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契約その178 変身!harem form!

 地面に降り立ったのは、当然「ラファエル」だった。


 右腕で気を失った「セラフィム」の首根っこを押さえている。


「残念ながら、大した時間稼ぎにもなりませんでしたね……」


「ラファエル」は、「セラフィム」をゴミの様に地面に捨てながら言った。


「お母さん!」


 母の元に駆け寄るルーシー。


「こっちに連れて来い!せめて応急処置を……」


 ユニが叫ぶ。


「ラファエル」がこう吐き捨てる。


「殺す価値もありませんでしたね」


 それを聞いたルーシーは、こう叫びながら「ラファエル」に向かおうとする。


「この野郎ォ!」


「抑えろルーシー!一人じゃ勝てない!」


 キレたルーシーを、ユニが制止する。


「ラファエル」は、そんな二人を無視しながら言う。


「楽しくなかったから、ゲームをしましょうか」


「ラファエル」は、瞬間的にどこかへ移動した。


「おい待てよ!」


 ルーシーが叫ぶが、「ラファエル」は気にも留めない。


 すると、空に「ラファエル」の姿が大きく映された。空をモニターにしている様だ。


「皆さん!私は『ラファエル』。天使です。突然ですが、"元"最強の悪魔、『セラフィム』を倒しました」


 周囲はざわついている。「セラフィム」の敗北が信じられない様子だ。


「ラファエル」は、続いてこんな事を言い出した。


「そして今から、魔界を攻めようと思います!」


 それを聞いた周囲の反応が、ざわつきから驚愕に変わった。


「でも!そんな事やったらお互い無事ではすみませんよね?だから、この子達を捕まえたら大人しく帰ってあげます」


「ラファエル」は「この子達です!」と言いながら、ユニ達を映し出した。


「この子達を捕らえるなり殺すなりして私の所へ全員連れて来て下さいね!では!」


 空のモニターが消えた。


 そして次の瞬間に、周囲の目がユニ達の方に向く。


「これはマズイな……。魔界全部が敵になった……」


 ユニが呟く。


 負傷した「セラフィム」を庇ったままでは逃げ切らない。


 その時である。


「おーい!瀬楠!乗れ!」


 マイクロバスを駆る丁井先生とみんなが助けに来たのである。


 それを見たユニ達は、すぐさまバスに飛び乗った。


「助かった!ありがとう!」


「セラフィム」を座席に寝かせ、応急処置に入る。


「それで、これからどうする?」


 アキが聞く。


「決まってる。『ラファエル』をおれ達の手で倒すんだ」


 ユニが言い切る。


「これしかないよな……。でも、仮に勝算があるとしてもどうする?わからないだろアイツの居場所」


 すると、倒れている「セラフィム」が言う。


「悪魔の感知能力を使えば、彼女の居場所を知る事はできる……」


 その案が採用され、とりあえずの目標ができたのだった。


 しかし、マイクロバスとて無敵ではない。


 ユニ達を追う住民達は、今度は己の乗用車で追ってくる。


 それだけならまだしもいいのだが、ついには四方を車に取り囲まれ、動けなくなってしまった。


「ここまでか……」


 丁井先生が呟く。


 これら全てを押しのけて進める程、マイクロバスは強くないのである。


「ここを出て走るんだ!」


 叫ぶ丁井先生。


 ユニ達は負傷した「セラフィム」を庇いながら、何とかその包囲網を突破した。


「さすが悪魔だ。回復が早い」


 ユニはすでに走れる様にはなった「セラフィム」を見て呟くのだった。


 ユニ達は「悪魔の感知能力」を使いながら、いよいよ「ラファエル」の場所を訪れた。


 そこは、何の変哲もないノスタルジックな空き地だった。


「来ましたか。さすがに民衆の力じゃ誰一人倒せないか……」


「ラファエル」が呟く。


「いや……ちょうどいいですね。民衆ごときではなく、あなた達は直接始末するつもりでしたから」


「セラフィム」は言う。


 その最中、ルーシーはユニの背中をつついて言う。


「あるんだろ。勝算」


 ユニは大きく頷いてから言う。


「ルーシーと『セラフィム』、二人と契約するんだ。悪魔二人分の力とみんなの思いを合わせて、強力な力にする」


「それって……『二重契約』って事……?」


「セラフィム」が聞く。


 おそらく、そういう事になると思います」


 ユニが言う。


「確かに理論上は可能だけど、そのほとんどが悪魔の力に溺れる事になる。おすすめはしないわ」


「セラフィム」はそう言うが、その娘ルーシーは違う。


「大丈夫!きっとユニなら……」


 そんな娘の真剣な表情を見せられては、「セラフィム」も許可しないわけにはいかなかった。


「わかったわ……無茶だけはしないでね」


「セラフィム」の問いかけに、ユニは強く頷くのだった。


 ルーシー、そして「セラフィム」はユニの髪を一本口に含んで言った、、


「契約成立……。契約内容は、アイツを倒す力を得る事!」


 すると、ユニの体が白く光り輝いた。


 いや、ユニの体が光り輝くというより、巨大な光にユニが包まれたと言うべきだろうか。


 そしてさらに、ルーシー達の体も光り輝いていた。


「な‥…何だ!?」


 驚愕するルーシー。


 そしてその光は優しく弾け、中からユニが現れたのだった。


 ユニの姿は、全身を漆黒の服というファッションだった。


「あれ?今までは服まで変わってたっけ」


 この変化はユニ自身にも想定外だった様だ。


「姿が変わったって事は、この前アキが言ってた『フォームチェンジ』みたいなものか」


 ユニが呟く。


「なあみんな、この名前どうしようか。おれとしては……」


「ちょっと待った!私が決める!」


 ユニの言葉を遮り、アキが言う。


 みんなはアキに任せる事にした。


「そうだな……『ハーレムフォーム』だ!」


 自信を持ってアキが言う。


「よし、採用だ!」


 ユニはそう言うと、改めて「ラファエル」と対峙し、こう言い放った。


「この力で!お前を倒す!覚悟しろよ!」


 悪魔との契約条項 第百七十八条

「悪魔との二重契約」を行う事で、契約者はより強い力を発揮する事ができる。

読んで下さりありがとうございます。

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