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夜明けが君に届くまで  作者: ちる
第二章
79/89

79話 男子高校生と謎の男

 かざりちゃんや不審な男達は夕鶴ゆづるの失われた過去と関係がある可能性が高い。

 夕鶴には現在判明している点だけでも過去を知る権利がある。


 不審な男達との遭遇から数日経った今日、夕飯後のリビングで赫夜かぐやが夕鶴へそう伝えたが、夕鶴の答えは意外にも否だった。


「……あたし、聞きたくない」


「そう、わかったよ。夕鶴が望むならいつでも答えるから」


 赫夜は夕鶴の頭を優しく撫でてソファから立ち上がる。

 蟲退治むしたいじに出るための身支度を整えに部屋へ戻ろうとする赫夜の背中を目で追っていたら、扉が閉まり完全に姿が見えなくなったところで夕鶴から声を掛けられた。


朝来あさき、ごめんね。ガッカリした?」


「ガッカリって何だよ」


「赫夜が過去のこと言い出すなんて、朝来が何か言ったからでしょ?」


 夕鶴は床に視線を落として心細そうに苦笑いをする。


「まぁ……夕鶴はもしかしたら知りたいかもと思って。でも、聞かないのも夕鶴の選択なんだから良いじゃんか」


 正直、夕鶴が聞かないと言ったことには驚いていたが、心理的な負荷も強いらしいし聞きたくないならそれで良い。

 知りたいのに教えてもらえないのは辛いだろうし、夕鶴なら聞くかどうかは自分で決めたいはずだと思っただけだ。


「ただの事故じゃないって昔から薄々わかってた。気にならないわけじゃない……けど、怖いの。昔のこと考えようとすると怖くて、吐き気がする。……弱くてごめん」


「謝る必要なんかない。仕方無いだろ」


「うん……そうなんだけど…ね」


 夕鶴は弱々しく呟くと、それきり押し黙ってしまう。

 しばらくしてリビングへ戻って来た赫夜と入れ違うように、脇をするりと抜けて出て行った。




+++




 相変わらず蟲を探すために街に来たのだが、今夜は一段と冷える。

 肩を縮めてコートのポケットに両手を突っ込んで歩いていると、少し後ろを歩いていた赫夜が隣へ寄ってきた。


「寒い?」


「まぁ、少し」


「私の手、今日は結構温かいよ」


 赫夜は小さくふわっと緩んだ笑みを浮かべて手を差し出してくる。

 照れ臭さを抑えつつ手を握ると、柔らかく小さな手はポカポカに温かい。


「本当だ。あったか」


「そうでしょう。こうしたら、もっと温かくなるよ」


 赫夜はどこか誇らしげに言って、握っている手の甲をもう片方の手で挟み込むように上から包んだ。

 「ね」と笑顔で念押ししてくる赫夜に無言で頷きを返す。


 無防備なあどけない言動が可愛すぎて困る。


「あったかいのは……その、ありがたいけど。両手塞がったら赫夜歩きにくいだろ」


「あ、確かにそうだね」


 気付かなかったと赫夜がはにかむ。

 重ねられた手が離れ、再び冷えた外気に晒された手の甲に名残惜しさを感じながらも繋いだ手を握り直した。





+++




「今ので最後かな」


 俺が斬り倒した蟻に似た蟲の死骸を一瞥して赫夜が呟く。


「……良かった。何気に室内戦闘初めてで緊張したな」


 安堵の息を吐きながら環月かんげつをしまい、スマホに持ち替えてライトで先行きを照らす。


 今俺達が居るのは正面に白幕の掛かった改装中の雑居ビルの四階だ。

 フロアの隅には内装資材が多く積まれているが、よく見れば埃を被っているので改装工事は長らく進んでいないのかもしれない。


「蟲がこんなビル内に居るのは珍しいからね。でも、いい経験にはなったんじゃない?」


「壁とか天井に剣先当たりそうで戦いにくいってのがわかった……この階も特に何も無さそうだけど」


