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第29話 小百合と婦人科病院へ行く(1)

 ハプニングがあったものの、クリスマスの出来事は思い出深いものになった。

 クリスマスってやっぱり特別だ。

 一線を越えなかったのは良かったけど……お互いに達してしまうなど結構危なかったような気もした。


 小百合は拒否しなさそうなので、俺がセーブしなくてはならない。

 一線を越えてたら、俺は後悔したのだろうか?


 でも……一回しちゃうとずるずる続けてしまいそうだ。


 と、そんなことをホテルからの帰りにぼんやり考えていた。

 父さんが迎えに来てくれて、小百合と一緒に送ってくれるらしい。



「こんにちは。えっと、三日ぶりくらいでしたっけ?」


「ああ、小百合ちゃん、こんにちは。いやー、雪がこんなに降るとはなぁ」


「はい、びっくりしました。



 車の中はとても温かい。

 俺は後部座席に小百合と二人で乗っていて、寄り添っている。


 小百合と父さんは、俺の家で勉強しているときたまに顔を合わせている。

 といっても、父さんの帰りが早いときだけではあるのだけど。



「それで、どうしてウチに向かってるの? 小百合は?」


「二人とも今日も勉強だろ? たまには千石さんの家でやるのもいいだろう」


「えっ、まあ……いいけど、小百合はいいのか?」


「うん。大丈夫だよ。

 でね、お父さんとお母さんが光君と話したいんだって」


「エッ……?」



 あれ? どういうこと?

 俺もたまに会うことはあるけど……。


 小百合のお父さん、見た目はちょっとハードボイルドでカッコいいんだよね。

 髭を生やしていて。

 何人か殺していそうな見た目だけど、とても優しい。

 こんなこと言われると本当に色々と終わりそうなので言わないけど。


 そんな小百合のお父さんが急になんだ?

 俺は額にひんやりとした汗が流れるのを感じた。



「えっと、何を話すのかな?」


「さあ? わかんないけど」



 思い当たりは……。

 やばいありすぎる。

 っていうか、二人で泊まって朝帰り中なんだけど。

 どう考えてもこのことなのか……? なのか? なのか?



「お、お腹が……痛い。今日は無理かも」


「え、光君、大丈夫?」


「ああ、小百合ちゃん、それ光が都合悪いときにいつもするヤツだから気にしなくていいよ」



 く……父さん……。



「あー、はい。分かります」


「うむ。さあ、ウチについたぞ」


「じゃあ、お邪魔します。光君、勉強道具取ってくるね!」


「お、俺は……?」


「お前は車で待ってなさい。当たり前、だよな?」



 うううううううう。

 これが外堀を埋められるってヤツなのだろうか。

 俺は逃げ場を失った。



 ☆☆☆☆☆☆



 小百合がとてててという感じで車から降りて俺の家に入っていく。

 勝手知ったるなんとやら……ってやつか。

 車の中には、俺と父さんが残された。



「で、お前。念のために聞くが最後まで——」


「父さんがそういうこと聞くのやだ」


「最後まで聞け。どうせしてないんだろ?」


「えっ」



 父さんエスパーか何かなの?



「エスパーか何かだと思っているのか?

 お前と小百合ちゃんの様子見てればなんとなく分かるぞ。

 とはいえ、確信は無いから聞いたんだがな」


「そ、そうだよ。してないよ」


「そうか。その割に声が裏返っているが?」


「し、してない……」


「じゃあ、今日千石さんに半殺しにされなくて良かったな。

 あそこは代々武士の家だからな。

 不義理をすると切られても文句は言えん」


「ちょ……本当に殺されるの俺?

 冗談だよね?」


「さあな」



 小百合がこのタイミングで戻って来た。

 バタンとドアを閉め、車が動き出す。


 俺はドナドナされる牛の気持ちが少し分かったような気がした。



「光君、どうしたの? そんなに険しい顔をして」


「い、いや……。あのさ、俺たちが泊まったり一つの部屋で泊まったりすること、一応小百合の両親からOKもらったって思っても良いんだよな?」


「うん。そうだけど」


「怒ってたりしないよな?」


「光君に怒る? ないない。

 怒るなら私にだと思うけどなあ」


「そ、そっか。

 まあ、その時は俺も一緒に怒られるさ」


「うん、ありがとう」



 俺は少し安心できたような気がした。


 やがて車は小百合の家の前につき、俺たちを残して父さんは帰っていった。

 まあ、頑張れ、とだけ言い残して。



 俺は、小百合の家の一室に通された。

 小さい頃に来たことがあるだけで、その部屋は随分久しぶりだった。


 何て書いてあるのか良く分からない掛け軸。

 その前には、刀のようなものが横にして飾られている。

 あれ、レプリカだよね?



「光君、久しぶり。小百合がお世話になっていると聞いている」



 俺の前には、髭を生やしてなぜか着物を身に付けた小百合のお父さんがいた。

 ダンディで髭を生やしている。


 眼光は鋭いけど、会った時は優しく挨拶をしてくれる。

 だけど、今はちょっと雰囲気が違っていた。



「まあ、少し話は聞いていてね。

 前のあの時も世話になったようだし……これからもよろしくって感じで、小百合のこと頼むよ」


「えっ? は、はあ。もちろん、俺の方もよろしくお願いしますといいますか」



 あれ?

 思った展開と違う。

 小百合とのことを色々言われると思ったんだが……。



「じゃあ、そういうワケで、選手交代。光君、()()()()()()


「んっ?」



 小百合のお父さんが部屋を出て行き入ってきたのは、小百合のお母さんだった。

 この人も着物を着ていて……。

 後ろからゴゴゴゴゴゴゴゴという音が聞こえそうなほど、俺を見つめている。


 いや、睨んでいる……のか?

 こういうのってお父さんよりお母さんの方が大変という話を聞いたことがあるけど……。


 改めて、小百合のお母さんを見てみる。

 さすがに親子、とても似ている。それに美人だ。

 というか若い。小百合のお姉さんと聞いても納得できてしまう。



「光君。小百合がお世話になっています」


「は、はい……こちらも勉強を教えて貰ったりで、ありがたいと思っています」


「……昨日のことも聞いています。その、お、お風呂に一緒に入ったとか?

 一緒に一つのお布団で眠ったとも聞いています」



 別に隠すことはないけど……緊張する。

 俺の背中が汗でぐっしょりとなる。



「は、はい……その通りですね」



 俺は覚悟を決めて言った。

 しかし……。



「そ、それなのに! どうして……どうして……?」



 え?

【作者からのお願い】


この小説を読んで


「そっち?」


「続きが気になる!」


「この先どうなるの!?」


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