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契約その192 GODの遊戯!

 たくさんの報道陣に家を取り囲まれたユニ達。アゲハは、とりあえず情報を集めようとSNSを調べていた。


 調べ始めてすぐ、アゲハは青ざめた。


「そんな……ウソ……」


「どうしたんだ!?」


 慌ててユニ達はアゲハの元へと駆けつけた。


「これ……ちょーヤバイ……検索ワードのトップ10全部がウチ達関連になってる……」


 アゲハは、みんなにスマホの画面を見せる。確かに、並んでいるのは全て身に覚えのある言葉ばかりであった。


「そんな……そんなバカな話あるんですか!?私達は普通の……」


 みすかが言いかけたが、すぐに口を閉じる。


 一部を上げても、トップアイドルに人気漫画家にVライバーに日本一のセレブが住んでいる家は、普通ではないからだ。


「でも明らかに異常でしょこの状況は!」


 七海の言う通りである。多くの人が集まるSNSで、話題のトップ10を総なめにするのは普通ではない。


「何者かの策謀が働いたと考えるのが自然だな」


 ユニは推測する。


「何者かがおれ達のテキトーな噂を流して、それでこんな状況になってるって事か?」


 ルーシーの質問に、ユニはゆっくりと頷きながら言う。


「そう考えるのが一番自然だと思う。だが問題は……」


「それが一体()()仕業かって事か」


 アキが続ける。


「それはたぶんだけどさ、あの昼川君だと私は思うんだ」


 そう言ったのはルアである。


「その心は?」


 ユニが聞く。


「芸能界にいるとさ、一緒に呑んだ一般人とかにその醜態をタレ込まれたとかの話を聞くんだ。今回はそのパターンだと思う」


 成程、可能性としてはある。


「でもそれだけだと、こんな検索ワードトップ10を総なめするには何か弱くない?もっと大きなりゆーがあるんだよ!」


 アゲハが言う。


 それも確かにその通りである。


「考えられるのは……」


「天使か、あるいは悪魔か……」


 ルーシーが呟く。


「それしかないよな……」


 ユニも賛同した。


「それでどうするの?外がこの状況じゃ学校にも行けないし」


 七海が聞く。


「地下通路から神社に行って、そこから登校するのはどうだ?」


 ユニが聞くが、ミズキは首を振った。


「そこにも報道陣が詰め掛けてる。たぶん無理だと思う」


「そうか……」


 丁井先生のアパートから行く事も考えたが、そこはここから近すぎる。報道陣を欺く事はできないだろう。


「じゃあ一体どうやって……」


 ―――知りたい?


 突然、ユニの脳に直接語りかけてくる声があった。いや、ユニだけではない。全員にその言葉は伝わった様である。


「いやだなー忘れちゃった?ぼくだよぼく」


 突然虚空から何者かが現れた。


「誰!?いや……私!?」


 ルアが驚く。


 その人物は、まさにルアと瓜二つの容姿をしていた。いや、「似ている」というレベルではない。「同じ」なのである。


「今回は人間のトップアイドルの姿を取ってみたんだ。ほら、自在に服だって変えられる」


 その誰かが指をパチンと鳴らすと、その姿がルアのアイドル衣装に変わった。


「変わった!?一体どんな技術力じゃ!?」


 紫音がどこか興奮気味に聞く。


「技術力?そんなの関係ないよ。ほら!どんな姿にもなれる!」


 アイドル衣装から、着物、ウエディングドレス、ナース服、バニーガール、チャイナドレスと目まぐるしく変わっていく。


「こういうのなんてどうだろう!?」


 そして最後にマイクロビキニの姿になった。


「うおおお!すごい!本物そっくりなのです!」


 今度はモミが興奮する。どうやら本物の体を知っているらしい。


「ちょっと!誰かはわからないけど、勝手に人の体でコスプレ大会しないでよ!」


 本物のルアの反対を受け、その誰かは自分の姿をルアの制服姿になった。


 気を取り直して、ユニがその誰かに話を聞く。


「それで、お前は誰なんだ。一応目星はついてるが」


「それはよかった。聡明だと話が早くて助かるねェ〜!」


 それまでハイテンションだった誰かは、急に落ち着いて言う。


「ぼくは神だ」


「神!?神って、あの!?」


 ルーシーが驚きながら聞く。


 ルーシーが思い浮かべているのは、以前「ラファエル」に裁きを下したあの神の事である。


「その神が、一体何の用なんだ?」


 ユニが聞く。


「最初に()()謝っておくよ。この状況は、ぼくが遊びに作り出したって事」


「遊び……だと……?」


 その瞬間、ユニは怒りを露わにした。


 神はそれに怯む事なく話を続ける。


「キミ達に恨みを持っている男がいてね、少し力を貸したんだ。人間界のトレンドを弄るぐらい、た易い事さ」


 神は、やれやれといったジェスチャーをしながら話を続ける。


「でもその男は信仰心が足らないつまらない男だった。興が削がれたから元に戻すよ。ほら!」


 神が指を弾くと、今までいた報道陣が一斉に帰り出した。検索ワードのトレンドも、ユニ達関連のものはなくなった。


「これで全て元通り!じゃーねー!」


「ちょっと待て!」


 帰ろうとする神を、ユニは呼び止める。


「何でおれ達にこんなちょっかいをかけた?お前にとっておれ達は……」


 神は、謎の力でユニの言葉を遮ると、ユニにこそっと言う。


「キミ、魔界に行ったんだよね?だったら()()わかってるはず。一体いつ言うのかな?」


 その言葉に、ユニは青ざめる。


「それは……おれが決める事だ……」


「そんな事言って……墓場まで持って行くつもりだろ?今ぼくが彼女達に伝えてもいいんだぜ?」


 それはまるで友達に聞くかの様な言い方であった。


「それはやめろ……!」


 そんなユニの懇願が伝わったのか、神はユニの所から離れると、こう言う。


「さてと、話も済んだ事だし!ぼくは帰るね、じゃーねー!」


 そう言い残し、神は去っていった。


「結局何だったんだアイツは……」


 アキが呟く。


「でも、これで全て元通りなんでしょ?」


 アゲハが呟く。その手でトレンドを確認しているが、やはりユニ達関連のトレンドはない。


「よかったこれで……」


 と、次の瞬間、七海が青ざめる。


「早く行かないと!学校に遅刻しちゃう!」


「そうだった!ヤバイ!」


 ユニ達は慌てて支度をし、学校へ行った。


 学校へはギリギリ間に合った。


 まるで今朝の騒ぎなどウソだったかの様に、学校は穏やかだった。


 しかし、ユニの心は内心穏やかではない。


「これから一番の敵になるのは神だ。それに、()()()()、みんなには隠しておきたい」


 みんなには言えないユニの秘密。ユニはその秘密をそっと心の中にしまい込んだのであった。


 悪魔との契約条項 第百九十二条

神は全知全能である。人間界の流行を弄る事など、彼にとってはた易い事なのである。

読んで下さりありがとうございます。

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