24話 宴会
◆◇◆◇
「⋯⋯ねぇメアリー」
「なーにエマ?」
「⋯⋯ありがとね」
「いーっていーって!エマが一番頑張ってたのも知ってるし!」
「⋯⋯⋯⋯ありがとう」
◆◇◆◇
ゲイル達の供養も滞り無く終え、俺達はシアン平原を後にした。町に着く頃にはもう日が暮れていたので、賞与を含めた諸々は明日に回されるらしい。
門の前まで着いたとき、エマが遠征最後の挨拶を行った。
「誰一人欠けること無く、無事にこの町まで戻って来られたこの偉業を、私は誇りに思います」
「水くせーぞエマ!堅っ苦しい挨拶はやめろー!」
「かっこつけんなー!」
「そーだそーだ!」
ヒューの野次に悪ノリする冒険者達。それはこの道中で打ち解けた証でもある。悪くない悪ノリだ。
そして対するエマも、
「それではご要望にお応えして⋯⋯みんな本当に、本当にありがとー!!!!」
「「「「「おー!!!」」」」」
「町に帰ったら各々用事を済ませて、1時間後ギルド酒場にもっかい集合!今夜はギルドの奢りで宴会よ!!」
「「「「「ひゃっほうー!!!!」」」」」
出発時に比べ随分と、素直な、可愛らしい笑顔になったものだ。
「「「「「かんぱーい!!」」」」」
用意された数々の料理に舌鼓を打ち、キンキンに冷えたビーレをかっ食らう。うん、美味い!
遠征メンバーに俺が含まれていることに気が付いたソフィアから質問責めにされていたところ、
「ジン君お疲れ。よく頑張ったね」
俺を見つけたエマが横に座り、労をねぎらってくれた。
「エマもお疲れ。フレイムレイン、凄い魔法だった。格好良かったよ」
今回の遠征、俺にとって最大の収穫は、シルバー級やゴールド級の実力を目の当たりにできたことだ。目標は具体的になればなる程いい。
「ジン君が素直に褒めてくれるなんて珍しい〜。明日は雨かな?」
「炎の雨だけにってか?」
「あ〜!それわたしが言おうと思ってたのに〜!」
「早い者勝ちだ」
「くっそ〜⋯⋯ねぇジン君。わたし達が始めて出会ったときのこと、まだ覚えてる?」
「あれからまだ10日だ。忘れる訳ないだろ」
第一印象は正直良くなかったな。
「それじゃあさ、改めて聞きたいんだけど⋯⋯」
「何を?」
「わたし達、もう仲良くなったかな?」
エマは俺の顔をじっと覗き込んでいる。さて、どう答えるべきか。
『もっと仲良くなったらな』
俺が得たスキルを知りたがるエマに対して、あの時は確かそう言ったんだっけか。今更俺のスキルを知りたいのか?
いや、違うな。俺の人となりを知った今なら、俺がはぐらかして答えるであろうこともエマは分かっている。だからこれは純粋に、現時点での互いの距離感の確認だ。それならば、俺の答えは⋯⋯、
「エマとはまだそういう仲じゃない」
「え〜、ショック〜。⋯⋯ジン君にとって、わたしは今どんな仲なの?」
「この町で唯一、遠慮せず毒を出せる仲」
「あっはは!なにそれ〜!!」
俺の答えにエマは大笑いする。
「不満か?」
「いや、いいね。満足!」
2人のビーレが残り少なくなっている事に気が付いた俺達はビーレを2つ注文し、新しく来たビーレで改めて乾杯をした。
「ジンくん来て〜!一発芸大会始めるよー!」
エマと下らない話で盛り上がっていたところ、ジェシカから一発芸大会にお呼ばれした。正直全然行きたくない。
しかし、これもルーキーの努めか。しょうがない、得意芸である、『最後にタネが盛大にバレる手品』でお茶を濁すとしよう。立ち上がった俺を、エマが「待って」と引き止める。
「どうしたエマ?」
「明日、賞与の受け渡しが終わったら3階の冒険者登録受付まで来て。大事な話があるの」
「わかった。行くよ」
大事な話?一体なんだ?
まぁどうせ明日になれば分かる、考えても仕方ないか。それより今は会場の笑いを掻っ攫うことに全力を注ごう。
今日は1日暇なので、書きあげることが出来たらもう1話投稿したいなと思います!
書きあげることが出来なかったらすみません!!
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