宇宙放射線と氷河期
以下は、ノンフィクションだ。
天文学を少し噛じるか、ネット検索すれば判る事だが。
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我々地球の太陽は、宇宙の恒星の中では若く小さい方である。
その生成物は、今のところヘリウム前後の小さな元素に過ぎない。
我々の太陽系は、この太陽から放出される水素/質量1や、ヘリウム/質量4の原子核粒子線/アルファ放射線で満ちているが、小さく軽い原子なので、物質や生命体に与える影響は比較的小さい。
しかし宇宙には、他に宇宙放射線、又は宇宙線と呼ばれる物が飛び交っている。
これは、銀河系内に充満しているらしく、先の物と同様に原子核粒子線ではあるが、その内容はリチウム/質量7、ベリリウム/質量9、ホウ素/質量11、鉄/質量56などの原子核でケタ違いに大きく、物質や生命体に与える影響はとても大きい。
鉄の原子核は単純計算でもヘリウムの14倍の破壊力がある。
それは銃弾の様に、大抵の物質を透過して変質させてしまう。
宇宙ステーションでの人類滞在日数が限られているのは、この宇宙放射線による被爆でDNAが傷付き、癌化してしまう要因が大きいのだ。
特に有害な外宇宙からの放射線は、平素は太陽磁場により多くは跳ね除けられ、侵入してきた物も、地球磁場や大気上層に吸収される事により、地球表面の物質や生命体に及ぼす影響は小さい。
しかし、定期的にやってくる太陽活動の極小期には、太陽活動と共に磁場も弱まり、地球上にも多くの宇宙放射線が降り注ぐ事が予想されている。
つまり、細胞の癌化や遺伝子異常による突然変異などが現れ、コンピュータシステムはエラーを多発してしまう。
これは、ある場合では進化を促し、ある場合では退化や死を促す。
そして、西暦2020年。NASAをはじめとする天体観測団体の多くが、我々の太陽系が極小期に入り、地球にも小氷河期が到来するだろうと予測している。
これは太陽黒点の減少が、マウンダー極小期の時に発生した小氷河期に、酷似している為の予測らしい。
過去の極小期の記述を調べると、
シュペーラー極小期
1420年頃~1570年頃〔1450年~1550年頃とも〕
後に木の年輪に含まれる放射性炭素14Cが太陽活動に強い相関関係があることによって発見された。
ヨーロッパでは1453年、東ローマ帝国が滅ぼされ、中世が終わりを迎えた。
また、15世紀中頃から新たな交易ルートの開拓を目指して、ポルトガル・スペインを中心に大航海時代に突入する。
石炭がエネルギー源、暖房用として大変重要になった。
日本では室町時代であり、戦国時代へ突入した時期である。
マウンダー極小期
およそ1645年から1715年で、太陽黒点数が著しく減少した期間。
中世における小氷期中頃の寒冷期の原因と目され、この時期のヨーロッパ、北米大陸、その他の温帯地域において冬は著しい酷寒に震え、暦の上では夏至であっても夏らしさが訪れない年が続いた。
東京大学・名古屋大学・名古屋工業大学の研究チームが、この時期の日本(江戸時代初期)は周期的に雨が多い湿潤な気候であったと奈良県内の老木の年輪を分析して結論付けて論文にまとめている。
ダルトン極小期
1790年から1830年まで続いた、太陽活動が低かった期間。
マウンダー極小期やシュペーラー極小期と同様に、ダルトン極小期は、地球の気温が平均より低かった時期と一致している。
この辺りは、現在よりも寒い時期が多かったらしく、1607年~1814年まで毎年、凍ったイギリスのテムズ川が有名。
ダルトン極小期に起きた世界の飢饉
・1773年 - スウェーデンで飢饉。
・1779年 - モロッコのラバトで飢饉。
・1780年代 - スコットランドで飢饉。
・1780年代 - 天明の大飢饉。
・1783年 - アイスランドで飢饉。アイルランドの人口の5分の1が死亡。
・1783年–1784年 - 南アジアで飢饉。
・1784年 - エジプトの広範囲で飢饉。
・1784年–1785年 - チュニジアで飢饉。人口の5分の1が死亡。
・1788年 - フランスで飢饉。
・1789年 - エチオピアで全域にわたる飢饉。
・1789年–1792年 - インドで飢饉。
・1800年–1801年 - アイルランドで飢饉。
・1810年、1811年、1846年及び1849年 - 中国で四度の飢饉。
・1811年–1812年 - スペインで飢饉。2万人近くが死亡。
・1816年–1817年 - ヨーロッパで飢饉。「夏のない年」。
・1835年 - エジプトで飢饉。20万人が死亡。
・1844年–1846年 - ベルギーで飢饉。
これらは記録に残っているもの。
小氷河期と言っても、地球全体が凍る訳ではなく、気候変動が著しくなり、逆に温暖化する場所もでるのだろう。
総括的には、従来の作物が育ちにくい環境に変わると言ったところか?
50年以上続く、この異常気象に、現代文明は耐えられるだろうか?
1800年には10億人と言われた世界人口が、2019年の77億人にもなって、更に増加中の人類。
現代の地球環境や農業技術は、世界的異常気象下で食料を賄えるのか?
更に気象庁の統計では、宇宙からの放射線に最も有力である地球地磁気は、観測開始当時から一方的に減り続けている。
この二百年で一割以上の減少をしている。
地磁気はゼロにならなければ大丈夫と言うものではない。
http://www.kakioka-jma.go.jp/knowledge/mg_bg.html
このままでは、小氷河期と宇宙放射線のダブルパンチが地球の生命体を襲いかねない。
いや、その前に、今回の寒冷化が小氷河期ではなく、氷河期に至らないと言う科学的根拠は、今のところ存在しない。