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死神の英雄記  作者: わにわに
第一章 異世界
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3話 冒険者

「簡単に言うとなんでも屋ね」


「なんでも屋?」


「なんでも屋。食材や薬の材料を採取したり、魔物を倒したり、こうやって町までの護衛をしたり。クラスによって受けられる依頼は変わってくるけどね」


「クラス?」


「そう(クラス)。ストーン級から始まって功績をあげる毎にレザー級、アイアン級、ブロンズ級、シルバー級、ゴールド級、プラチナ級、ダイヤ級、オリハルコン級って上がっていくの。ちなみにあたしは⋯⋯」


 アンナは首元のネックレスをこちらに見せながら、


「ブロンズクラス!この歳でブロンズは中々のもんなのよ?」


 ちょっとドヤ顔でそう言った。ネックレスの先には銅板に番号が振ってある。なるほどプレートの種類でクラスが分かる仕組みか。


「ブロンズ!それは凄いな!」


「うわ調子いい!今初めて知ったくせに〜!」


 アンナが脇腹を小突いてくる。しかし冒険者、か⋯⋯。


「冒険者って就くのになにか資格とか要るの?」


「なんにも要らないよ!ストーンから始める分にはね!でさ、ジン君が良ければなんだけど」


 アンナは改まって俺を見据え、言う。


「ジン君も冒険者にならない?」








「本当はあんま薦められるような職業じゃないんだけどね、命の危険も常にあるし。でもジン君の場合はさ、ほら記憶喪失だから。⋯⋯厳しい言い方になるけど何もわからない人を雇ってくれるところってあまり無いと思うの。⋯その点冒険者なら誰でもなれるし、仕事もあたしが教えられるし!」


 俺の方から切り出そうとしていたが、アンナから触れてくれた。さらに仕事のサポートまでしてくれるらしい。有り難いことこの上ないが、ここまで親切にされると逆に怪しくもなってくる。


「申し訳無さそうに言わなくてもいいよ。はっきり言ってくれてありがとう、確かにアンナの言う通りだ」


「それじゃあ!」


「なるよ、冒険者。本当は俺もちょっと興味あったんだ」


 俺が商人になった理由の一つは、『世界を自由に見て回りたい』だった。そしてその好奇心は今でも色褪せていない。冒険する者、いい響きじゃないか。しかし⋯⋯、


「にしてもなんでそこまで世話を焼いてくれるんだ?アンナと俺はさっき会ったばかりなのに」


 さり気なく質問をしながらアンナの反応を注視する。裏があるのか探るために。

 冒険者という職を紹介する、これだけで充分に親切なのだ。それなのに仕事まで教える?サポートしている間は自分の給与も減るだろうに、何が理由でアンナは俺にここまで肩入れするのか。


「え?困ってる人をほっとけないのは当たり前じゃない?特に記憶喪失なんて放っといたら野垂れ死んじゃいそうだし」


「当たり前、かぁ」


 耳が痛い。


「それにジン君は冒険者に向いてると思うんだよねあたしは!」


「向いてる?なんで?」


「ホーンウルフに襲われてるときさ、ジン君背中向けてなかったじゃん」


「あぁあのときか」


 回し蹴りで迎撃しようとしていたな。さすがブロンズクラスといったところか、細かい所まで良く見ている。


「普通ああいうときって逃げられないのがわかってても逃げちゃうんだよ、それで後ろから襲われて死んじゃう。でもジン君は立ち向かってたじゃん!あの勇気は中々のもんだとあたしは思うよ!」


「褒められると自信がつくね」


「あ、でもあんまり自信つけるのも良くないか。自信はつけすぎると過信になっちゃうからね!それで死んじゃう冒険者も多いから⋯⋯」


「それじゃあ言い直そっか。⋯ほどほどに自信がつくね!」


「ほどほどなら良し!」


 他にもギルドのことやこのあたりの土地、詳しい仕事内容に注意すべきモンスター、信頼できる仲間等について聞いているうちに、いつの間にか塀の側まで辿り着いていた。目線の先には門があり、検問を行う為の警備兵が立っている。


「話してると早いね〜」


「そうだな。あっという間だった」


「検問では堂々とね!」


「あぁ」


 初めて見たときはなんで塀が?と思っていたが、今ならわかる。魔物を通さない為だろう。ホーンウルフを担いでいた事も功を奏してかアンナの連れ添いということで検問を難なくパスし、町へと一歩入る。すると、



 そこはまるで中世ヨーロッパのような町並みであった。

 石畳の道路にレンガ屋根の建物。通り沿いには屋台のようなものもある。遠くに見える広場の中心にあるのは噴水だろうか。人通りも多く活気に満ちている。

 その光景に()()()()()()()()、その様子を見たアンナが一歩前に出てこちらを振り向き、


「ようこそサージの町へ!」


 オーバーリアクション気味に両手を広げる。

 俺はその仕草に「ぷっ」と吹き出した後、


「いい町だな」


「でしょ?でも観光は後!まずはギルドに直行するよ!」


「あぁ!」


 ギルドに向かって次の一歩を踏み出した。

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