心配になったミズキは、そのメンバーを介抱しようとする。
すると突然、メンバーはミズキにドスンとタックルをかました。
「え?」
完全に不意をつかれたミズキは、そのままプールに頭から転落した。
「あーっと!一体どうした"J'S"!」
高橋の実況が響く。
ただこれは、どちらかというと「笑えるハプニング」として現場では処理された様である。
「ミズキ!」
ユニは駆け寄ろうとするが、自分でプールサイドに上がったミズキは、ユニにサムズアップをした。
「大丈夫」という事である。
結局このハプニングのせいで、ユニ達は最下位になった。
駄菓子を何個か腹に収め、ミズキは慌てて泳ぎ始める。
ミズキの泳力自体はモミより上だが、一度ついてしまった差を覆すのは難しかった。
「ごめんアゲハ……」
第三走者のアゲハに謝罪するミズキ。
「大丈夫!ウチ達に任せて!」
アゲハはミズキの背中を叩いて励ました。
続いて第三走者のアゲハの番になる。が、アゲハの歩みが突然止まった。
「そんな……ウソでしょ……」
アゲハは青ざめ、ガタガタ震える。
「タコ焼き、タコ飯、タコの天ぷら……!何で食べ物がタコ尽くしになってるのー!」
第三走者から、何と料理のメニューが変わったのである。
アゲハがタコ嫌いな事は、ユニ達にとっては常識である。
なのでそれを事前に知っていれば、ユニ達はアゲハを前の走者にしただろう。
それをしなかったという事は、本当に直前に料理が変わったのである。
おそらく、誰かの手によって。
大量のタコ料理に、アゲハは立ち尽くすしかできなかった。
悪魔との契約条項 第二百三十三条
世界は、足の引っ張り合いの連続である。
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