10 GW 1日目
「洋一さんって今日は何するの?何時まで休み?」
矢継ぎ早に聞いてくるな。
「ぶらぶら買物と呑みにやってきただけだな。休みはazdaに併せてるから9日まで」
「azda社員さん?」
「違うよ。うちの部署がazda工場内と取引が有って、俺も週2回位配送してるよ」
業務だが人手が足りないので、駆り出されてるんだよ。
「私はazda工場の事務員だよ」
「世間は狭いな。それで宇品方面に住んでるとか?」
「そそ!去年とか休みの度に見かけたよ!いっつもお爺さん達と話しながら釣りしてたたよね?」
どうやら見かけられたらしいな、まあ作務衣だから変わりもんだと思われたな。
「あの頃は俺も宇品いたな。離婚して安芸区に引越したんだよ」
もう俺の部屋は消えたんだろうな。
「浮気でもしたとか?」
「2,3年会話無かったからね。浮気はして無いぞ。突然名前とハンコ押せと離婚届け貰ったよ」
協議離婚にチェックまで入れられ、親権を取られ空っぽの通帳を貰った。
「そんな訳で独身を謳歌してるよ」
「そうなんだ、なんかゴメン」
「気にしては無いが、あの部屋に住んで無かったらコロには会えなかったしな」
「あはは、結構ポジティブだね。うん、イイね」
まあ今更考えても仕方がない。
「じゃあ私もついてっていい?」
「御遠慮します」
「なんでよー!?親睦深めよ〜よ!」
それは、昼キャバとか色々行く為に来たんだし一緒に行けるか!
「良いもん、勝手に付いて行くし!」
「はいはい、どうぞご自由に」
まあ、その手の店に行けば諦めて帰るだろう。
店を出た後は、面白そうな店が無いか散策しながら新天地公園に到着。ここはまだ灰皿有るから気兼ね無くタバコ吸えるんだよ。
コロナの影響で吸える場所減ったな。
コロと弥生は念話しながら付いて来てる。弥生の頭の上に乗っかて楽しそうだな。
「ほんとに付いて来るんだ」
「勝手にするって言ったしー!」
『よういち諦めて僕も楽しいよ?』
はぁ〜…、ため息とともに煙を吐く。火を消し再び歩き始める。
「ねえねどこ入るの?もしかしてえっちなお店とか…?」
言いながら、照れてんじゃねえよ。
歩いて居るとそんな店も有るからな。ちょっと見てみたかった所があるので其処まで歩く……。
流川にある唯一つのストリップ劇場。お昼からスタートの一発目、流石GWだ外まで並んでる。
今月20日迄閉店しその後、取壊し予定になってる。行ったこと無かったので見たかったが今日は諦めるか。
「ふ、普通に男だもんね」
些か初過ぎないか?
「今まで彼氏とか居なかったのか?」
ちょっと聞いとく、今の御時世これでもセクハラになるが店の前まで来てるし今更だな。
「武道ばっかやってたから、男の子にも避けられたし高校と大学は女子校だし」
なんか聞いちゃ不味かったか。
「それにむ、胸だって小さいし」
テンパって耳まで真っ赤だ。確かに自分はおっぱい星人だが、推定B!身体がスレンダーな体型で余分な脂肪が無さそうだ。
少し太れば胸も大きくなるぞ、とは言えないな。
身長は小柄で150cm位かな。俺も身長は高く無いので、正直好みだ。ロリ巨乳だったらストライクど真ん中!
それはさておき。
「行くよ」
「あれ?入るんじゃ無いの?」
「そんな真っ赤で連れて行けるか!」
下を向いてしまう。
着いたのは観光バー見たいなとこで、昼間はカラオケ喫茶だ。
「マスター2人ね」
「よっくん先月ぶりね」
前払いなので支払う。
「あ、私自分のは払いますよ!」
「お嬢ちゃんこう言いのは男が払うもんだから気にしないの」
「珍しい子、連れてきたわね?」
「付いて来るんだよ、根負けだ」
クラウドのヤレヤレポーズをする。
マスターは呆れながらも焼酎水割りを作りお菓子やお通しを出す。
「お嬢ちゃん座って、それとお酒飲める?」
「あ、はい!飲めます、小さいけど21です!」
「元気な子ね」
マスターは呆れ笑いをみせながら焼酎を渡す。
「檸檬が入ってさっぱり美味しい」
一気に飲み干す。
「ちょ、弥生酒は強いのか?」
「初めて飲んだけど、私強いのかな?」
これはダメなパターンだ……。
「マスター、ベランダと灰皿借りるよ」
昼間はいくら客が自分らしか居なくても禁煙らしい。
トイレと反対のドアを開けるとベランダだ。ふぅーと煙を吐き空を眺める。
「まあいっか」
と呟く。正直、抜きたかったぜ。
「よっくん、そのまま開けといて」
「あいよ」
マスターはノンケらしいが、所々お姉さん口調になるが、最早気にしない。
「って、たった5分足らずで出来上がってるな」
「洋一さんおかえりー!」
「ご飯する?お風呂にする?それともわ・た・し!?」
マスターが吹き込んだな、横目で見るとニヤニヤしてるマスターだ。
まあ俺も乗るけどね。
「弥生に決まってる」
と、顎クイをしてみる。弥生は真顔になり真っ赤になる。
「酔は冷めたか?でき上がるの早いだろ!」
「だって初めて飲んだんだし」
「会社の飲み会は?」
「歓迎会の時は烏龍茶を飲んでたら、飲めないと思われて…。もう誘われ無くなって。」
この御時世、直ぐハラスメントだもんな。
誘い難くもなる。
「まあ、好きに飲め。なんたって飲み放題だ」
「そうするもんね」
「ほれ、なんか歌ってみ、野郎の歌より女の子が良いしな」
マスターがスッとデンモクを渡す。ふと思ったがキョクナビと言う方が少数派だな。
「私カラオケも行ったこと無いし」
「鬼○の刃のオープニングでも良いぞ」
「ほれ、入れてやるよ」
横から入力してやる。マスターもノリノリだ、因みにコロはマスターの目を盗んで俺の焼酎を呑んでたりする。
最初は恥ずかしがってたが、今は酒の勢いもあり歌ってる。
店を出る頃には、肩を貸さないと千鳥足だ。一軒目で終了だな。
「じ、自分で歩けますよ」
身体は正直だ、真っ直ぐ歩けて無い。転けそうになったので腕を掴み抱き寄せる格好になってしまった。
「ほらな、無理するなよ」
真っ赤になってるが酔いだろうな。
「マスター、また寄るよ」
「送り狼さんにならないでよ」
長男と同い年位の子に手は出しにくい、合法ロリっ子は居ないようだ。漫画やアニメしか存在しないのか。
「タクシー居たぞ、今日は帰りな」
「洋一さんありがとう、また連絡しますね」
ケータイ番号も緑のアプリも教えてあるし、今だにパーティーメンバーになってるから今更だな。
「ああ、気をつけて帰りなよ。じゃあまたな」
「はい!ありがとうございました」
『コロちゃんもまたね』
『弥生、真っ赤だいじょうぶ?また遊ぼうね』
『酔っただけだし、大丈夫!』
タクシーは繁華街から抜け出してく。新天地公園に戻り一服、さてとまだGW初日だから今日は帰るとするか。
この時間なら電車あるから安く済む。安芸区までタクシー乗ると結構するしな。