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学園ミステリ〜桐木純架  作者: よなぷー
桐木純架、登場す
36/156

0036エピローグ☆

   (エピローグ)




 5月も末の放課後、『探偵部』の面々が俺の家に集まった。明日の中間テスト後半戦へ向けて、勉強会で午後を潰すことになったのだ。


 親父と兄貴が東京へ引っ越していったため、我が家は急にがらんとなった。こうして人を入れてないと寂しいというのもある。


「そういや新聞部は今回の『生徒連続突き落とし事件』をどう扱うんだい?」


 純架が抹茶バームクーヘンを食しながら日向に尋ねる。相変わらず端麗な顔だった。日向は微笑んだ。


「『渋山台高校生徒新聞』といっても前に見た通り、A4縦書きで4ページ――つまり一枚の紙しか使っていません。学校行事の特集や校長先生の話とかを載せたら、もうほとんど埋まってしまうんです。5月号のような特集は無理ですよ」


「何だ、つまんない」


 純架はごろりと仰向けに寝転がった。そのままの状態で口を動かす。日向は苦笑した。


「でも掲示板の壁新聞で大きく取り扱ってもらえるよう、先輩方と交渉するつもりです」


「わくわくするね、日向ちゃん」


 奈緒は無理矢理同好会に入会させられたわけだが、そのことに関する不平不満は聞いたことがない。それなりに面白さを見出しているのだろう。


 英二が改めて念押しした。


「俺の失敗談は書くなよ。分かったな、絶対書くなよ」


 まるで熱湯風呂に挑む芸人のような台詞に、俺は思わず笑ってしまう。結城が咎めた。


「英二様を笑ってはなりません」


 英二はこの過保護なメイドに鷹揚(おうよう)に手を振った。少し邪魔くさかったらしい。


「ああ、いちいち干渉するな、結城」


「すみません」


 純架がダルマのように起き上がり、アイスティーをストローで飲む。唐突に言った。


「ちょっと聞きにくいこと、聞いてもいいかい?」


 俺はいぶかしんだ。


「何だよ、改まって」


 純架は蚊の鳴くような声を出した。いつにない自信のなさだ。


「君らは僕の友達と考えていいのかね?」


 俺たち5人は気抜けした。


「あれ、お前、俺たちを何だと思ってたんだ?」


「私たち友達でしょ?」


「桐木さん、今更何をおっしゃってるんですか? 水臭い」


 英二と結城は無言で見守っている。


 純架は頬をほころばせた。こみ上がる喜びを隠そうともしない。


「何だ、良かったんだ。友達とみなして……。僕は今まで友達というものを持ったことがなかったから、おっかなびっくりだったんだけど」


 俺は純架の頭を抱き寄せ、その髪の毛を掻き回した。


「大将、よそよそしいこと言うなよな。俺たちは仲間さ。皆お前を信頼してるよ」


「それならいいんだ」


 純架は頬を朱に染めた。さすがに気恥ずかしかったのだろう。


「英二君、菅野さん。2人は?」


 英二は下の名前を呼ばれたせいか、奇妙に顔を赤くした。


「そうだな桐木、同じ部活――『探偵部』の一員としての繋がりは悪くないとは思っている」


 迂遠(うえん)な言い回しだ。俺はその不正直さに内心苦笑した。


 奈緒が手を打ち叩いた。


「そうだ、皆で写真撮ろうよ。仲良し6人組ということで、さ。ねえ朱雀君、日向ちゃん、結城ちゃん、三宮君、いいでしょ?」


 日向の胸元には例のデジタルカメラが燦然(さんぜん)と輝いている。復活した黒縁眼鏡と共に彼女のトレードマークだ。


「構いませんよ。制服姿でないので校内新聞には使えませんが……部活動の発足を祝し、親睦を深めるためにいい一枚を撮影しましょう」


 こうして即席の撮影会となった。俺たち男子が前で屈み、後ろに中腰の女子が並ぶ。日向は設置したカメラのタイマーボタンを押すと、急いで俺の背後に回った。


「皆さん、笑顔で!」


 フラッシュが焚かれ、シャッター音が鳴り響く。


 そうして出来上がった写真は、カメラの画面を見せてもらった限り、なかなか上手く仕上がっていた。俺たちはそれを自らのスマホへコピーした。


 桐木純架、朱雀楼路、飯田奈緒、辰野日向、三宮英二、菅野結城。『探偵部』の面々。皆素晴らしく写りが良かった。


 純架は感激を抑止できず、声を弾ませた。


「少なくともこの画面の僕らは永遠だね」


 俺は写真を待ち受けに設定しながら、微笑して答えた。


「ああ、そうだな」




 渋山台高校での生活は始まったばかりだ。




 これから俺たちはどんな事件に出会うのだろう?




 俺は胸をときめかせ、血湧き肉躍らせ……




 かけがえのない友達と、青春を過ごしていくのだった。

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