 ぐるっとフロアを見渡して伝えると、赫夜は眉を顰めながら天井を見上げた。


 何かあるのか。

 つられて上を見るが、コンクリートと剥き出しの配管が見えるだけだ。



「……今、上に気配が増えたよ」


「増えた?」


「逃げることはあっても、増えるなんて無かったんだけどね」


 声のトーンを落とした赫夜の発言に息を呑み、緩めた気を引き締め直す。


「行こうか」


 赫夜は自分が先に行くとばかりに腕で俺を制して歩き出した。



 フロアから出て階段を登りながら壁に取り付けられたプレートに目をやると、上階はRFと書かれているのに気付く。


「次って屋上なんだ」


 屋上なら開けているだろうから立ち回りに気を使う必要が無さそうで、ついホッとしてしょうもないことを言ってしまう。



「みたいだね。――やはり逃げない、備えて」


 赫夜はそんな俺を窘めるでもなく静かに告げると、階段を登りきり屋上へ繋がる扉に手をかざす。




 バァン、と激しい音を鳴らして勢いよく金属製の扉が開き、冷たい空気が一気に内側に流れ込んでくる。

 屋上へ踏み込もうとする赫夜の肩を掴んで後ろに引いて、位置取りを変えるようにして前に出た。


 ――赫夜には悪いけど、この期に及んで後ろに隠れてるのは情けないだろ。



「ちょっと、朝来?!」


 俺の急な行動にバランスを崩しかけて赫夜が抗議の声を上げる。


「俺が先!」


 環月を抜きながら飛び込んだ屋上には、飛び回る蜂型の蟲が三匹。


 ――そして、小さな人影。


 佇んでいたのは、飾ちゃんだった。



「……朝来、あの子」


「うん……飾ちゃんだ」


 後ろから来た赫夜の戸惑う声に肯定を返す。


「飾ちゃん! 飾ちゃんだろ?!」


 試しに呼び掛けてみるが、飾ちゃんは反応せず、虚ろな瞳で夜空を見ているばかりだ。

 様子がおかしい。でも、あれは間違いなく飾ちゃんだ。


 どうして彼女がここに居るのか。


 近付いていく俺を遮るように突っ込んでくる蟲を全て切り捨てる。


「飾ちゃん、聞こえてる? ここで何をしてるんだ?」


 あと一歩の距離で問い掛けながら手を伸ばす。

 すると、これまで反応のなかった飾ちゃんが俺の手から逃れるように前に駆け出した。


 その素早さに驚く間もなく、飾ちゃんは屋上の低いフェンスを軽々と乗り越えて空中に身を躍らせる。


「嘘だろ?!」


 慌てて背を追ってフェンスに手を掛けるが、普通の人間に飛べる高さじゃない。


「私が追う! 朝来は今すぐビルを出て人の多い場所へ戻って!」


 下を見て躊躇う俺の横を赫夜がすり抜けた。

 一瞬、その背に薄く透ける金の翼を羽ばたかせて、飾ちゃんを追いかけて飛んで行く。


「赫夜! 戻れって……そこは連れてけよ!」


 ああもう、人を置いていくんじゃない。

 折角また飾ちゃんと会えたのに、これでは何も聞けないじゃないか。


 赫夜の消えた方角に文句を言いながら盛大に肩を落とす。


 赫夜が追いついても、飾ちゃんは結構人見知りっぽかったし、赫夜も穏やかだけどコミュニケーションが上手い方では無いと思う。

 あまり良い組み合わせとは思えなくて不安だ。


「……連絡くれれば良いんだけど」



 大人しく大通りへ戻ろうと顔を上げると、ふいに横から突然光を当てられ眩しさから反射的に仰け反る。


「こんなところで何してんだい?」


 陽気な男の声が屋上に響く。

 片手で光を遮りつつ振り向いた視線の先、屋上の入り口には懐中電灯を握りしめた作業服姿の男が立っていた。


 男の年齢は四十代くらいだろうか。

 ボサボサと手入れの悪そうな長めの髪と無精髭とでパッと見ガラが悪そうだが、服装的に工事関係者かもしれない。


 こんな時間に見回りでもしてるのか?

