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死神の英雄記  作者: わにわに
第一章 異世界
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19話 作戦会議

「やっほー。君がエマの一押し君?」


「あぁ、ジン・スミキだ。よろしく」


「ふん。どうやって()()に取り入ったのかは知らんが、今からでも遅くは無い、辞退しろ。戦場では荷物を庇う余裕なぞ誰にも無い。あっさり見捨てられて死ぬぞ」


「自分の身くらい自分で守れるさ」


「ははっ!言うねぇルーキー!やっぱ若い奴は無鉄砲でなきゃな!」


 試験が終わって、風呂に入り、飯を食う。その後エマに連れられ4階の会議室に入ると、そこには3人の先客がいた。

 人間の男と女、もう一人はチーターの獣人か?今回の遠征メンバーなのだろう。男は40歳手前、女は26〜7歳くらいか。チーターの年齢はわからないが、ベテランの風格はある。


「も〜3人共揶揄(からか)わないの!ジン君はそこ座って」


 部屋の中央には丸いテーブルがあり、テーブルの上には地図が置いてあった。俺はエマの指示通り、テーブルを囲っている椅子の一つに座る。


「じゃあ早速作戦会議⋯⋯の前に自己紹介だけかるくしよっか。ジン君から時計回りね」


「レザー級なりたてのジン・スミキだ。エマのお気に入りをやってる。改めてよろしく」


「ねー、どうやってエマのお気に入りになったの?」


 女が俺に聞いてきた。まぁ気になるのはそこだよな。俺から答えてもいいが、そのへんの判断はエマに任せよう。


「それはエマに聞いてくれ」


「ねーエマどうしてこの子連れてくの?」


「ジン君はちょっと特例でレザー級に上がるのに昇級試験を行ったの。その試験でね⋯⋯」


 うわ、試験内容言うのか⋯⋯。


「燃やした剣ぶん投げられて、びっくりしてたらお腹蹴られて、ふっ飛んだところに火魔法ぶち込まれたの。試験とはいえ文字通り()()でね。ちょっとネジ飛んでるよね〜」


 エマが少しジト目で俺を見ながらそれを言うと、会議室が一瞬どよめいた。どよめきが収まると、女と獣人は声を上げて笑い、男は尚、唖然とした目で俺を見ている。


「はははは!ヤバいねー!!そりゃエマも気に入るわあ」


「違えねぇ、俺も気に入ったぜ!俺の名前はヒューだ!よろしくな!そんで隣が⋯⋯」


「⋯⋯ワムだ」


「あたしはメアリー!よろしくねー。3人共シルバー級だよ〜」


 獣人がヒュー、男がワムか。そして女が⋯⋯メアリー?


「もしかしてアンナの知り合い?」


「おー!アンナのこと知ってるの?」


「あぁ、メアリーの事も前にアンナから聞いたよ。一番尊敬してる先輩だってさ」


 アンナと出会ったとき教えてくれた、頼りになる冒険者達。その中でもアンナが一際(ひときわ)熱を帯びて語っていたのが、メアリーだ。なんでもアンナが新人の頃、凄く世話になったのだとか。まさかこんなところで出会うとは。


「アンナも嬉しいこと言ってくれるね〜。宿帰ったらよしよししてあげよう」


 まんざらでも無さそうにメアリーがその銀髪をいじる。今回の遠征が終わったら、新人時代のアンナのことも聞いてみるか。





「さて、それじゃあ自己紹介も終わったところで作戦会議に移りますか!今んとこどんなかんじ?」


「う〜ん、難航してる。森が広すぎるのよねー」


 テーブルに広がっている地図を見る。北側がシアン平原、中央にはシアン平原の倍程はある森が広がっている。キトの森と言うらしい。そしてその南には、また違う平原だ。マニ平原と言うらしい。

