ナノマシンと言うメカ
未来ものや宇宙人物に出てくる小さな汎用性マシン。
壊れた機械を修理したり、機械の構成材になったりする外観上は液体や砂粒に見える便利マシン。
場合によっては生命体をも修復するシーンがあったりする、超小型のロボット集合体です。
名前の『ナノ』とは、十億分の一と言う意味。
長さで言うと、
・ミリ mili m 10-3 1000分の1メートル。
・マイクロ microµ 10-6 100万分の1メートル。
・ナノ nano n 10-9 10億分の1メートル。
簡単に言って百万分の一ミリ単位の機械です。
最小生物とも言えるインフルエンザなどのウイルスでさえ、0.1マイクロメートル。つまり百ナノメートルも有るのですかから、ナノマシンとは人工的に作られたウイルスと言えるのです。
現実のウイルスは、生物として十分な機能を有してはいません。
エネルギーや物質の補給をするシステムを持っておらず、増殖さえ他の生命体の増殖システムに依存しています。
勿論、自力で動く事など殆んど出来ません。
生命体としての最低限の機能を備えた細菌では、そのサイズは1マイクロメートル = 千ナノメートルにも及びます。
その細菌ですら、自分の維持と運動。増殖の機能しか持っておらず、SFに出てくるナノマシンの群体としての活動はできないのです。
特にナノサイズであるウイルスは、分子的にも最低限の構成で作られており、サイズを維持したまま、科学でコレを上回る多機能存在を作り出す事は不可能だと思われます。
いくら寓話とは言え、あまりに荒唐無稽な話は物語りとしての興を削ぐ事になるでしょう。
それでもリアリティを追求しつつ、ナノマシンの有用性と必要性を物語りの中に持ち込みたいならば、現実物理を越えた理論を持ち込むか、他の物を持ち込むしかないのです。
他の物。
エネルギーの問題や集団行動なとコントロール、増殖性の問題と情報収集&蓄積や作業判断を解決する、ナノではない他のマシーンを混在させる事。
ナノマシーンには移動と運搬、部品の分解や結合のみを任せ、状況の把握や対処や判断などの多機能を司る大型のマザーマシン/コアなどを同居させるのです。
幾つかのユニットに分業させるのも手でしょう。
それらマザーマシンは、液体にも見えるナノマシンとは違い、明確な大きさを必要とするでしょう。
どんなに微細化技術を集約しても、センチ単位は越えるとするのが無難です。
勿論、コアを含む群体としての大きさも小さくありません。
個々のナノマシンは、間接的にでもマザーマシンと繋がっていないと、活動できないからです。
当然、生物の血液中に混在させるなんて不可能だし、元より機械で欠損した部分の細胞を増殖させるなんて出来ない話です。
生物の全身に、ナノマシンによるネットワークを形成する必要が出てきます。
少なくとも主要欠陥に、ナノサイズの配線を通すことになります。
もう、完全にサイボーグですよね?
実際に怪我したりして、千切れた部分を連結させたり、細胞分裂を機械で促す事はできるでしょうが、実際にに再生するのは細胞自身であり、その材料をどこから持ってくるかが問題です。
現実的な使い方は、服の様に身体の表面に付着させ、欠損が生じた時に傷口を塞ぐのが精一杯でしょう。
ナノマシンを患部に集めれば、一時的に義手くらいにはできるでしょうが。
リアリティーを追求すると、物語りの中にも多くの制限が加わってくるものです。
それもまた、物語り中のネタにしていくのが、文才なのでしょうか?
こうして出来上がった、ゼリー状でコアの有るSFナノマシン群体を机の上に置いて見て、誰もが思うでしょう。
「これスライムじゃん!」