 疑問はあるが、相手から見ればきっと俺も怪しい。


「あー……すみません。中入れちゃったんでつい」


 言い訳が苦しいが、とりあえずこの場は笑ってやり過ごそうと会釈をする。


「ったく、嘘が下手だねぇ。兄ちゃん幾つよ?」


「いや……それは」


「中学生にしちゃ背が高いな、高校……? 十六かそこらか」


「は、はは……」


 言い当てられて乾いた笑いしか出てこない。

 通報は避けたいので言い訳を必死で探していると、男はくたびれたような溜め息を吐いて手持ちの懐中電灯を懐にしまう。

 自分に向けられていた光源が消えて、一気に周囲が暗くなったように感じた。



 瞬間、男の雰囲気が変わる。



「本当に子供じゃねぇか、世知辛いねぇ」


 つい先程までの陽気さはまるでない低く冷たい声とともに、男が殴りかかってくる。


 お互いの距離はそこまで近くなかったはずなのに。


 この一瞬で間合いを詰められたことに驚きながらも何とか身を躱す。


 男は俺が攻撃を避けたと知ると、楽しそうに口笛を短く鳴らして再び拳を振り上げる。



「オイオイ、殴られてんのに殴り返してこないのか?」


「はぁ?! 何なんだよ、あんた!」


「今どきの子は殴り合いの喧嘩とかしないもんかね。土手で殴り合って友情を確かめるとかさぁ」


「意味わかんねーよ!」


 挑発的な言葉を投げてくる男の攻撃を何度も躱しながら苛立ちを返した。



「――っと、避けるばっかしで埒が明かんな」


 男はぼやくと、一旦殴りかかる手を止めて自身の耳に親指を当てながら唇を動かした。

 何か言葉を発したんだろうが声が小さ過ぎて俺には聞き取れなかった。



「あんた……一体何者なんだよ。何で急に殴り掛かられなきゃならないんだ」


 攻撃が止んだのを良いことに、当然の疑問をぶつける。

 男は俺を見て愉快げに目を細め、呆れを隠さない声で笑う。


「兄ちゃんは本当に育ちが良さそうだな。不審者にそれ尋ねて、名乗りが返ってくるとお思い?」


「わかんないから駄目元で聞いてんだよ。もしかしたら揚々と名乗り出す馬鹿も居るかもしれないだろ」


 イラッとして言い返せば、男が今度は大袈裟に手を叩いて笑った。



「……ま、そんぐらいのが可愛げはあるやな。時間も無いし第二ラウンド始めようか」


 男のからかい混じりの宣言と同時に、不快な羽音を鳴らして複数の蜂型の蟲が上空に現れた。

 俺が驚く間すら与えない勢いで滑空してくる蟲達を、即座に抜いた環月で斬り伏せながら男との距離を取る。


「おー、えらいカッコイイ得物持ってんのね」


「第二……って、一対一じゃないのかよ!」


「殴り返す度胸のないお坊ちゃんが悪い」


 蟲はまるで男に呼ばれたかのように湧いてきた。

 男が何者で、何で俺を襲うのかは謎のままだが、少なくとも蟲と蟲使いと関係のある人物であることは疑いようもない。


「……あんた、蟲使いなのか?」


「答える奴は居ないって言ったろ」


 男は淡々と答えると攻撃を再開した。


 姿勢を低くして突っ込んでくる男の一撃は前より速い。


 しかし、躱せない程ではない。

 次が来るのも想定して、最小限の動きで男の拳を躱した――はず、だった。


 胸に鋭く強い痛みが走る。



 斬られた?


 疑問を考えている暇はない。

 次激に対して一撃目よりも大きく回避を行ったが、それでも謎の斬撃が腕を掠めた。


「その立派な剣は構えねぇのか?」


「……っ!」


 何が目的なのか、男は攻撃の手を緩めること無く環月を使うよう挑発してくる。


「蟲は斬れても人は斬れないってか?」


「うるさい……!」


 避けているつもりだが謎の攻撃で斬りつけられ、腕や脚に傷が増えていく。


 胸の傷はかなり出血してる気がする。

 この状況が続くのはまずい。


 戦わなければ自分の命が危ういのはわかっている。

 でも、 蟲をやすやすと両断出来る刃物を人間相手に使うっていうのか?


