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死神の英雄記  作者: わにわに
第一章 異世界
23/40

22話 VSゴブリン軍団

 


 ◆◇◆◇



「こっちも罠を張るってのはどうだ?」


「罠?ってどんな?」


「待機班を作るんだよ。エマ含めた腕の立つ女4〜5人の」


「??話が見えねぇ⋯⋯」


「ヒュー、お前がゴブリンなら25人の屈強な冒険者集団と、森にも入ってこない弱そうな女5人、どっちを襲う?」


「あー!そういうことか!!」


「そういうこと。ゴブリンは嬉々として待機班を襲ってくるだろう。けど実態はエマ含めた精鋭部隊だ」


「なるほどね〜!うん、いいんじゃない?面白そう!」


「あたしも賛成ー!」


「待て、俺は反対だ!!如何に腕が立つとはいえ、女5人だぞ!30人もいるのに何故わざわざ少数でゴブリンに立ち向かわなければならない!!」


「女5人とはいえ、ゴブリン集団を殲滅(せんめつ)するには十分な戦力だ」


「もしゴブリンキングがいたらどうする!!」


「⋯⋯痛いとこをつくなぁ。確かに問題はそこだ。ゴブリンキングは⋯⋯なにか早い段階で見分ける方法ってないか?例えば罠の種類とか、ゴブリンの態度とか」


「それならあるよ、罠の数。ゴブリンキングは自分に自信があるからあんまり罠を使いたがらないの。罠に頼るのは恥だ!的な。だから罠が多かったらゴブリンキングの線は相当薄くなるね」


「なるほど、それなら早い段階で見分けられるな。罠が少なければこの作戦は廃棄、エマ達も合流して全員で挑もう。その際は⋯⋯⋯⋯」



 ◆◇◆◇








『『『『『シネー!!!!!』』』』』


 ゴブリンの気配がしてからおよそ5分、ゴブリン達が()()()()()()()()()()()()。待ちくたびれたぜ。

 俺達は打ち合わせ通り、戸惑い、怯える()()をする。1匹たりとも逃さぬよう、ギリギリまで引きつける為だ。


 メアリーなんか、「きゃっ!」と言いながら椅子から転げ落ち、目に涙を浮かべながら小声で魔法の詠唱をしている。

 ⋯⋯役者だな。そこまでしなくてもいいのだが、楽しんでるなら別にいいか。


『ヘッヘー!見ロヨ!アノ女転ンデ泣イテルゼ!!』


『ヨワムシダ!!ヨワムシダ!!』


 ⋯⋯一応効果はあったな。ゴブリン達はご満悦のようだ。





 最後尾にいる、恐らくボスであろう他に比べて頭2つ分大きなゴブリン。そいつが森から100m離れたところで、俺はエマに確認する。


「エマ!適当に暴れた後、奥のでかいのいけるか!?」


「余裕!もう行っていい?」


「あぁ、頼む!」


「よっし任せて!『ホップウインド』」


 魔法の発動と同時にエマが天高く()んだ。ジャンプ力強化か?便利そうだな、今度教えてもらおう。

 感心する俺を横目に、エマは懐から杖を取り出し、空中で魔法の詠唱を始める。


「炎よ。轟々と燃える雨となりて、地上に蔓延る悪鬼共を灰燼(はいじん)()せ!『フレイムレイン(炎豪雨)』!!」


『『『ギャアアアアアアアアアアアア!!!!』』』


 エマの杖から炎の雨が(ほとばし)り、ゴブリン集団の後方を襲う。その光景は傍から見ると炎の雨と言うより、もはや火柱に近い。

 ドドドドドドド、と、途切れることの無い炎雨、途切れ始めた悲鳴。⋯⋯これがゴールド級の本気か、圧巻だな。


『ギャギャギャギャ!!!』


「逃がさないわよ〜。『ストーンウォール』、『ホップウインド』!」


 撃ち漏らしたゴブリンを追うため、石で作った足場を蹴り、更に奥へと跳躍するエマ。そんな事もできるのか。


『ヤベー!ヤベー!アイツヤベー!!』


『デモ、ウシロニ行ッタゾ!残ッテルノハ弱虫ダケダ!』


『ソウダナ!ドッチ殺ル!?』


『男ハ強イカモ!女ダ!!』


『『『オー!!』』』


 右に10m程移動した俺を無視し、メアリー達に襲いかかるゴブリン集団。だが、


「ゴブリンちゃん、見た目で判断しちゃ駄目よ。『サンダーサーペント(雷大蛇)』!!」


『『ギャワワワワアアアアアアア!!!』』


 ゴブリンの目の前に突如現れた雷の大蛇が先頭集団を呑み込み、のたうち回る。巻き込まれたゴブリンは全身から煙をあげ、崩れ落ちた。

 一撃で10匹は倒したか。エマも物凄かったが、メアリーも大概だな。


『『ヤベー!!コイツラモヤベー!!』』


 メアリーのサンダーサーペントから運良く逃れた後方のゴブリン達は、逃げようと後ろを振り返る。が、後ろはエマのフレイムレインのおかげで火の海だ。逃げ場は無い。


「ジェシー!奴等が狼狽えてる間に畳み掛けるわよ!」


「OKドラ!」


「俺も加わる!」


 最後の仕上げだ!サンドラ、ジェシカと共に残党を1匹残らず殲滅する!!


「氷よ、輝く翼となりて標的を追尾し、射止めよ!『アイスバード(5羽の)クァトゥオル(氷鳥)』!!」


「炎よ、燃え盛る翼となりて標的を追尾し、射止めよ!『ファイアバード(5羽の)クァトゥオル(炎鳥)』!!」


「『ファイアランス』!『ファイアランス』!」


『『ギィアアアアアアア!!!!!』』


 サンドラとジェシカが5匹ずつ、残った2匹を俺が仕留め、無事こっち側のゴブリンは全滅させることができた。後はエマの方だが⋯⋯、


「そっちは終わった〜?」


 全員無事に、何事も無く終わったことに俺達が安堵のガッツポーズをしていると、炎の奥からエマの声が。


「終わったよー!」


「オッケー!」


 メアリーが返事をするとフレイムレインの残滓である炎の海が瞬く間に消え、奥から笑顔のエマが現れた。その手には、ボスゴブリンの首を携えて。


「いや〜、久しぶりにいい運動したよ〜!楽しかった〜!」


 ゴブリンの首をこちら側へポイと投げ、伸びをしながらあっけらかんとそう口にするエマに、思わず苦笑いが出る。


「ん?どーしたのジン君?」


「いや別に⋯⋯」


「あ!もしかして全然活躍出来なかったから凹んでたり〜?」


「皆程は活躍出来なかったけどな。それでも2匹は倒したぜ」


「お〜!凄いじゃん!それじゃあ皆両手上げて円になって!」


 エマの指示通り、俺達は両手を上げて円になる。最後、余ったスペースに遅れてエマが到着し、


「みんなお疲れー!!ハイタッチー!!」


「「「「「いえーい!!!」」」」」


 こうしてゴブリン討伐作戦は、無事終了した。

ゴブリン全49匹(ゴブリンキャプテン含む)の討伐内訳


エマ⋯⋯25匹(内1匹はゴブリンキャプテン)

メアリー⋯⋯12匹

ジェシカ⋯⋯5匹

サンドラ⋯⋯5匹

ジン⋯⋯2匹



ちなみにゴブリンキャプテンは、並のシルバー級なら苦戦する位の強さです。





作品を読んで下さり、ありがとうございます!!



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