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第2話 幼なじみに癒やされて、次第に元カノのことは忘れていく……

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 幼なじみの小百合とは同じ高校だったが、中学の頃から殆ど話さなくなっていた。


 何年も話していないとはいえ、知り合いを見捨てるのは目覚めが悪い。

 とはいえ、この数年間全く話していないし、小百合は俺を覚えているだろうか?

 かえって怖がらせるかもと思いつつ、もう一度声をかけた。



「小百合、何してんだ?」

(ひかる)くん!」


 俺の声に輩たちが振り向き、動きが止まる。

 その隙を見逃さず、小百合は走って俺の元に駆け寄ってきた。

 俺も輩たちを睨みながら、小百合の方に駆け出した。


 すると、



「チッ。彼氏持ちかよ」



 輩たちは俺を見るなり、あっさりと去っていく。


 俺が元バスケ部で身長があるからなのか。

 それなりの体格だからか?


 あいつらも体格は悪くなかったし、見覚えがあった。

 多分、絵里と同じ高校のバスケ部のやつらだ。

 引退後に何やってんだ?


 柄が悪いし、数人で一人の女の子を取り囲むなんて。


 元カノ絵里の彼氏はあいつらと同じ学校のバスケ部だ。

 そんなやつらと同じチームだとすると、ろくでもないヤツだという可能性が高い。



「光くん! どうしたの?」



 考え事をしていると、懐かしい呼び名が聞こえた。

 気がつくと、抱きついてきた小百合を庇うように抱いていた。


 柔らかさと小百合の髪の毛の香りが伝わってくる。

 懐かしい。



「なあ、その名前……連呼するのやめない?」


「えっ? だって光くんは光くんだし……だめ?」



 だめ?

 小百合がワガママを言うときに使う言葉だ。

 俺はふう、と息をつく。若干恥ずかしいけど、小百合がそう言うなら……。



「まあ、いいけど。

 家族以外で下の名前で呼ぶの小百合だけだぞ?」


「そうなの? ……そっかぁ!」



 ぱっと嬉しそうに小百合は笑った。

 久しぶりに見る笑顔にちょっとドキッとする。


 俺と同じ高校三年だというのに、幼く見える顔。

 それでも成長していて、女の表情も見え隠れする。


 とはいえ、小百合は小百合だ。

 俺の中で印象が変わらない幼馴染み。


 妙に癒やされる。

 色々あった俺の気持ちが、すっと軽くなっていく。



「さっきの男どもは?」


「知らない」


「そうか。ああいうときは逃げないとな」


「うん。腕掴まれちゃって逃げられなかった。ありがとう、助けてくれて」


「いや、何もしてないよ。ホントに」


「それでも嬉しかった。私、目が合ったとき頼ろうと思ったの。

 だけど忘れられてたらどうしようって思ってた」



 奇遇だな。

 それは俺も同じだ。


 同じ事を考えていたことが少し嬉しい。



「無事で良かったよ。でも、あいつらちょっと心配だな……。小百合、よかったら明日から一緒に帰るか?」


「ええっ、いいの!? そうしてもらえるとすごく嬉しい!!」



 俺から思いがけない言葉がスッと出た。


 ——とはいえ。

 その役目は俺でいいのか?


 小百合が可愛いと学校の男共が話しているのを良く聞くし、アイドル視する男たちもいるらしい。

 読モとして雑誌に載ったという話も聞く。



「うん?」



 小百合が上目づかいで俺を見た。


 確かに可愛いよな。

 彼氏がいても不思議はない。


 いやむしろ、いない方がおかしい。


 付き合っている相手がいたら……。

 もう経験して、済ましているのかも知れない。

 彼氏と抱き合って甘い時を過ごしているのかもしれない。


 そう思うと、なんだか不思議な気持ちになった。


 それとなく聞いてみる。



「でも、小百合に彼氏でもいたら誤解されないようにしないとな!」


「……もう。彼氏なんていたことないし、今もいないよ?」



 そう言いながら、なぜか嬉しそうにはにかむ小百合。


 いないのか。いたことがないのか。

 ウソだろ?


 小百合は、気はあまり強くなくて、おとなしい性格だ。そして、優しい。

 優しすぎて遠慮がちなところがあって控え目な性格。

 快活な人が好きな人もいるだろうけど、小百合は好きな人に黙って付いていく、そんなタイプだ。好きな男も多いだろう。


 それに読モをしていたことがあるくらいだ。やや幼い印象があるもののスタイルは良い、らしい。

 俺は子供の泣き虫なところとか知っているから、ピンとこないけど、小百合を可愛いと言う男は多い。


 なのに、彼氏がいないとは。



「光くんは彼女いるんだよね?」


「ん。いたけど、ちょっと前に別れて今はいないよ」


「ええっ!?

 ……あっ……ご、ごめん。変なこと聞いちゃって」



 小百合はとても申し訳なさそうに下を向いた。


 俺はまだ絵里を少し引きずっている。

 だけど、その事を言う気にはならなかった。



「別にいいよ。気にしないでいい」


「うん……。そっかあ。今はいないんだ」



 小百合は噛みしめるように言った。

 声が少し高くなっている。



「ああ……そういえばおばさん元気? おじさんも」


「うん、とても元気だよ。光君ところのお父さんも時々来るし」



 そういえば、小百合の両親は、俺の親と仕事の付き合いがあったな。

 今でも仕事のやり取りをしているのだろう。


 俺と小百合が顔を合わせない間もずっと。

 古い付き合いだ。



「それでね、光くん——」



 小百合と話すとすごく落ち着く。

 そうして、久しぶりに再会した俺たちは、近況を打ち明けながら帰ったのだった。



 ☆☆☆☆☆☆



 一週間後。

 再び、元カノ絵里が家を訪ねてきた。


 また頬が腫れている。

 前より酷くないか?


 絵里と話をする。

 すると、元カノの彼氏は、幼なじみの小百合に絡んでいた男たちのリーダー的存在だったのが分かった。

 その指示で、アイツらが小百合にちょっかいをかけているようなのだ。


 絵里……俺から乗り換えて、とんでもないヤツと付き合ってるのか?


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