 俺の躊躇いから生じた隙を逃さず、男がさらに深くまで踏み込んでくる。


「…くそっ!」


 躱しきれない。


 考えるより先に身体が動く。


 環月を上に薙ぐと、鋭く耳障りな音と硬い何かを弾き返した重みが手に伝わってくる。

 二度、三度、男の拳とともに生じる謎の斬撃を環月で弾いた。



 戦うって決めたはずだろ……


 迷いを打ち消そうと柄を握る手に力を込めて、衝撃で僅かに姿勢が崩れた男に向けて刃を振るう。


 だが、俺の攻撃はヒラリと躱されて、大きく振ったところを逆に打ち込まれてしまい後ろに下がる。

 数歩よろめきながら、追撃がないことに安堵しつつ体勢を立て直そうと足に力を入れた。


 ――その時、チクリとした微かな痛みが首筋に走った。


 痛みの原因を探るより先に、身体がガクンと膝から崩れ落ちる。


「……え?」


 首から下が痺れるような、ままならない感覚に脳がついていかない。



「デカいのばっか見慣れちまうと忘れがちだが、蟲って本来はちっちゃい生き物なんだわ」


 上空で待機している残りの蟲達を指差して俺に説明するようにゆっくりと喋る男の顔の横に、通常の蜂と同じくらいのサイズの蟲らしき影が見える。



「毒……か……」


 状況を咀嚼するつもりで呟く。

 身体は痺れて動かないのに、口だけは普段通りに動くのがまた気持ち悪かった。


「――ま、腕は良くても、やっぱ対人経験無しって感じだな」


 男は筋肉をほぐすように腕を振りながら、部活動の顧問教師さながらに言った。

 それから、「なぁ」と、どこか真剣味を帯びた声で呼びかけてくる。


「坊っちゃん、ここらで手を引きな。オジさんも子供をなぶる趣味はないかんね」


「……どういう意味だよ」


「蟲を追うな。女は諦めろ」


 一段低い声で短く告げられた要求にただただ唖然として口が開く。


「な……」


「坊っちゃんが今すぐビルを出て、明日からは大人しく学生生活に勤しむってんなら見逃してやってもいい」


「ふざ……っけんなよ」


 男のふざけた言葉を一蹴する。

 俺が未熟なのは百も承知だ。それでも、どちらの要求も呑めるわけがない。


「ま、そーだよなぁ」


 歯向かう俺を見て、男は大きく息を吐いた。

 それが合図とでも言うかのように、上空に待機していた残りの蟲達が俺と男の周囲を飛び回り始める。


 先程からどれだけ力を入れても、指先一つ動いた感覚がしない。

 唯一自由になる頭部も、あちこちからの失血で目の奥が重たくなってきている。

 

 蟲達が仕掛けてくる様子はないものの、じわじわと飛び回る範囲が狭くなっていく。


「こっち終わりそうだけど、少年は放置でいいの?」


 男はまた親指を耳に当てて喋り出す。

 どうやら誰かと通信しているらしい。

 最初のように小声で話すのをやめたせいか内容がよく聞こえる。


「はー? 連れてくの? ……交渉ねぇ。それ丸っきり未成年者略取じゃないの?」


 男は通話相手に呆れた声で言い返したが、最終的には「へいへい」と気の抜けた返答で終わった。


「ってことで、坊っちゃんにはついて来て貰わにゃならん」


「いかねぇ……よ」


 俺の文句は当然無視され「話聞いてたろ?」と軽く言う男に襟元を掴まれて立たされる格好になる。

 毒のせいで足に力が入るわけもない俺は吊るされているような状態になっていて、喉が絞まって息が続かない。

 頭がチカチカして何度も意識が飛びかける。


 死ぬのもまずいが、捕まるのも同じくらいまずい。

 俺が赫夜の足枷になるような状況にはなりたくない。

 


 逃げられない以上は相手を引かせるしかないが、環月は手が動かなきゃ使えない。



 後、出来ることは一つだけだ。


 まだまだ不安定すぎるし、今飛んでる蟲だけでも鼻血と頭痛は確定だ。

 いや、今だとそれでは済まないかもしれないが……やるしかない。


 視界に入った蟲に意識を集中させ、白い砂をイメージする。


 砕けろ、崩れろ。


 強く念じると、蟲の姿は風に溶けるようになめらかに消えていく。

 練習の成果に感心しかけて、すぐ次の対象へ意識を移す。

 一匹づつなんて手間だ。この場の全てを倒さなければ。


 はらはら、と俺の思念を形にしたように周囲を飛んでいた蟲は砕かれ、残滓が粉雪のように舞う。

 連続で砕け散った蟲の姿に、男は驚いた様子で頬を引きつらせながら俺の目を見据えた。


「あれまぁ、隠し玉ってやつ? おっそろしい術式をお持ちで」


「うるせ……ゲホッ」


 悪態をつこうと口を開くが喉の奥から湧き上がる不快感に激しく咽る。

 口いっぱいに広がる血の味に、「鼻血の次は吐血か」なんて妙に冷静になる自分が居た。


 屋上を囲うフェンス、床に転がるコンクリート片、錆びた吸い殻スタンド、男の髪の隙間から覗くピアスを、作業服の襟に付けられたバッジを。

 目についたものから順に意識を向けて壊していく。


 腕時計が砂になったところで、男は俺から手を離してまた通信を始める。


「お嬢さん、これ連れてくのは無理ってか……正直こっちが危険だ。この建物周辺の元素がイカれてきてる。十中八九、坊っちゃんの仕業だが術式は不明! 巻き込まれる前に離脱するぜ」


 男は一息に捲し立てると俺に背を向けて駆け出し、わずかに残ったフェンスを超えて屋上から飛び去った。

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