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契約その231 ドキッ♡ idolだらけの水着大会!

「そもそも、『アイドル甲子園』がどういう番組なのかちゃんと覚えてる?」


 撮影場所へ向かうロケバスの中で、ルアがみんなに聞く。


「それは……ちゃんとみんな把握してるよ」


 ユニ達は、お互いに顔を見合わせながらそう言った。


 ユニは、復習も兼ねて「アイドル甲子園」についての説明を始めた。


「アイドル甲子園」は、毎年夏の時期にテレビ局「クマテレビ」の「爆ONテレビワイド」という枠で放送されているアイドルバラエティ番組である。


 アイドルが、持ち歌披露を賭けて知力や体力を競うというのがコンセプトであり、すでに20年も放送されている人気番組なのだ。


「まあ、『知力』と『体力』は私達5人が揃っていれば問題ないから、あえて練習しなかったけど……大丈夫?」


 ルアが心配そうに聞く。


 当然だが、本番中は多くのカメラが向けられる事になる。ユニ達のポテンシャルが生かされない可能性も大いにあるのだ。


「たぶん緊張するけど大丈夫だと思う。『知力』と『体力』なら、アイドル界に敵なんかいないよ」


 ユニは自信満々に言うのであった。


「それはいいんだけど、なるべく無双しすぎないでね?あくまで『競技』じゃなくて『バラエティ』なんだから」


 ルアが釘を刺す。


 確かに、ユニ達ばかりが無双していても番組として面白くない。うまく接戦を演じなければならないという事だ。


「わかった」


 ユニを含めた4人は、大きく頷くのであった。


 その5人を乗せたロケバスは、程なくしてロケ地に着いた。


「ここか」


 ロケ地となるのは、都内某所にある何の変哲もないプールである。


 瀬楠家の近所にある徐氏堂市民プールとそれ程変わりはない。


「何で場所がプールなんだ?」


 ユニが疑問を呈する。


 確かロケ地は、一昨年は山で、去年は海辺だった。


 ロケ地は毎年異なる為、過去の放送は参考にならないのである。


 しかし、ユニ達はその理由をよく理解する事になるのであった。


 建物の中に入ると、スタッフらしき若い男性がユニ達に話しかけてきた。


「『J'S』の皆さんですね!?こちらはどうぞ!」


 ユニ達は、言われるがままに案内されるのであった。


 案内された場所は女子更衣室だった。


 それを見た時、ユニの疑惑が確信に変わる。


「これってたぶん……」


「うん。そうだろうね」


 正直な所、ロケ地がプールである時点でだいたいは察しがついていた。


 ユニ達は、更衣室の中に入るとそれぞれの名前のテープが貼ってあるロッカーの前に来た。


 ユニ達がロッカーを開けると、やはりというべきか、水着がハンガーにかけられていた。


 これが今回の衣装というわけである。


 その用意された水着を着用し、ユニ達は会場へと向かうのであった。


 撮影は、会場で一番大きなプールサイドで行われる様だ。


 プールを背景に、それぞれのチームのおそらく回答席が用意されていた。


 当然みんな水着姿である。


「ほ……ほわああああ!」


 ものすごく間の抜けた叫び声を上げたのはモミである。


 水着姿のアイドルを間近で見て、テンションが上がったのだろう。


 そんなモミは髪を大きなツインテールにし、フリフリの装飾がつけられた水着を着用していた。


 普段の髪型と違うので、だいぶ印象が変わる。


 身長の関係で、どうやらロリ担当と目された様である。


「一週間!頑張った甲斐がありましたね!」


 大きな目を輝かせながら言うモミ。喜んでいるならそれでいいと、ユニは思うのであった。


 今回出演するアイドルが全員出揃った所で、リハーサルが始まる。全体の流れを通しでやるのである。


 それが終わったらいよいよ本番が始まる。


「よーいスタート!」


 誰かの声から、本番がスタートするのであった。


「さあ、始まりました!『アイドル甲子園』!今年も今をときめく人気アイドルが鎬を削ります!」


 今年の司会を担当するのは、お笑い芸人「ライジングジャンプ」の高橋一令(かずのり)だ。


 軽妙なトークと場を収めるコミュニケーション能力、そしてクリーンなイメージがあるお茶の間の人気者である。


 やたらと芸能人の不祥事が騒がれる昨今、彼の様なクリーンなイメージのある芸人が求められるのである。


「では出場アイドルをご紹介しましょう!まずはダンスアイドルグループ『バロネス』!」


「バロネス」はダンスに重きを置いたグループである。時に激しく、時に繊細なダンスは、見る者を魅了するらしい。


「そして、『レッドホッパー』!」


「レイドホッパー」は、バンド風のアイドルであり、若者の葛藤を描いた歌詞で若者の強い支持を得るグループである。


「そして『G(ゲットオン)5プリンセス』!」


「G5プリンセス」は、他の3グループとは違ってふわふわした様な、つまり「夢かわいい」をテーマにしたアイドルである。


「拙者としては、あの中だと『G5プリンセス』が一番推しですかね。オタクからの人気が凄まじいのです」


 観覧に来ていた萌絵が言う。


 予定が合う彼女達で、ユニ達の応援に来たのである。


「はいそして最後に!『J'S』!今回、諸事情で通常メンバーはルアさんのみですが、研修生の皆さんが応援に来てくれました!」


「研修生」とは、ユニ達4人の事である。ユニ達は「よろしくお願いしまーす!」と元気に挨拶をした。


「はい彼女達が、今回のアイドル甲子園の出場メンバー達です。果たして優勝するグループは誰なのでしょうか!」


 高橋がそう言ってからしばらくして、「はいOKでーす」という声が流れた。


 その時、現場の空気がドッと緩くなった。これから10分間の休憩を取り、その後で最初のクイズ大会の撮影をするらしい。


 ユニ達は、観覧に来てくれた彼女達の元へ駆け寄る。


「どうだった?」


 ユニが聞く。


「うん。いいですね。プロにも引けを取りません」


 萌絵が太鼓判を押す。


 ユニ達は、ひとまずよかったと胸を撫で下ろした。


「ですが注意してください。芸能界も一枚岩ではありません。一見クリーンに見えても、もしかしたら恐ろしい内面が隠れているかも……」


「お……おどかさないでよ」


 ミズキがビビる。


「でも大丈夫!ウチ達にはユニちがいるもんね!」


 アゲハは、ユニと肩を組みながら言った。


「芸能界の闇」。


 これは調べてみる必要がありそうだと、ユニは心の中で思った。


 とはいえいよいよ本格的に、「アイドル甲子園」のその撮影が始まるのであった。


 悪魔との契約条項 第二百三十一条

人間には、決して人には見せない裏の顔がある。

読んで下さりありがとうございます。

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