地上の巨大ロボット
巨大ロボットは男の子のロマンであろう。
特に人型ロボットはフィクションでも語られている。
プラモデルや、ラジコンを含むホビーロボットでも、人型を作る人は多い。
では、実際に地上を歩く巨大ロボットは可能なのか?
『現代の人類科学力』においては、不可能だ。
ホビーロボットを大きく作っても動かない。
せいぜい5メートルのロボットが関の山。
原因は『重力』にある。
どんなに機械工学が進んでも、巨大豆腐やプリンが出来ないのと同じで、構造材が耐えられない。
物のサイズが2倍になると体積は8倍になり、重量も8倍になる。
建物だと柱の数を増やしたり太くして、重みに対応するが、ロボットなどでソレをするとシステムが入らなくなる。
関節や駆動装置が入るスペースがなくなる。
更に巨大になっていくと、素材の分子間結合力より負荷が上回り、鋼鉄の無垢材で作っても、足の裏からヒビ割れていく。
仮に、軽くて丈夫な超合金が開発されても、巨大人型ロボットは立てない。
地球上には、常に風が吹いている。
風の空気抵抗に抗う重量を持っていない為に、飛行船の様に揺らぎ続ける。
ワイヤーで固定したり、空気抵抗を受けにくい形にしたり、常にノズル噴射で姿勢制御していては、人型である意味が見えなくなる。
SFでは、
重量をそのままにして、素材強化のフィールドで崩壊を防いでいる場合が多い。
だが、これだと地面がもたないで、新雪の雪山の様に足が沈み込む。
市街地ではアスファルトが割れて砕石を貫き、下水や水道管、ガス管などが破裂していく。
また、SFでは慣性制御や重力制御で重力の干渉を無視する方法もとられているが、こうなると足自体が不要になる。
接地を考慮しても、足の代わりに手で十分なのだ。
慣性制御などを使い、人型に拘るのは、ホビーとしての使い方以外には、操縦者のモーショントレースの都合以外には無い。
また、歩く場所も限られる。
現実の地上は、巨大な物体が移動できる様には作られていない。
そもそも『巨大ロボット』の定義にサイズの制限が無いので、30メートルから1キロの巨大ロボットまで受け入れる規格は困難だろう。
山間部に平らな場所など存在しないし、山道の様に踏み硬められてもいない。
平野部は住宅や建物が並ぶ。
道は狭い場所が多い為に、現行の戦車でも幅を3.5メートル以下に制限している。
高さも、電柱による送電線や電話配線の残る所もあり、5メートル以下でないと引っ掛かる。
建物を壊すにしても、4階立て以上は鉄柱や鉄筋を使っている物が殆んどなので、変形はしてもバラバラになる事は少ない。
巨大ロボットは、膝下にワイヤーが張り巡らされ、固定された菓子箱やプラモデルの散らばった部屋を歩く様に、不安定と破壊を押し進めながらしか歩行できないのである。
よって、巨大人型ロボットの活躍の場は、宇宙にならざるを得ない。