 東には沼地、西側は道を挟んでこれも平原。もう移動している可能性もあるが、とりあえずはこの森が戦場と思っていいだろう。


「やはりシアン平原とマニ平原、ふた手に分かれて挟み撃ちがいいと思うんだが」


「だからそれは却下だって。向こうから攻められたら戦力分散するだけじゃん」


「とはいえ挟み撃ちは戦術の基本でもあるだろう?」


「挟み撃ちってのは相手がどこにいるか、ちゃんと分かってるときに使う戦術なの。今回は分かってないでしょ?だから却下」


 エマの言うことはもっともだ。相手の方が知り尽くしているであろう広い森。そんなところで挟み撃ちは成り立たない。


「ってかよー、そもそも難しく考えすぎだと思うんだよな」


「どういうこと?」


「ゲイル達ってシルバーはシルバーでもコツコツ型だろ?俺やメアリーとは違う。そもそもの危機察知能力が低いんだよ」


 ワムがあからさまに嫌な顔をした。侮蔑も含まれてる言葉なのだろう。なんとなく意味は分かるが、齟齬があってはいけない。一応聞いておくか。


「コツコツ型って?」


「安全な任務をコツコツこなして地道にランクを上げてく奴のことさ。普段から命を張らないせいで、いざ想定外のことが起きたらすぐ死ぬ。今回もそのパターンだろ」


 まぁ、やはりと言った内容だ。そしてそこから考えられるのは、


「ゲイル達は罠や奇襲にかかった可能性が高いのか」


「ん?なんでそう繋がるんだ?」


「コツコツ型ってことは自分の命を最優先で考えるってことだろ?てことは偵察も欲張って深入りするとは考えにくい。集落を発見したら戻るつもりだったのなら、集落の中心にいるであろうリーダー格と対峙する状況にもならないから、強敵と相見えた可能性は低くなる。つまり罠や奇襲の可能性が高くなるって訳だ」


 俺が出会ったゴブリン。あいつは馬鹿だったが、ボスは違うと見た方がいいだろう。


「なるほど。一理あるな」


「あくまで可能性の話だけどな」


「ゴブリンキングがいる可能性が低くなるなら、有り難い仮定だよー」


 メアリーの発した言葉に部屋の空気が一瞬緩む。が、


「有り難くは無いだろ。コツコツ型のゲイル達が安全な任務だと思って偵察を受けた、その想定をゴブリン側が越えてきたことには変わりないんだから」


「あー⋯⋯まぁね」


 俺の発した言葉に部屋の空気がまたどんよりと戻る。


「ねぇ、ジン君ならどんな作戦でいく?」


 空気を変えるようにエマが俺に問いかけた。俺か、俺なら⋯⋯


「火魔法を撃ちまくって森ごと燃やすかな」





「いーねそれ!やっちゃおっか!!」


「だな!いや良い発想してるよお前!!」


「駄目だよ〜、森で採れるものも沢山あるんだから〜!でもやりたい!!」


 俺の一言で今度は部屋が笑いに包まれた。ワムだけはまた唖然とした目で俺を見ている。

 少し空気を変えたくて言ったことでもあるが、ここまでウケるとは。会議も相当煮詰まっていたんだな。


「まぁ冗談はさておき、そうだな⋯⋯こっちの戦力はどれくらいなんだ?」


「今募集かけてるとこだけど、目安としては30人くらいかな〜。ゴールド級は今んとこゼロ。こっちからも掛け合ってはみるけど⋯⋯あんま期待しないで」


「ちなみにエマ一人で何匹くらいのゴブリンを倒せる?戦いに専念できるとして」


「並のゴブリンなら何十匹いようがわたし一人で余裕。けど、もしゴブリンキングがいたら⋯⋯1対1でも勝てるかどうか、って感じ」


 ゴブリンキング、厄介な存在だな。しかし、怯えていても何も進まない。


「それならいっそのこと、こっちも罠を張るってのはどうだ?」


 少し賭けにはなるが、勝算は高い筈だ。

祝!初高評価!!!

ブックマークも高評価もありがとうございます!!

毎回飛び上がる程嬉しいです!!


それなのに更新遅くてすいません⋯⋯!





作品を読んで下さり、ありがとうございます!!



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